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正直に言います。
異世界の辛さを伝えるために作った片腕設定
いつの間にか記憶の彼方に旅立っていました。
足下には、いたるところに木の根が張っているので、転ばないように走っていく。
俺的には地面を踏んで進むと根っこに足を取られたり、最悪は落ち葉で滑ったりするので、いっそのこと木の根の上を踏んで進んだ方が速い気がする。
たまに根っこに滑る時もあるけど、まぁそこは経験あるのみとしか言えない。
そろそろ声が聞こえきた辺りだろうか。
周りを見渡していると、また聞こえてきて悲鳴が近づいてくる。
「あっ、そこの人も逃げてぇ!」
「ふむ、可愛いな。よし俺が助けてやろ……え」
そして俺は即座に、華麗に、回れ右して全力疾走。
「凄い、速い! 視界がハッキリしてる、俺はいま、輝いてる!」
「やっぱり、待ってぇえ」
「こっちに来るんじゃねぇ!」
ええ、最初は助けようと思いました。
猪くらいなら鹿を降した事もある俺から見ると怖くはない。
熊なら、まぁ何とかなる可能性も無きにしも非ず。
でも何あれ、なんで蛇?
何あの大きさ、遥かに怖い、果てしなく怖い、永遠に怖い。
いや、最後のは違う気がする。
それよりも、ただでさえ長さは木が邪魔で見えんが、頭の太さだけで俺の腰より太いのだ。
食われたら抵抗する暇もなく、ずるっと逝くのが目に見える。
その上に、あの蛇の体特有の急カーブ、避けたと思ったら後ろから、なんて事には絶対になりたくない。
「待ってくださいよぉ、そうだ、一緒に倒しましょうよぉ」
「ふざけんじゃねぇよ、あんな雑魚に俺が手を下すまでもないんだよ、お前がやれよ」
「さっき僕の顔を見て可愛いと思ったでしょ、なら最後まで責任を持ちましょう!」
「見てませんー証拠はあるんですかー」
「意外と女の子は視線が分かるんですよ?」
くっそコイツ、足が無駄に速えぇ、俺は息切れ始めたのに、コイツ、逆に息を整えてきてやがる。
このままだと俺が先に走れなくなって、囮にされる可能性が高い。
「ふっ仕方ねぇな、この俺が倒すの手伝ってやるよ」
「ふふっ体力ないですね、僕、このまま逃げ切れそうだなぁ」
「お、お前! この野郎、テメェ!」
「助けて欲しいですか?」
「お前が連れて来たんだろうが、お前が責任を持ちやがれ!」
「ふっふーん、僕の下僕になるんなら、一緒に戦ってあげても良いかなぁ」
「よし分かった、俺一人で倒して、臓物をメテェにぶちまけてやる」
「かかってこいや、蛇野郎ぉお!」
「SYAAAAAA!!」
「やっぱり下僕になりますぅー」
「仕方ないなぁ」
「まぶし!」
一瞬で辺りが閃光に包まれた、ぼんやりと暗くなった視界が元に戻ると。
蛇の頭が無かった。
「なんで?」
「アッハハハ、君は村とかから出たばかりじゃないかい?」
「……なんでそう思うんだよ」
「だって、こんな森で逃げてる女の子なんて居るはずないじゃないか」
確かに、改めて考えてみると俺と並走していた時、随分と余裕そうだった。
それにあの手際の良すぎる、下僕勧誘。
そこまで思いつくと、嫌な汗が一気に出てきた。
「これで君は、私の下僕だね」
「俺は下僕にはならないぞ!」
「ん? さっきなるって言ったよねぇ」
「あれは……ゲボ・クニナ・リマスっていう技を使おうとしたんだ」
「じゃあ仕方がないね、これを付けてみてよ」
「この首輪はなんだ?」
「いいから、いいから」
やけに装飾のついた首輪だな、いやチョーカーって言うんだっけ。
付けろという事はくれるのか? 俺は貰えるものは貰っておく主義なのだ。
「それはねぇ、咎人の鎖って言ってね、従うように言った人の言葉に肯定して首輪を付けると、その人に逆らえなくなる遺物なんだ」
ヤバい、付けちゃった。
「昔の罪人はそれで捕まえてたらしいけど、装飾とかあるし結構大事にされてたんだね、僕も大事にしてあげるね下僕君」
「嫌だ、俺は行くべき所があるんだ!」
「とりあえず、逃げるな。自傷するな。無視するな。後は必要なときに増やそう」
「俺は言うことなんて聞かないからな」
こんな奴には関わらない方が良い、この首輪は凄いやつらしいから後で外して売るか。
「ゔえっ」
「あーだから言ったのに、言うこと聞かないと首が閉まるよ?」
まずい、このままじゃ本当に下僕にされてしまう。
何か無いか、方法を考えないと――。
「ぶえぇぇ」
「もう、無視するから、言うこと聞かない度に閉まる時間が増えて、死んじゃうよ?」
あぁ、アリウス……君にはもう会えないかもしれない。
「ちょっといいか、なぜ俺なんだ?」
「ふっふーん、遺跡都市で首輪を手に入れたから、使ってみたかったのさ。でもそこら辺の奴を連れ回したくだろ? だから面白い奴が欲しかったんだよ、君は合格だ」
「遺跡都市から来たのか」
「そうだよ、そして今から帰るのさ、君も一緒にね」
少し希望が見えてきた、アリウスと合流さえすれば。
待っててくれ、いま行くから! いや、違うな。
探してくれ、いま連れて行かれるから!
予定
ウザ絡み系ヒロインが増えて、遺跡都市へ
完成
実は腹黒女で主人公が捕まった
……なんで?




