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開始5分でサービス終了した伝説のバグゲーに転生したんだが攻略できない!  作者: 那須 儒一
第二章 居場所

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第38話 四の秘宝

【Eランク昇格クエストが発生しました】


頑張った甲斐もあり、ついにこの時が訪れた。


アーシャさんから屋敷で暮らすことも許されて、ようやくみんなとの元の生活に戻れた。

このまま、ランクを上げてストーリーを進めるぜ!


【クエスト名――七つの秘宝】


「おっ、昇格クエストらしい、王道クエスト臭がするな! 今の俺は調子がいい、その秘宝とやらも秒で集めてやるぜ!」


クエスト内容:七つの秘宝を集め、ギルドに寄贈せよ。七つの秘宝のヒントは下記に記す。


一の秘宝――『星の布』

ヒント:スターナの下着。


二の秘宝――『幼女の布』

ヒント:リリムの下着。


三の秘宝――『未亡人の布』

ヒント:アーシャの下着。


四の秘宝――『王家の布』

ヒント:ナージャ王女の下着。


五の秘宝――『絶壁の布』

ヒント:ユリアナ(梓)の下着。


六の秘宝――『力の布』

ヒント:ロザリアの下着。


七の秘宝――『脱兎の布』

ヒント:メルリカの下着。


秘宝って下着のことかよ!

ヒロインの下着を集めるゲームがどこにあんだよ!


これはみんなに事情を説明して下着をいただくしかないな。


クエスト条件:この依頼ではパーティーを組まずソロでクリアしてください。また、対象のキャラクターにクエスト内容を話すことは許されません。

もし、条件を満たさない場合は、秘宝は没収され、一から集めてください。


終わった……俺の考えを先読みするかの如く、手は打たれていた。


一から三までの秘宝は既に持っている。

問題は残りの四つ……。


ロザリアちゃんとはせっかく仲直りしたのに。

また、関係を悪化させそうなクエストだな。


メンバーの選出が謎だ。

確かに、ミスティとレメリアはバグ経由で味方になったようなものだ。

でも、スターナとリリムも……ナージャ王女奪還編で本来であれば死んでいたはず。


……いや、クソゲーに筋道を通すだけ無駄か。


これは今までにない厳しい戦いになる。

俺も本気を出す必要があるな。


覚悟を決め、下準備を始めた。


「まずは四の秘宝か……」

俺は、王城を訪れた。


ナージャ王女とは、ガスタージャに引き渡そうとしてからは会っていない。


城門を潜ると――ナージャ王女の寝室へと飛ばされた。


「ダイチ様……今日は何用ですか?」

彼女は輝く長い髪を揺らし、眉間にシワを寄せていた。


以前とは違い淡白な反応。

やっぱり……まだ怒っている。


「ナージャ王女……先日はご無礼を働き申し訳ございませんでした!」


膝をつき頭を下げる。


「……それで、用件はなんでしょうか?」


「いいえ、本日はお詫びの印にナージャ王女に贈呈したい物がございます!」


俺はインベントリからラッピングされた箱を取り出す。


「まぁ! なんでございましょう!」

少しだけ、ナージャ王女の声が跳ねる。


よしっ、ここはアピールが大事だ。


「ナージャ王女に誠心誠意謝るため……いえ、私の気持を伝えるため昼夜問わず、身を粉にして働いてきました!」


「ええ……ダイチ様の活躍は王城まで届いております。全て――私のためにしてくれていたことなのですね」


「はい! 全ては王都の民――ひいてはナージャ王女のために、この身を捧げてきました。そして、これはその対価で得たものになります!」


俺はリボンを解きラッピングを開封する。


ナージャ王女がこちらに駆け寄ってきた。


「まあ!」

彼女は箱から衣装を取り出した。


金箔が星々のように散りばめられたドレス。

そして、同じ布地の下着まで用意した。


「あら、どうして下着もあるのかしら?」


「差し出がましいかと思いましたが、せっかくなら、下着もセットでご用意させていただきました」


「ダイチ様ったら気が利きますのね!」


よしっ、うまく騙された。


「すみません。一つだけお願いがございます」


「ふふ、なんでしょう?」


ナージャ王女はすっかり上機嫌だ。


「このドレスの採寸に問題ないか、一目わたくしに見せてはいただけないでしょうか?」


「いいですわ! 少し着替えますから……その後ろを向いてていただけませんか?」


そう、これも全て計算済み。

王城は制作陣の手抜きにより、王女の寝室意外のマップは設計されていない。


すなわち、王女の着替える場所は、ここしかないということだ。


「はい……」


俺は背を向ける。

背後から布地の擦れる音がかすかに聞こえる。


王女様の生着替えシーン。こんなレアイベント滅多に拝めないだろうが、我慢するんだ!


