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開始5分でサービス終了した伝説のバグゲーに転生したんだが攻略できない!  作者: 那須 儒一
第四章 魔王討伐編

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第78話 スターナ編:星に願いを

「では、諸君……さっそく魔界を攻略していこうと思う」


ちゃぶ台を囲んで、座布団の上で全員が顔を揃える。


オルヴィエート邸で改めて、作戦会議が始まった。


こんな状況だけど、ライドウくんとロザリアちゃん、二人に久しぶりに会えたことが嬉しかった。


「この中で、魔界に行く方法を知っている者はいるかい?」


「「……」」


オルヴィエートさんの質問に対して、

皆が沈黙を貫く――そんな中、一人の男が手を挙げた。


「これは意外だな。

ガスタージャ殿、詳しく教えていただこうか」


……ガスタージャさん?

どっかで聞いたことのある名前ね。


……ダメだ、どうしても思い出せない。


「正規ルートではないのだが、その……ダイチ殿が作った巨人用のトイレとやら……その行き着く先が、魔界だった」


「そういえば、ガスタージャさんは、ダイチくんによって、一度トイレに流されてたんだっけ」

ライドウくんが顎に手を当て考え込むような仕草をしてみせる。


「皆まで言うな!

あの時の屈辱……正直、もう忘れてしまいたい」


あっ!?

……ようやく思い出した。


戦争で対峙した、あの黒い鎧の男……確か十騎士、断空のガスタージャって名乗ってた気がする。


あの時は、鎧で顔がよく見えなかったから、わかんなかったわ。


「それは、皆で……そのトイレに流されるということですか……?」


「「うっ……」」

ロザリアちゃんの発言で全員の表情が固まる。


「その巨人用トイレとやらはどこにあるんです?」


エマさんの質問にライドウくんが口を開く。


「アルスタイン王国近郊の西の平原ですね」


「せっかく、ここまで来たのにまた後戻りするのか……」

リリムちゃんが肩を落とし大きくため息をつく。


「正規ルートでの魔界への行き方が分からない以上、その巨人用トイレとやらに流されるしかあるまいか。

明朝にここを発つ。客室は好きに使ってくれて構わない。それまでゆっくりと羽を休めてくれ」


こうして、作戦会議は終了した。



「スターナさん……久しぶりだね」


解散した後、ライドウくんがこちらに歩いてきた。


「ライドウくん、元気そうだね」


離れて一年も経っていないのに、彼の顔が少し大人びた気がする。


……って、だめ。私にはダイチがいるんだから。

そんな、浮ついた気持ち、良くないよね。


「スターナさん……少し話せるかな?」


「え……うん……いいけど」


話? なんだろう?

彼の真剣な眼差しに、思わず声がうわずる。


彼に誘われるまま、居間に面している濡れ縁に腰を下ろす。


昼夜もわからないこの国で、雪解けの地面を踏みしめる人々の足音だけが響いていた。


ライドウくんは口をつぐんだまま、足元の雪を見ていた。


「話って?」


「あんまり、回りくどい言い方は好きじゃないから、単刀直入に言うね」


「え、う、うん……」


彼の言葉を待つ――白い吐息が漏れ、闇の中に溶ける。


彼は決心したように私を見つめた。


「僕はスターナさんが好きだ……」


「えっ!? ライドウくんが私を好き?」


「ごめん、驚かせてしまったね。

大丈夫だよ。スターナさんがダイチくんを好きなのも分かっている。だから、僕の告白を受け止めてくれるだけでいい」


私にはライドウくんの意図が分からなかった。


「どうして、こんな時に告白するの?」


「今、伝えておかないと、この先、僕が想いを伝える機会が永久に訪れないと思ってね。

それに、僕はダイチくんのことも好きだ。だから、二人を悲しませたくないし、幸せになってほしい」


ダイチの気持ちがわからなくて、

ライドウくんが気になっていた時期もあった……でも、私は、もうダイチを選んだ。


肝心のダイチは私のことをどう思っているか、まだわからないけど。


「ずるいよ……自分だけすっきりしたような顔をして……」


「ふっ、スターナさんもダイチくんと再会できたら、想いをぶつけてみるといい。彼は恋愛に関しては疎いからね」


ライドウくんは、想いを伝えることよりも、私を後押ししたかったんだ。


ダイチは鈍いから……私からちゃんと伝えなきゃ、ね。


「ライドウくん……ありがとう」


「僕は何もしていないよ。僕の要件はこれで終わり。さぁ、明日も早いし先に寝ててよ」


「え、ライドウくんは寝ないの?」


「うん、もう少し空を眺めているよ……」


「おやすみ……」


「ああ、おやすみなさい」


去り際に振り向くと、空なんて見えない雪洞の国で、ライドウくんは光り輝く天井を眺めていた。

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