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開始5分でサービス終了した伝説のバグゲーに転生したんだが攻略できない!  作者: 那須 儒一
第一章 バグたらけの異世界生活

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第10話 トイレ事件

プレイヤー名:ダイチ

レベル103

HP6453  МP112

物理3696 魔法13

防御1269 速度1269


――小森大地は最強になった。

なんとなく、自分でナレーションを入れてみる。


カーリン稼ぎを周回して、とりあえず物理特化でステ振りを行った。


何度この台詞を思い描いたかわからないが、

……このゲーム、マジで終わっている。


物理にステ振りをすると、HP、防御、速度も上昇する。


そして、魔法をあげても……MPしか上がらない。


カーリンはマジで弱かった。

というか、ストーリーの進行方法を見つける方が大変だった。


分かってしまえば、条件は簡単だった。

カーリンの特級魔法を受けて、耐える。

これが進行条件だった。


あいつの詠唱、5分ぐらいあるんだもん。

何度、待ちきれずに殴ってしまった……。


“カーリンの靴下”とかいう、クソみたいなドロップ品が50足も貯まってしまった。


ステータスは確かに強いんだけど、

カーリンの中古靴下なんて履きたくねぇよ。

穴も空いているし……。


全部売って金にした。1足1円――激渋。


明日は5時起きらしい。

朝早いのはつらい。


帰ろうと、メノウ魔法学園から出ようとしたら、

「あっ、忘れ物しちゃったみたい。教室に戻ろうよ!」

スターナがなぜか棒読みで声を上げる。


「一人で取ってこいよ。1年5組の教室って50階まで登らないといけないんだろ?

面倒くせえよ」


徒歩で50階とか終わっている。

入学時に一度登ったっきり、行ってなかった。


スターナを置いて先に帰ろうとするが、

見えない壁に阻まれ、学園から出られない。


「あっ、忘れ物しちゃったみたい。教室に戻ろうよ!」

スターナが同じ台詞を吐く。


あーあ、そういうやつね。

これもストーリーの一貫か……マジで面倒くさい。

仕方ない。あれを使うか。


「スターナ……俺……お前のことが好きなんだ……」

俺はスターナの両肩に手を置き、彼女の薄紫の瞳を見つめる。


「えっ、ダイチ……突然どうしたの?

そんなの信じられないよ……私のどこが好きなのか言ってみてよ!」


「スターナは可愛くて、ガサツで、ツンデレで……えっーと、うるさくて……面倒で……そんなところが好きなんだ!」


「なんか、ほぼ悪口じゃなかった?」


「馬鹿野郎! 嫌なところ全て愛しているんだ!」

こうなったら勢いで誤魔化す。


「ダイチ……」


「スターナ……50階までおんぶしてくれ……」


「あんたって男は……最低ね……」


「あれ……だめ?」


「なんで、それでオッケーが出ると思ったのよ!」


「仕方ない、歩くか……」


「おい、お前ら! リリムをそっちのけでいちゃつくな!」


「あ、ついでにリリムも好きだ。

だから、おんぶしてくれてもいいぞ?」


「お前、よく今の流れで、リリムに告白できたな。

それに、“ついでに”とか最低だし、“だからおんぶして”も意味不明だ!」


リリムの鋭いツッコミが飛ぶ。


はぁー仕方ない。

俺は諦めて50階まで登った。


「はぁ……はぁ……はぁ……」

このメノウ魔法学園を設計したやつ、どうかしているだろ。現実に戻れたら真っ先にぶん殴ってやる!



「あれ……教室に誰かいるみたい?」


スターナが棒読みボイスを再生する。


「おい、適当言うなよ。ここから1-5の教室の中なんて見えないんだろ」


「いるもん! 台本に書いてあるもん!」


「どういうことだよ、お前らNPCは台本を読みながら台詞を喋っているのか?

そんな、声優みたいな感じなのか?」


「リリムの台本には何も書かれてないんだけど……」


「お前は今回用無しってことだな」


「なら、リリムは帰らせてくれー、お腹空いた!」


「嫌だね。意地でもパーティー解散はしないぜ。

こうなったら、リリムも巻き込んでやる」


「二人とも早く行くよ!

ストーリーが進まないよ!」


「待て、その前にトイレに行かせてくれ!」


入学時に万が一に備えて、仮設トイレを一応設置しておいた。


結局、一度しか使わなかったけど……。


一息つこうとトイレに入る……あれ?

便座が下がっている……それに、かすかに漂うアンモニア臭……。


俺はここで、小さい方しかしていない。

ちなみに俺は立ってする派だから便座は下げない。


誰かがトイレを使った?

でも、NPCはトイレを使わない……

ここから導き出される答えは一つしかない。


まさか……俺以外にも転生者がいる?

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