「ダイチ様……もう、いいですわよ」


振り向くとそこには、眩い金のドレスをまとったナージャ王女が立っていた。


彼女はスカートの両端を持って、軽くお辞儀をしてみせる。


しかし、俺の目的はベッドの上に畳まれた普段着のドレス……その下に眠る四の秘宝……どうやってあれを手にするか……。


「どうしたの、ダイチ様……あまり似合っていませんか?」


「あ、いいえ、ナージャ王女……あなたが眩しすぎて直視できませんでした」


「まあ、お上手ですこと……でも、ありがとうございます!」


彼女の笑顔にチクリと胸が傷んだ。


「ナージャ王女、間近で見てもよろしいですか?」


「ええ……」

彼女は顔を伏せ頬を赤らめる。


「ナージャ王女……綺麗だ……」

罪悪感とともにナージャ王女の肩を抱える。


彼女の視界を塞ぐために口づけを交わした……そして、その流れでベッドに手を伸ばし、下に眠る四の秘宝をくすね――自分のポケットにねじ込んだ。


「ダイチ様……」

彼女は恍惚な表情を浮かべていた。


「ナージャ王女……」


目的は達した。あとは、このまま帰るだけ。


「すみません。ナージャ王女、この後……休養がありまして……」

早めに逃げないと下着を盗ったことがバレてしまう。慌てて踵を返す。


「待ってください……ダイチ様!」


まずい、気づかれたか……。


俺は恐る恐る振り向いた。


「ここは、確認しなくてよろしいのですか?」


ナージャ王女が、ドレスの前をはだけさせ、スカートの裾をゆっくりと持ち上げる。


つまり、俺が購入した下着のサイズ確認もしなくて良いのかということか……。


くっ、ここにきてご褒美イベントまで用意されているのか!

いや、しかしこれ以上は逃げ切れないリスクもある。


衛兵を呼ばれて取り押さえられたら一発アウトだ。


ここは、諦めて退散しよう。


「ナージャ王女、すみません……確認させていただきます!」


俺のバカ! 誘惑に負けてどうする!


「ダイチ様だけなんですよ……こんなことして差し上げるのは……」

女性が恥じらいながら、スカートの裾を持ち上げる。これのイベントに抗える男がどこにいようか……否、いるはずはない!


俺は、しかと目に焼き付けるため、まぶたを全力で開く!


その時、鼻から温かいものが垂れる……。


「きゃああ……ダイチ様! 血が出ていますよ!」

ナージャ王女が軽く悲鳴を上げる。


くっ、鼻血――アドレナリンが出過ぎたか。


ナージャ王女が俺の鼻を拭こうと、ドレスの袖を掴み、手を伸ばす。


「ナージャ王女、せっかくのドレスが汚れています。自分で拭きますから!」


俺はポケットに入っていた布を取り出す。


「えっ……」

ナージャ王女が目を見開く。


俺もその反応を見てしまったと気づく。


自分の手を恐る恐る見ると……薄ピンク色のレースの下着が握られていた。


「ダイチ様……どういうことですか?」

ナージャ王女の声が低くなる。


「すみません。ナージャ王女――あなたに憧れるあまり……手を出してしまいました」


沈黙が続く。

――やがて彼女は、呆れたようにため息をついた。


「そんなに欲しかったらあげますわよ」


「えっ!」

思いも寄らない返答が返ってきた。


「ただし、条件があります」


……嫌な予感がする。


「今晩……私と一緒に寝て下さい」


俺には分かる。これは、決して夜伽のお誘いなんかではない。


「……承知いたしました」


俺は観念して誘いを受ける。


「ふふふ……」

ナージャ王女がニヤリと笑みを浮かべた。


シャンデリアの照明が、彼女の八重歯を一層輝かせる。


“噛み付き王女”――彼女の代名詞である恐ろしい通り名。


彼女の大好物は男の鎖骨だ。

それを噛み砕くという恐ろしい癖を持っている。


俺は全てを受け入れて……再びこの身を捧げた。

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