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開始5分でサービス終了した伝説のバグゲーに転生したんだが攻略できない!  作者: 那須 儒一
第三章 陰謀と選択

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第45話 結婚報告

「はぁぁぁぁ!?  結婚!?」


「なんで、ダイチがそんなに叫ぶのよ……」

スターナが目を細めて俺を睨む。


「お父さんはそんなの許しません!」


「えっ!? ダイチって、アーシャさんのパパだったの?」


「リリム、このバカの冗談だ。

乗っかったら話がややこしくなる」


ミスティがため息をつく。


「カーリン君と言ったかね?」


「あ、ああ」


俺の威圧的な態度に、カーリンがわずかにたじろぐ。


「キミ……職業と年収は?

アーシャを幸せにできるのかね?」


「ちょっと、ダイチさん……失礼じゃない」

アーシャさんが慌てて、俺の質問を遮ろうとする。


「いや、話そう。アーシャの家族なんだ。

納得していただいた上で籍を入れたい」


カーリンはアーシャさんの手を握ると、ふっとほほ笑んだ。


それが、余計にムカついた。


「皆もご存知とは思うが、ギルド、蒼き海(アズール・オーシャン)のギルドマスターを務める。カーリン・レイニーブルーだ。

年収はギルド稼業のためどうしても不安定たが、1000万はあるだろう。他には何か質問はあるかな?」


カーリンは毅然とした態度で、躊躇いなく答える。


「アーシャさんを幸せにできるのか?」


「無論だ」


――即答。

カーリンの銀色の眼光が、俺を真っ直ぐ見据える。


「ダイチ……それくらいにしとけ」

レメリアが諭すように、言葉を投げかける。


「くっ……わかったよ」


俺はそれだけ言い残し、自室に戻った。


くそっ、カッコ悪いな……俺。

別にアーシャさんとは何でもない。

それでも、彼女が誰かのものになるのはなんとなく嫌だった。



みんな気を遣ってか、夜まで誰も部屋には来なかった。


一人になりたいのに、誰か来てほしい。

矛盾していると分かっているだけに、余計に自分が子どもじみていて恥ずかしくなった。


「ダイチさん……入っていいかしら」

アーシャさんの穏やかな声が、扉一枚を隔てて響く。


俺は布団に包まりふて寝を決め込んだ。


静かに扉が開き、温もりが隣に触れる。


俺の背中にアーシャさんがそっと手を触れる。


「家、出ていくの?」


「ええ……カーリンさんにも娘がいるの。

私は、彼の家に住むわ」


……娘? 

確かに、この国は一夫多妻制だったはず。

カーリンには正妻もいるのか?


アーシャさんはそんな俺の考えを見透かすように続けた。


「カーリンさんの妻も、同じギルドメンバーでね。私の夫と同じクエストで……命を落としたわ」


アーシャさんも未亡人だったな。

この世界がダークファンタジーだってことを改めて思い知らされる。


「アーシャさん……そんな男をやめて、俺と結婚してくれって言ったら……どうする?」


我ながら無茶苦茶なことを言っているのは分かっている。


「ダイチさんの覚悟次第ね……」


暗に俺にはその覚悟がないと、突きつけられている気がした。


「すみません。意地悪な質問でしたね。

スターナも寂しがりますよ?」


「大丈夫よ。スタちゃんは私たちが思っているより、ずっと大人だから。それに……ダイチさんもいるしね」


「そうだけど……」


「ダイチさん。全部遅すぎたのよ……。

もしも、ダイチさんが私を早く選んでくれたら……」

アーシャさんはそこで言葉を閉ざした。


どれだけ、話しても詮無きこと。


「アーシャさん。もし、カーリンに愛想が尽きたら、いつでも戻ってきてください。

俺たち待ってますから……」


「ホントかなあ?

カーリンさんが先に亡くなって、私が80歳のおばあちゃんになっても、ダイチさんは愛してくれるの?」


「当然です! 僕が介護してあげますよ!」


「ふふ、じゃあその時はお願いしようかな」


「はい!」


アーシャさんは俺の頬にキスをして、部屋から出ていった。


何も始まっていないし、アーシャさんと恋仲だったわけでもない。それでも、胸にぽっかりと大きな穴が空いた気がした。

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