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開始5分でサービス終了した伝説のバグゲーに転生したんだが攻略できない!  作者: 那須 儒一
第二章 居場所

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第28話 世界の果て

ロザリアちゃんは泣いていた。

たぶん、これまで誰からも受け入れられない人生が続いたんだろう。


その気持ちは……俺にもよくわかる。


「ロザリアちゃん……酷いことを言ってごめん……」


何度目かの死を繰り返した後、ロザリアちゃんの振り下ろす拳が……止まった。


「私の方こそごめんなさい。

……ダイチさん。もう、私の前から消えてください」


彼女は馬乗りになったまま泣いていた。

消えたいけどロザリアちゃんが乗っているから消えられない……。


……ふぅ、仕方ない。

俺はロザリアちゃんを優しく抱き寄せた。


「ごめん……俺には役目がある。

だから、結婚はできない。でも、全て終わったら……」


「はい、その時まで待っていますね。

私のこと……忘れないでください」


「忘れるもんか。

キミほどパワフルな女性は他にいないよ」


「ダイチさん。殴りますよ?」


「ごめん」



茜色の空が街を照らす。

解放された達成感より、なんとなく心の中に大きな穴がぽっかりと空いている気がした。


帰宅後、みんなに見つからないように、自室に戻る。


俺のベッドで……なぜかスターナが寝ていた。


「何してんの?」


「あっ、ダイチ! ようやく帰ってきたのね!

どこに行ってたのよ!」


スターナの服装は元に戻っていた。


「ごめん……服、戻ったんだ?」


「うん。ダイチがいなくなってすぐに戻った。

もう、みんな怒ってないから安心して……って、くんくん……なんか、あんた香水臭くない?」


「うっ……」

たぶんロザリアちゃんの匂いだ。


「ふーん。

人が心配してたのに、女の家にいたんだ」

スターナはベッドから起き上がり、鼻を鳴らして、部屋から出ていこうとする。


「スターナ、待ってくれ!」


俺はスターナを引き止めた。


「な、何よ! 別にあんたとは何でもないんだから、他の女のところで暮らせばいいじゃない!」


「違う、スターナでいい」


「……でいい?」


「あっ、違った。スターナがいい。胸なんか無くてもそばにいてほしい!」


喪失感からか、一人になるのが寂しかった。


「あんた、言葉選びがずっと終わっているわよ。

しかも、別の女と比べているでしょ!

サイテー!」


スターナは俺の腕を振りほどき、部屋から出ていった。


俺は、ゲーム世界でもまともに恋愛ができないのか……。

いや、これも全て身から出た錆……。


枕を涙で濡らし、一人で眠った。



数日が経過するが、ストーリーの手がかりすら一向に掴めない。


王都を散策したり、ナージャ王女の元を訪ねてみたが、まったく反応がない。


ガスタージャに引き渡そうとした件で、

ナージャ王女には完全に嫌われたようだ。


今までのハーレム状態が幻想に思えてきた。


俺の非モテは、主人公のハーレム設定をも上回るのか?


俺は、現実から目を背けるように、ストーリーのフラグ回収に勤しんだ。


「ぬし様、こんなところにいた。

もう、じきに日暮れだぞ?」


近郊の森を散策していると、空からミスティが舞い降りてきた。


「なかなか、ストーリーが進まないんだ」


「ぬし様は、元の世界へ帰りたいわけではないのだろ? そこまで躍起にならなくても、よいのではないかの」


ミスティは白いドレスのスカートをはためかせ、宙に浮く。


「梓と約束したから。それに、最近浮かれていた。少しは誠実に生きたいんだ」


「充分、誠実だと思うがの……」


スカッ――。


「ん?」


地面を踏んだ感触がない。


えっ……まさか……床抜けバグ――!


まずい!?

俺はとっさにミスティのドレスを掴む。


駄目だ、体が重力に逆らえず落ちていく。


「うおおおおおおおおお!?」


「ぬし様ぁぁぁぁぁ!?」


俺とミスティはそのまま奈落へ落下する。



気がつくと、俺は真っ赤な空の下に立っていた。

見渡す限りの荒野。


空気は重く、どこからともなく魔物の咆哮が響く。


「ここは……」


【エンドコンテンツ・魔界エリア】


突然、視界の端にメッセージウィンドウが表示された。


「エンドコンテンツ?」


この世界に魔界なんかあったのか……これ、ストーリークリア後に遊ぶやり込み要素だろ。


むしろ、飛び越えちゃったよ。

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