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祝☆3000文字突破。
ちなみに2時間かかりました。
朝日もまだ顔を見せない時間帯にぞろぞろと歩く集団がある。
彼らの衣類は総じて薄汚れていて見目の良いものではなく、近づけば悪臭でと漂ってきそうな風格だ。
持っている物も一応は刃物の体はなしているようだが、手入れもろくにされていなくて、使い物になるかというと疑わしいものばかり。
盗賊達が今日も今日とて名前どうりの行為を繰り返す。
早朝、村が慌ただしくていつもより早く目が覚めた。
今日は祝いでもあっただろうか。そんなことをぼんやり考えていると、ここへ駆けつけてくる音がする。
「ヨモ起きて、賊が大変なの!」
その慌てようを見て、分からないながらに頭より先に心臓が急稼動に励んでいて、少し苦しい。
「何があったのかよく分からないよ」
「いいから早く」
わけも分からないままに連れ出されるとバルトリウスさんまでフル装備していて混乱の極みである。
どれくらい混乱しているかというと何かしないといけないと思うのに何をしていいのか分からずに結局は何もできない
「ヨモ、盗賊だアリウスと隠れてろ」
さすがは年の功と言うべきなのか、とても分かりやすい説明だ、けれど盗賊なんて初体験なのですぐ行動しろと言われても難しい。
「あの、できることは?」
「隠れることだ」
「戦ったりは」
「できるのか?」
簡単なやり取りで無力だと思い知らされるのは悔しいが、何ひとつ間違ってはいない。
だけど見るからに戦いに行くと言わんばかりの人を前にして、じゃあ俺は隠れてますなんて言いたくない。
「おれっ」
「アリウスはどうする」
武では分かるが口でも瞬殺された、知識チートしてる奴らに言ってやりたい、異世界人を舐めるなよってこの人たちだって普通に賢いからな。
この俺に口論で勝てるんだから、なんて別に口論なんて語るほど経験はないけど言い訳を誰にするでのなく考えてみる。
「盗賊達どうするんですか?」
「やられる前にやるしかない」
「縛っておくとかは」
「それで逃げられたら、誰か被害にあったら、責任とれるのか」
力がなくても、力をつければいいなんて呑気に考えていたけど、緊急時にはこれ程までに不甲斐ないとは思わなかった。
お前のだから持っておくといい、と鍬を渡されたが、縄じゃないの? この鍬で何をしろと?
解決策を考えるけど、解決できる力もなければ、策があったところで実行する時間もない。
必死に考えても浮かんだのは、下手の考え休むに似たりってどこかで聞いた覚えのある格言だけで、気づけば物置小屋に閉じ込められてしまった。
「ヨモは戦いたいの?」
「いや、違うけど何も出来ないのが嫌なんだ」
「私のせいで、ごめんね」
落ち込むアリウスを慰めながら、安全な場所で行っていたら力になれた、なんて言っている自分に自嘲するしかない。
「あのね、鍵閉められたけど小屋からの抜け道があるの」
「でもアリウスは」
「私は大丈夫、お父さんに狩りに連れていってもらった事もあるんだから」
女の子が背中を押してくれるのだから男として行動しない訳にはいかない。
そんな謎の意地に突き動かされて、教えてもらった小窓へ物を積んで這い上がる。
「じゃあ行ってくるよ」
「気をつけてね、お父さんと帰ってきてね」
脱出に成功した俺は叫び声の聞こえる方へ駆け出していく。
しばらくすると騒ぎの中心でバルトリウス無双が起こっていた、あれ? 俺の来た意味はあったのだろうか。
自問自答を繰り返し引き返そうかと悩んでいるとバルトリウスさんに見つかった
「ヨモ! なんで来た」
「ごめんなさい、でも我慢できなくて」
役に立ちたい、そんな一心で駆け出して気づけば、なんとか持ち出した鍬もとい大地粉砕丸だけで何ができるのだろうか。
「奴の動きが止まったぞ、たぶん家族かなんかだ、狙え!」
現実とは残酷なもので、こちらが止まっていても状況は動くし、それが悪化であるなら最悪である。
迫り来る賊どもを耕してやろうなんて意気込んでいた身体はもはや震えて動かない。
「まったく、庇うってのは避けようがねぇな」
「バルトリウスさん! なんで……」
「一緒に暮らしてたんだからお前も家族だ、親として守らないとダメだろ」
不安や恐怖に喜びだとか感情が混ざりあって涙が落ちる。
必死に何か言わねばと頭では思うのだが、口が動かないし、いざ
言うとしても何を言えばいいのか分からずに頭が真っ白になる。
そうしている間にも、どうしていいか分からなくて蹲る俺を庇うために、傷が増えていくバルトリウスさんを見ると胸が締め付けられて、自分への怒りが湧いてきて、相手への憎しみが募る
「お前らなんで人を襲うんだ」
「そうしねぇと食っていけねぇからだよぉ!」
俺の激情を知ってか知らずか、錆び付いた武器を振り下ろしてくる盗賊がバルトリウスさんによって切り飛ばされて、殴り飛ばされていく様を見ると、このまま勝てるんじゃないかと期待が膨らむ。
だけど手負いの獣は怖いという理由をこの時になって初めて知った、それまでは突っ込んで吹っ飛ばされてを繰り返していたのに、一人がしがみつくと、他の奴らが斬りかかってバルトリウスさんも抵抗するがしがみつく人数が増えて盗賊の間から大量の血がこぼれ落ちるバルトリウスさんを見て自分のせいでと自責の念で身体は動かないどころか感覚も曖昧で頭も上手く働かない
盗賊らが既に突き刺していない場所はないと言わんばかりに離れた隙を見て、慌てて駆け寄ると身体中から血が吹き出しているバルトリウスさんの姿があった。
「なんで……なんで俺なんかのために」
「勘違いするなよ、歳とって、娘と息子に気遣いされるより、戦場で死ねた方が、マシってことよ」
途絶え途絶えに自分の意思だから心配無用と言われてしまうが、庇われた側からするとそうもいかない。
「まだ息がありやがる早くトドメを!」
盗賊の声でまた身体が震えそうになるが、身体より心の方が怒りで震えている。
こいつらはまだ俺から奪おうとするのか。
思えばこの人達にもこうするしか無かった理由があるのだろう。
何事にも理由があるし、生きていくということは妥協し合うことだと思っていた。
けれどこれは違う、相手が生きるために、こちらは奪われないといけないなんて理不尽だろう。
今まで人がいて営みがあるから、考え方も平和な世界の常識を使っていたけれど、適応とでも言うべきか、その場ごとに考えは変える必要があると気づいた、それを覚悟とも言うのかもしれない。
正義なんて曖昧なもので皆が自分こそ正しいと思っている、だから自分の意見を主張しなくてはいけない。
俺には俺の大義名分によって奪われない為にはどうするか、証明しなくてはならない。
バルトリウスさんが見ているうちに。
怒りのせいか覚悟のおかげか既に身体の震えも止まっていて、認めたくないと、ぼやけていた視界はハッキリしている。
「これが覚悟か」
今まで相手の顔色ばかり見て、あまり口に出すことはしなかったけど、今からは自分の想いを口に出していく、そうしないと相手には伝わらないと知ったから。
「おう、ガキも死ぬ覚悟ができたようだな」
「いや、考えてみれば難しいことはなかった、大切な人と見ず知らずの他人どちらが大切かなんて言うまでもない」
覚悟を決めた俺は大地粉砕丸なんて大層な名前をつけた鍬を持って構えた。




