09 一方、その頃① ~エクリプス皇国~
「へ!? その話、本当なんですか!?」
「ええ、そのようですわ。 アッシュ王国が召喚したという35人の中に貴方が話していた安地 平斗という男がいたと、ステラ王国から報告が届きました」
私は、神楽 ゆかな。
九重有人くんとは中学時代のクラスメートであり、高校も同じ学校…だった。
2年になったとき、転入してきた安地 平斗とその取り巻きが急に有人くんをいじめた。
有人くんは、それによるダメージがきっかけで退学。
当時隣のクラスだった私を含め35人のクラスメイト、担任もそれに追従するように学校をやめた。
それからは通信制学校に編入のために色々と準備をしていた矢先、いわゆる異世界へと飛ばされた。
私が飛ばされた先は、魔族領の一つでエクリプス皇国。
この国は種族の共存主義を掲げる7つの国家群で作られた国際組織、通称『七人委員会』に属する国の一つだそうだ。
今、私と話しているのは飛ばされた際に保護してくれた皇女殿下であり、名前はシャリア・エクリプスという吸血鬼の中でも高位の種族、ノーブルレッドだそうだ。
そんな彼女の前で私は今回の件で怒りに震えている。
私は二度と元の世界に帰れないのに、あいつらは事が終われば元の世界に帰れる算段がある。
有人くん、そして双子の女の子の事を思うと許せない思いでいっぱいだった。
「ゆかなさん、ここはひとまず落ち着きましょう」
シャリア皇女殿下は、怒りに震えた私の手の甲に手を添え、優しく諭してくれた。
彼女の母のような温もりに少し落ち着くことができた。
「すみません、色々と思い出して」
「いえ、こちらこそ色々思い出させたみたいで…。 あ、ゆかなさんにこれを」
「それは?」
「七人委員会で判明し、保護した転移被害者のリストです。 最初に渡した1枚はステラ王国で保護された人たちのものです」
「どれどれ…」
そう言って私にその紙を渡してきた。
私はそのリストの内容に目を通した、その時だった。
「え!?」
リストを見て私は目を疑った。
そして、恐る恐るシャリア皇女殿下に聞いた。
「これ…、ホントなんですか?」
「ええ、第六王女のアリアード様から伝えられた内容を元にリスト化したものですが…知り合いですか?」
「はい。 友達と、その友達のご家族です」
「まぁ…」
そう、何を隠そうリストの中には有人くん、そして双子の七海ちゃんと野乃香ちゃんが…。
さらにそれぞれのご家族の人たちがステラ王国に転移されていたのだ。
本当の奇跡なのかはわからないが、少なくとも私の中では安心したと同時にもう一度会いたいという感情に包まれていた。
そんな時、皇女殿下がこう言ってきた。
「3日後にステラ王国に出向く予定ですが、一緒に行きますか?」
「は、はい! もちろん行きます!!」
ステラ王国にいる友達に3日後に会える。
そんな期待を胸に抱き、私は3日後に向けて色んな準備をし始めることにした。




