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開始5分でサービス終了した伝説のバグゲーに転生したんだが攻略できない!  作者: 那須 儒一
第四章 魔王討伐編

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第81話 魔王城

「ダイチ殿、恥を承知でお願いごとが……」


大の大人が額を床に擦り付け土下座をしている。


「ガスタージャ、魔剣なら返さねえぞ」


ヨグ=ソートスがなくなれば、ファストトラベルもできなくなる。

ストーリー進行にかなり支障がでるから、返すにしてもクリア後だな。


「くっ、病気の妻と年頃の娘がいるんだ。

頼む……二人を養うにはどうしても金が必要なんだ」


「なんだ、金さえあればいいのか? いくらだ?」


「えっ、ああ、500万円もあれば妻の病を治す薬を買えると思うのだが」


別に俺にとっては金なんて大した価値じゃない。


「ほら、振り込んだぜ」

メニューを操作して、ガスタージャの懐に500万円を振り込んだ。


正直、クラフトさえ使えれば金策は無限にできる。

500万円で無用な争いを避けられるならそれに越したことはない。


「えっ、よいのか?」


「ああ……その代わり、魔剣は俺が貰い受けるからな」


「ありがとう。妻の命が助かれば魔剣など安いものだ。ダイチ殿……この恩は一生忘れない」


「別にいいって。困ったときはお互い様だろ?」


「我はダイチ殿のことを誤解していたようだ。

ダイチ殿が困った時には、微力ながら手助けをさせていただく」


「ああ、それでいいぜ。これからも、奥さんと娘さんと仲良く暮らしてくれ」


こんな世界だ。恩は売っておくに越したことはない。我ながら打算的だとは思うが当人が喜んでいるならそれでいいじゃないか。


さてと、大所帯になってきたな。

せっかくみんな集まったんだ。


さっさとナージャ王女を連れ帰るとしよう。



全員を談話室に集めてさっそく作戦会議を開く。


「魔王ってのはそもそもどこにいるんだい?」


おっさんの質問にレメリアが答える。


「魔界は六つの領地に分かれていて、その中央に魔王城がある。ここは私が治めている三の地だ。北西に三日も歩けば魔王城に着く」


「そういえば、ママは魔王幹部なんだよね。

幹部が領地を治めてるの?」


リリムが赤毛を揺らしながらレメリアに尋ねる。


「ああ、六人の幹部が各領地を治めている。

この領土内であれば魔族が我々に手出ししてくることもないだろう」


「意外と簡単に進めそうね」

メルフィーが頭の後ろで腕を組み欠伸をする。


「メルフィー、油断大敵ですよ」


「シルの言うこともごもっともだが、ナージャ王女さえ見つければヨグ=ソートスでアルスタイン王国にひとっ飛びだ。彼女も元々、魔王になりたくてなったわけじゃないだろうし」


「支度をしたらさっそく発とうか。

作戦に異存はないね?」


ライドウの言葉に皆、続く。


「「はい!」」


こうして、俺たちはさっそく北西を目指した。



魔物が跋扈ばっこする荒野をひたすら歩き続けた。


魔界の魔物も幹部のレメリアさえいれば、不用意にこちらに手出しはしてこなかった。


ここに来てマラソンゲーになるとはな。


「シノメちゃん、久しぶり!」


おっさんの背後につくシノメちゃんの肩を叩く。


「ダイチ殿もお元気そうで」


「ああ、元気だよ。シノメちゃんも相変わらず小さくて可愛いね」


俺はシノメちゃんの頭をくしゃくしゃと撫でる。


「ダイチ殿、子ども扱いはやめてください」


「あんたはやめなさいっての」


「ふぐっ!」

スターナの肘が脇腹に刺さる。


「スターナ、なんだよ……」


まだ怒っているのか?

さっきの作戦会議中だって目も合わせてくれなかったし。


「だって、シノメちゃんが嫌がってたから……」


スターナは口をもごもごさせて言葉を濁す。


「なんだよ、急に突っかかってきやがって」


「お二人とも、落ち着いてください」


シノメちゃんが間に挟まれてあたふたしている。


「こらこら、若人たち。

先は長いんだから揉めなさんなって」


見かねたおっさんが間に入る。


「ダイチさん。スターナさんはやきもちを焼いているんですよ。少しは女心を理解してあげてください」


ロザリアちゃんが背後で微笑んでいる。


「主様にそういう気配りは無理だの。

だから、今まで童貞なのだろうし」


ミスティが流し目で睨む。


「うっせぇ、俺だってどうしようもないんだよ」


別に好きでデリカシーがないわけじゃない。

言っていいことと悪いことが本当にわかんないんだよ。



三日後、多少の揉め事はあったが目的地へと辿り着いた。


底の見えない崖から頑丈な鎖が、宙に浮く魔王城へと伸びていた。


「あそこまでどうやって行きましょう?」


ロザリアちゃんが目を凝らす。


「私の魔法なら行けるわよ。

飛翔せよ、妖精たち――」


“星魔法・レビテーション”


俺たち全員の体に光のエフェクトが煌めき、

浮遊する。


「へへぇ、魔法ってのは便利だねぇ。

俺っちも覚えたいねぇ」


「イヤッホー!」


メルフィーが真っ先に魔王城目掛けて飛翔する。


「メルフィーさん! 危ないよ!」


ライドウがすぐに後を追う。


「まったく、統率もクソもないな」


「ふふ、ダイチ様、私たちも行きましょう」


シルに手を引かれ、俺たちも魔王城に飛んで行く。


この時の俺たちはまだ何も知らなかった。

後に最悪の選択を迫られることを……

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