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開始5分でサービス終了した伝説のバグゲーに転生したんだが攻略できない!  作者: 那須 儒一
第二章 居場所

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第33話 共に

アーシャさんから一通りギルドの手続きの説明を受けた。


この国でのギルドの役割は、依頼をこなして報酬を受け取る。それだけだ。

ギルドは、国命を受け動くこともあるそうだが、基本的には特定の国には所属しない傭兵のようなものらしい。


ギルド登録を済ませるには二名以上のメンバー登録と、結成の手数料10万円が必要とのこと。


ストーリー上、ギルドを立ち上げる必要がありそうだ。


登録時に一名は同行者が必要なのか……全員、連れて行く必要はない。誰か一人を選ぶなら……俺の心の内は決まっていた。


スターナの部屋をノックしようとして、一瞬手が止まる。


――ふぅ……俺は呼吸を整え、扉を叩いた。


「スターナ、少しいいか?」


「なに……」


彼女は無表情だったが、あっさりと部屋から出てきてくれた。


「ギルド登録するから、一緒に来てくれ」


「別に、私じゃなくてもいいじゃない……」


「何言ってんだ。誰か一人を選ぶならスターナ以外にいないだろ?」


「うん……」

スターナの瞳がかすかに潤む。


「ちょっと、待ってて……着替えてくるから」


断られたらどうしようかと、内心はひやひやだったけど、よかった。



互いに言葉は交わさなかった。

俺が先導して彼女が後ろを歩く。


近づくことも、遠ざかることもない。

違う歩幅、違う速度、

それでも、二人の距離は変わらなかった。


ギルド協会――北門付近に目立つように建っている、赤レンガの一軒家。


扉を開くと、バ二ーガールの受付嬢が立っていた。


「こんちはー、今日は何用?」

やる気のない声のやさぐれたバニーガールが、カウンターに両肘をついて出迎える。


俺……人生、初バニーなのに、なんか少しだけ大事な物を失った気分になる。


「ギルドを作りたいんだけど?」


「お二人さんね。血判けっぱんとギルド名を記載して、10万円支払ってねー」


「血判?」


お姉さんがどこからかナイフを抜き、俺の手を掴む。


「ちょっと、何をする気ですか?」


「見てなって」

お姉さんはそう言うと、俺の親指の腹をナイフの刃で軽くなぞる。


血が流れ出すと、差し出した書類の上にやや強引に押し付けられた。


「あとは隣に名前書いてねー」


なるほど、血の判子ね。

俺は言われるがままに名前を書いた。


スターナも俺にならう。


続いて10万円を振り込む。


「ダイチ、ギルド名は決まっているの?」

スターナの低い声が響く。


「ああ、“スターダスト”で登録してくれ」


「あいあいー毎度ありー」

お姉さんは軽く手を振り、あっさりと登録を終えた。


【チャプター6c-1 完了 チャプターを進めるには、ギルドランクを上げてください】


あっさりとチャプタークリアだ。

しかも、珍しく親切に次の目標が表示されている。


さっそく、ステータスバーにギルド名が反映される。

ギルド:星屑スターダスト

ランク:E


「とりあえず、明日から依頼をこなすか」


この物語がどれだけ続くかはわからない。

でも、いつかは終わりに辿り着く。

そうなれば、俺たちはどうなるのだろう。


「ダイチ……このあと、時間ある?」


「あ、ああ……どっか行くのか?」


「うん」


スターナは何も言わずに足早に進む。

俺は置いていかれないように、足並みを合わせる。



ここは……雑貨屋か?


木組みの出店――その片隅に、いくつか髪留めが売っていた。


「お父さんからここで、髪留めを買ってもらったんだ」


スターナは、俺が買った黄色の星形の髪留めと、

父親に買ってもらった色褪せた水色で星形の髪留めをしていた。


「新しく買い替えるのか?」


「まあね」


自分の買ってあげた髪飾りが付け替えられると思うと……少し寂しかった。


スターナは水色の星形の髪飾りを購入した。

袋から取り出し、俺の目の前まできた。


「ダイチ……動かないでね」

彼女は背伸びをして、俺の頭の後ろに手を回す。


「あれ、意外と難しいな」

彼女の吐息が鼻にかかる。

俺の襟足を触りながら何かをしている。


「よしっ! できた!」


スターナが俺の襟足をまとめ上げ、おさげにしてくれた。


「なんだ、これ?」


「ダイチってば、髪が伸びてきたでしょ……

これで、ペアルックだから……」


スターナは視線を逸らし頬を赤らめた。

何故か言葉尻になるにつれ小声になる。


「ありがと……」

彼女の意外な行動に上手く言葉が出ない。


「な、なによ。もう少し、喜んだら?」


「わーい。やったー」


「なんで棒読みなのよ!」


「冗談だよ。ペアルック……悪くないな」

なんか、言っているこっちが恥ずかしくなる。


「なんで、あんたが恥ずかしそうなのよ!

いやなら、返してよ!」

スターナは背伸びをして、俺の襟足に手を伸ばそうとする。


俺は、軽く前かがみになり、彼女の唇にキスをした。


「……ん!? ちょ、ダイチ……今……」

一瞬だった。かすかに唇が触れた。


「悪い……」


「悪いって……事故だからって許さないわよ……」

スターナは唇を押さえ、頬が紅潮していた。


「事故じゃねえよ、わざとだよ」


スターナの額を人差し指で軽く押す。


「なら、なお悪いじゃない!」

スターナが両手を挙げて喚き出す。


「ほら、帰るぞ」

俺は踵を返し帰路につく。


「ちょっ、待ちなさいよ!」

背後からスターナの足音が速くなる。


街並みを歩く二人は、並んでいた。

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