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開始5分でサービス終了した伝説のバグゲーに転生したんだが攻略できない!  作者: 那須 儒一
マルチエンディング

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オルヴィエートエンド

【ゲームを終了する】



燻りかけた紫煙の煙が曇天に立ち昇る。


やめたはずの煙草をまた吸い始めていた。


妻の墓の前で、私は目を閉じていた。


ぽつ――ぽつ――と次第に雨足が強まってきた。


あの世界のこと、今ではただの悪夢だと思う。


「オルヴィエート……か、馬鹿みたいな名前だな」


周りに付き人がいた頃が懐かしい。

シノメやロザリアちゃんは元気にやっているだろうか。


全てを断ち切り戻ってきたはずなのに……


「これくらいは、浮気にならないよな?」


しょうもないぼやきが雨音にかき消されていく。


……ん?


目を閉じていると、雨粒が遮られた。


「こんなところで、風邪ひきますよ」


透き通るような女性の声。


見知らぬ誰かが背後から傘を差してくれている。


振り向くと、白いワンピースに麦わら帽子の少女が立っていた。


表情は見えなかったが、絹のような黒髪が肩口に垂れていた。


「ありがとう……ございます」


「いいんですよ。これくらい」


突然のことにどうしたらいいか分からず、

互いに立ち尽くしていた。


「あの……お名前を伺っても?」


「ああ、私は安東あんどうあゆむだ」


「歩さん……」


彼女は噛み締めるように名前を復唱する。


「キミは……?」


「私は――」


そこまで言いかけたところで、彼女は周囲を見渡す。


「あ……止みましたね」


「あ、ああ……」


「それでは……」


顔の見えない彼女はぺこりとお辞儀をして、

傘を差したまま、その場を去ろうとした。


いったい何だったんだ。

狐につままれたような不思議な感覚。


去り際に懐かしい百合の香りが鼻をくすぐる。


「まさか……キミは……」


ここにいるはずのない少女が立っていた。


彼女は傘を畳んで麦わら帽子を取り振り向いた。


そこには、懐かしい笑顔が立っていた。


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