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開始5分でサービス終了した伝説のバグゲーに転生したんだが攻略できない!  作者: 那須 儒一
第一章 バグたらけの異世界生活

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第11話 因果応報

教室に入ると、華奢な少女が立っていた。

青髪のショートボブを掻き上げながら、泣きそうな顔をしていた。


「や、やっと来た……お、お腹空いた……」


「誰?」


「私は片桐かたぎりあずさ……じゃなかった。ユリアナ・なんとか・アローレインと申します」


後半の自己紹介が明らかに雑だった。

……もしかして。


「キミも転生者なのか?」


「えっ! あなたも転生者なの?」

彼女は目を見開く。


「俺は小森大地――転生者だ」


「そうなんだ。この世界、本当に訳わかんない。

“主人公が来るまで教室で待機しろ”ってメッセージが出て……数日間、50階のフロアから出られなかったの……日中は教室に閉じ込められて……夜も、廊下とトイレしかいけないし……」


察するに、別の登場人物に転生したのか……

ステータスを参照する。

ユリアナ・バージャエスト・アローレイン(片桐梓)か。

レベル3か……ストーリー進行でパーティー加入するのかな。


だから、俺が来るまで、ここに囚われていたなんて……可哀想すぎるだろ。


「こほん。ええっと……私、仲間を殺したガルデルド帝国が許せない!

遠征任務に選ばれたし、一緒に協力しましょう!」


梓は予定調和の台詞を喋りだした。


パーティー加入可能欄に片桐梓の名前が出現していた。


ここで選択したらストーリーが進行するのか。


「うーん。顔は悪くないけど、貧乳枠はスターナとリリムで埋まっているしなあ……。

仲間に入れてもいいけど、レベル3に何ができるんだ?」


「べ、別に胸は関係ないでしょ!」

梓は自分を抱きしめるような仕草をしてみせる。


「ダイチ……あんた、人として終わっているわよ……」


「女の子を胸でしか判断しないなんて、

クズだクズ!」


女性陣から総スカンをくらう。


別にパーティー加入する分には問題ない。

でも、最初にイニシアチブを植え付けておかないと、転生者なら後々俺に反旗を翻す可能性もあるからな。


「そんな態度でいいのか?

俺がストーリーを進めないと永遠にここから出られないぞ?」


「「ダイチ、さいてー」」

スターナとリリムがハモる。


「おい、外野は黙ってろ。

さあ、梓君――なにか、アプローチをしてみなさい」


「くっ……」

梓は体を震わせながら膝をつく。


「ダイチ様……あなたの言うことは何でも聞きます。どうか、私をここから解放してください」

梓は土下座し、額を床につける。


「ええー、どうしよっかなあ」

嗜虐心をくすぐられ、ついつい勿体ぶってしまう。


「痺れろ!」


“妨害魔法・パライズ”


「ふげぇ!」


全身が痙攣して、立っていられない。

たまらず俺は、仰向けに倒れた。


「まさか、梓の魔法……」


口はかろうじて動く。


「警告し、恐れよ……」

“妨害魔法・ペインエンハンス”


な、何だ……立て続けに、梓からデバフを受ける。


「お、おい……梓……なにをした?」


「すぐに分かるわ……」


梓が、動けない俺の足を踏みつける。


「うぎゃああああ!

お、俺の足が……」


20ダメージ――別に傷もない。


ダメージの割に、足が象にでも踏み潰されたような痛みが走る。


……象に踏まれたことなんてないけど、

痛覚が倍増されているのか。


「あら、ダイチくんってHP6453もあるんだぁ。

これなら、たっぷり楽しめるわねっ!」


再び梓が俺の足を蹴飛ばす。


「いぎゃぁぁぁぁ!」


「ゆ、許してくれ……俺が悪かった。

パーティに入れてやるから……」


梓が俺のお腹の上に座る。


「ふぐぅぅぅ……スターナ、リリム……助けてくれ……俺たち仲間だろ?」


「貧乳枠のね……」

スターナが俺の胸の上に座る。


「ぐぅぅぅ、重い……」


「女の子に重いだなんて、デリカシーがないわね」

梓は嗜虐心を剥き出しにして、俺の太ももをつねる。


「ひぎゃゃゃゃ」

だめだ、痛みでおかしくなりそうだ。


「ふ、二人とも……さすがに可哀想ではないか?」


リリムが、スターナと梓を諌める。


「リリム……お前だけだ、俺の本当の仲間は……」


俺はリリムに手を伸ばす。


リリムは震える手で俺の手を握ろうとする。


「リリムちゃん。ダイチがこの前、リリムちゃんの下着で顔を拭いていたわよ」

スターナから爆弾が落とされる。


「な、なぜそれを知って……いぎゃぁぁぁぁ」

リリムが俺の手を取り、指を変な方向に曲げ出す。


「ダイチ……死ね!」


やばい、全員敵に回った。


「むしろ殺してくれ……俺をこの地獄から解放してー!」


「ふふ、ダイチくん。HPがまだ5569も残っているわよ。回復薬もたっぷりあるから、私たちと楽しみましょうね」

梓の冷たい笑みが俺を見下ろす。


「ひぃー」


「梓ちゃん、私もダイチにこき使われて……ぐすっ」


スターナが泣き出した。


「うんうん。

つらかったよね、こんなクズ男が主人公で……」

梓はスターナの頭を撫でる……俺の体の上で。


「いやいや、俺のほうが可哀想だろ。

頼む、雑談なら、別のところでしてくれ……」

俺は泣きながら懇願する。


「ダイチくんって、本当にクズなんだね。

スターナちゃんをこんなに苦しめていたのに、別のところに行けだなんて……」


その後も、瀕死になるまで、俺への拷問は続いた。

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