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開始5分でサービス終了した伝説のバグゲーに転生したんだが攻略できない!  作者: 那須 儒一
第二章 居場所

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第26話 衣装バグ

くそっ、どうしてこうなった!


ガン、ガン、ガン!

部屋の外から、扉を激しく打ちつけるノックの音、奴らの怒声が鳴り響いている。


「おらっ、出てこいやダイチ!」

怒鳴るナージャ王女。


「はやく、これを戻してよ!」

スターナの声も聞こえる。


「貴様、今日という今日は許さんぞ!」

カーリンまでいらっしゃる。


誰か俺を助けてくれ!



遡ること30分前、俺は暇つぶしにクラフトメニューでキャラの衣装作りに励んでいた。


作成した衣装は、パーティーにさえ加入していたら、試着ができ、実際に着せずに映像としてその姿を拝める。



例えば、スターナのスク水衣装やアーシャさんのブルマ姿など、本人に実際に着せなくてもその姿を拝めることができる。


先日、ようやく素材が集まり、ある衣装を作成した――俺は、いつものように部屋に籠もり、試着画面を選択した。


カーリンが、たまたまアーシャさんに会いに来ていたので、彼もパーティーに加入させ着せ替えごっこを楽しむ。


ベビーベビーセット。

おむつ、おしゃぶり、ボンネット、エプロンの4点セット。


「ぎゃはははは!」

カーリンのあられもない姿に思わず爆笑してしまう。


「ちょっと、ダイチ! また、パーティー加入してるだろ! リリムが外に出かけられないじゃないか」


やばっ!

リリムの声で、慌てて衣装画面を操作をする。


衣装→一括装着→反映。


あっ……やばい、パーティーにいる全員にベビーベビーセットを反映させてしまった。


「ぎゃあああ、なんだこの格好は!

ダイチ! なにをした!」

リリムの絶叫が扉1枚を隔てて聞こえてくる。


慌てて操作するが……くそっ、なんで戻らないんだよ!

バグってんのか? 見た目変更を解除できない。


まずいっ!

ドタドタと大勢の足音が俺の部屋に迫ってくる。



それで、今に至る。


「ちょっと、ダイチさん。こんな恥ずかしい格好嫌です! 早く解除してください!」


アーシャさんの声が響く。


「ぬし様……早く開けるのだ。今なら、5回殺すだけで許してやる」


駄目だ、ミスティは完全にブチギレている。


「ぷっ、ぐふふふふ」


扉の外で、全員が赤ちゃん衣装で慌てふためくところを想像したら、笑いが堪えきれない。


「なに笑ってんのよ! 大地、早く開けなさいよ!

麻痺からの痛覚倍増コース決定ね」


まずい、そういえば梓もいたのか。


駄目だ、今、扉を開けるわけにはいかない。

殺されるだけじゃ済まない。


――扉が激しく揺れる。


魔法で攻撃しだしたが、オブジェクトはパーティーメンバーには壊せない。


しかし、時間の問題だ。

パーティー加入させれない人が来たら、この扉は破られる。


「みんな、バグで解除できないんだ!

許してくれ!」


「そうなんだ。なら、仕方ないか……」

よし、チョロいスターナなら説得できそうだ。


「ダイチがこの前、『アーシャさんの、水着姿……』って言いながらはぁはぁしてた」

リリムから爆弾が落とされる。


「まぁ、ダイチさんったら♡

言ってくれれば直接見せてあげるのに」

アーシャさんの艶めかしい声が響く。


「ちょっと、ママ、そんなの許さないから。

ダイチ、やっぱり衣装変更を悪用しているじゃない! 少しでも信じた私がバカだった」

ちっ、スターナを騙せなかったか。

リリムめ、余計なことを……。


「おい、ダイチ……アーシャの水着姿だと!

私だって拝んだことがないのに! 貴様、許さんぞ!」


カーリンから異様な圧を感じる。

姿は見えないが……わかる。


「ぬし様は、やはり浮気性だの……勇者と同じだ……この世界、やはり滅ぼす!」


やばい、ミスティの逆鱗に触れてしまった。


扉の外から詠唱が聞こえる。


「ちょっと、ミスティちゃん。やめてっ!」

梓の慌てふためく声が聞こえる。


「お前ら、くすぐれ!」


「あ、ぬしら止めんか! ぎゃは、ぎゃはははは……」


梓たちが慌ててミスティを取り押さえ、くすぐり始める。

姿は見えないけど……たぶん、そうだ。


よしっ、今のうちに……。

パーティーを全員解除する。


俺はこっそり二階の窓から飛び降り、自宅から走り去った。

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