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開始5分でサービス終了した伝説のバグゲーに転生したんだが攻略できない!  作者: 那須 儒一
第一章 バグたらけの異世界生活

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第19話 創世の魔女

【nチャプターjえな-@6】


カンっ!カンっ!カンっ!カンっ!

けたたましい警鐘の音で目が覚める。


「朝っぱらからなんだってんだ……」

目覚めると、リリムが俺の上に乗っかって寝ていた。

俺の服はリリムの涎でびしょびしょだ。


「うげぇ……」


俺は、リリムを押しのけた。


「ふげぇ」

リリムは床に落ちたが、起きる気配は皆無だ。


服を脱ぎ、半裸で外に出た。


なんだ……これ……。


――昏く染まる空。

王都を覆うように巨大な魔法陣が描かれている。

その上空には誰か浮いていた。


「あれは誰だ?」

肉眼では見えそうにない。


街の人々が空を見上げる。

ある者は祈り、ある者は泣き、ある者は笑っていた。


「あれは……創世の魔女……」

気づけば、ネグリジェ姿のアーシャさんが隣に立っていた。


「創世の魔女?」


「ええ、世界を創造したとされる魔女よ」


「そんな奴が、どうしてここに?

それに、何をしているんだ?」


「彼女は一千年前、恋仲にあった勇者が浮気したことにより、世界を滅ぼそうとした。

それを防ごうとした勇者に討たれたのに……どうして……」


「浮気なんて、最低だな!

同じ男として恥ずかしいよ」


なぜかアーシャさんが目を細め睨んでくる。


「ど、どうしましたか?」


「いいえ、自分のこととなると見えなくなるものね」


なんだか責められている気がする。


「その創世の魔女とやらは何をする気です?」


「御伽噺では、嫉妬に狂って王都を滅ぼそうとしたらしいわ。もしかして、その復讐なのかも……でも、彼女は死んだはずなのに……どうして」


「とりあえずメノウ魔法学園に向かいます。

アーシャさんは、二人を起こして連れてきてください!」


「はい、わかりました。ダイチさん、お気をつけて……」


メノウ魔法学園の塔を登ればどうにかなるかもしれない。



「大地! なんなのあれは!」

あずさが、息を切らしながら、こちらへ駆け寄ってきた。


俺は梓に情報を伝えつつ、二人でメノウ魔法学園を目指す。


「てか、あんた何で上半身裸なのよ……」


「リリムの奴に涎で汚されたんだよ」


「あんた……楽しそうね」


「なんだよその含みのある言い方は、別に何もしてないぞ。そんなことより、学園へ飛ぶぞ!」


「えっ、飛ぶって……きゃっ!」


俺は梓の腰を抱え、有り余る物理で跳び上がった。

空を跳ね、メノウ魔法学園へと着地した。


「これなら速いだろ?」


「やるならやるって言ってよね……ちょっと出ちゃったじゃない」


詳しくは聞かないようにしよう。


学園前の広場には既に、人だかりができていた。


その中心に眼帯を着けた隻眼の男が、長い銀髪を揺らし空を見上げていた。


確か、アーシャさんの所属ギルドの長で、俺のレベリングを手伝ってくれた奴だ。

……ま、正確には仕様を利用して、こいつを何度もボコしただけだけど。


気配を察したのか突然俺の方を向いた。


「君は……ダイチくんじゃないか」


こいつ、俺の名前を覚えていたのか。


「よう、久しぶりじゃねぇか。

経験値カーリン!」


「おい貴様!

今、何と書いて、カーリンと読んだ?」


「まあまあ、細けえことは気にすんなって、それよりどういう状況なんだ?」


カーリンは咳払いをして、再び空を見上げた。


「あの魔法陣は展開中だ。

あれが完成したら……王都は跡形もなく滅ぶだろう」


「そんなにヤバいの……?」

梓が割って入る。


「てか、大地……どう思う?

これ、ストーリーなのかな」

梓が心配そうに俺のズボンの袖を掴む。


「なんか、チャプター開始時に文字化けしてた気がする。また、バグかもしれない」


「せめて、創世の魔女の元へ行けたら……

メノウ魔法学園って何階まであるんだ?」


「さてね、私の知る限りでは6523階が最高到達記録だ」

カーリンがとんでもないことを言い放つ。


「マジでクソみたいな設定だな」


「活力満ちよ――」

“補助魔法・バイタルフォース”


梓のバフが俺にかかる。


「走るんでしょ? 頼んだわよ!」


「おう、任せとけ!」


「もしも間に合わなければ、私が魔法で止めよう」

カーリンが詠唱の準備を始める。


「期待してないけど、頼んだぜ!」


俺は、メノウ魔法学園の中央の螺旋階段をひたすら駆け上がる。

梓の魔法のお陰で、スタミナが無限に感じる。



どれだけ登ったか分からない。

暗雲に黄金色に輝く魔法陣が描かれ、空が明滅する。



空が堕ちた――そう表現するしかないほどの雷の塊が、王都へ降り注いだ。


ザザザ――なんだ、体が重く……

俺はこの感覚を知っていた。


前世で幾度となく苦しめられたあの感覚。


そう、これは――処理落ち(フリーズ)だ。


ぷつん――テレビの画面が消えるように、世界が暗転した。



【裏チャプター −965-3  滅亡と創まり】


チャプターがマイナスってどういうことだよ。

文字化けは直ったが、明らかに正規のストーリーじゃない。


気づけば、ベッドの上に戻されていた。

リリムの涎がそれを証明していた。


俺は隣の部屋で寝ていたスターナを抱え、

メノウ魔法学園へ跳んだ。


「ダイチ……どういうことなの……」

半分寝ているスターナが目を擦る。


曇天どんてんに円が描かれ、さっきよりはまだ時間の猶予がありそうだ。


「スターナ、俺を重力魔法で、あの人影の元まで飛ばしてくれないか?」


「えっ、どういうことか教えてよ」


「今は時間が惜しい、頼む!」


「もう、わかったわよ。

見果てぬ空よ、昇華、反転、堕落、失墜――空へ落ちろ!」


“重力魔法・インザスカイ”


俺の体が突如、空へと引っ張られる。

――というか、天へと落ちていく。


凄いな、この魔法。

火力こそないものの魔法の汎用性の高さには、毎度驚かされる。


創世の魔女の元へ舞い上がった瞬間、彼女と目が合った。


緑色のウェーブがかった髪にエメラルドの瞳。

植物の装飾が施されたティアラ――純白のドレスに蔦のような刺繍が彩られていた。


俺は――この美少女を知っている。

スターナとリリムを助けた時、俺が連れ出した女の子だ。


俺が助けた少女こそ――創世の魔女だった。

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