第32話 Cルート
【魔剣を入手したことでCルートに突入しました】
【チャプター6c-1 ギルド 】
あれからレメリアは何故かウチで暮らすようになった。
さて、ルートは変わったがストーリーが更新されたな。
結果的に、ガスタージャから魔剣を奪って正解だった。
「ダイチー! 帰ってきたんかー!」
部屋で考え込んでいるとリリムが背後から抱きついてきた。
「リリム! 俺も会いたかったぞ!」
リリムを抱きしめ彼女の頬に頬ずりをする。
「むぎゃーっ! キモい! やめれー!」
「ははは、そんなに嫌がらなくてもいいじゃないか。俺はリリムが大好きなんだ!」
「リリム、まだ子どもだもん!
そんなこと言われてもわかんないよ!」
リリムは、俺の顔を両手で押しのける。
「ダイチっ! 帰ってきたの!」
スターナが勢いよく部屋に入ってくる。
俺とリリムを見て……彼女は目を逸らした。
「なんか……心配して損した……」
はそれだけ言い残すと、部屋から出ていった。
「リリム……後で、お仕置きな」
「んなっ!? リリム、悪くないじゃん! ダイチが悪いんじゃん!」
リリムが俺の背中をバシバシ叩く。
ちえっ、スターナの奴、せっかく戻ってきたのに。
こっちだって大変だったんだぞ。
なんとなく、心の靄が晴れなかった。
❇
昼間とは打って変わって夜は静かだ。
窓から差し込む月明かりだけが、存在感を示していた。
ギルドか……アーシャさんに聞くのが早そうだな。
コンコン――。
静かなノックが響く。
「どうぞ……」
「ダイチさん……入るわね」
「アーシャさん」
「お帰りなさい。無事でよかったわ」
「アーシャさん、丁度よかった。
ギルドについて……んっ!」
アーシャさんは人差し指で俺の唇を塞いだ。
「ダイチさん……疲れているでしょ。
その話なら、また明日すればいいわ」
「そうですね」
「今日は、一緒に寝てあげるわよ」
いつもならアーシャさんに飛びつくところだが、今日はそんな気になれなかった。
「スタちゃんと何かあったんでしょ?」
アーシャさんは俺の体を支えるように隣に腰掛けた。
「やっぱり、アーシャさんには敵いませんね」
「ふふ、二人とも大事な私の子どもだから」
「どうせ、俺は子どもっぽいですよ」
「ふふ、親はいつまで経っても、自分の子どもは子どものままなのよ」
「でも、俺とアーシャさんは血は繋がってませんよ」
「ふふっ、何も血の繋がりが全てじゃないわよ。
ダイチさんにもその内わかるようになるわ」
「そうなんですかね……」
「それとも、私と夫婦になりたいとか?」
アーシャさんが上目遣いで俺を見る。
「子どもをからかわないで下さい」
「あら、私、本気よ!」
「そんなこと言ったら、俺だって本気になりますよ?」
「ふふ、いいわよ。ダイチさんが《《本気》》ならね」
アーシャさんには全て見透かされている気がした。
優柔不断な俺の心も、誰にも向いないこの感情を……26歳にもなって……本当にガキのまんまだよ。
アーシャさんが俺の手を引き、二人で布団に包まる。
「今日はお母さんとしてなら、甘えていいわよ」
「そうですね。でも、アーシャさん……イビキがうるさいからなあ……」
「あら、ひどい。それなら、ダイチさんのキスで私の口を塞いで……」
アーシャさんが目を閉じた。
俺はキスの代わりに彼女の唇を摘んだ。
「俺が本気になったらお願いしますね」
「ダイチさんったら、意外と焦らすのが上手いわね。これまで何人の女の子を泣かせてきたのかしら?」
「いやいや、むしろ俺の方が泣かされてますよ」
「ふふ、でも大体はダイチさんの自業自得でしょ?」
「うっ……」
それを言われると、言い返せない。
――俺はアーシャさんに背を向けた。
「ダイチさん。これからも私たちをよろしくね」
アーシャさんの手が、俺の頭を優しく撫でる。
「俺には荷が重いですが……善処しますよ」




