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寝坊して遅れました。


あと、更新を少しお休みするかもしれません。

 遺跡都市まで続く道は当然コンクリートなどでは無く、多くの人が行き交い続けるうちに自然と作られたものだ。

 なので道と言ってもいいかも分からないような、周りとの違いは草が生えているか、いないか、その程度の差しかないけれど、この道を辿(たど)れば目的地につくと考えると、目印として便利なものと思い直す。


 そんな人類の作った文明の結晶に、感動する暇もなく今は歩くしかない。

 まあ俺に、道を見て感動する趣味なんて無いのだけど。


 世の中には現実逃避という言葉がある。

 あれは逃避できる余裕があるという事なので、まだ大丈夫なのだ。

 本当にダメなら、諦めるか、ただの屍(しかばね)に成り果てるか。

 だから、今の俺はまだ現実逃避の枠組みを超えてはいないようだ。


「君はいつから首を絞めながら歩くなんて、器用な事ができるようになったんだい?」

「……うるさいよ、歩きたくないんだよ。苦しまないために苦しむなんて初体験だよ」

「おやぁ、お姉さんは君の初めてを奪ってしまったようだ」

「黙れよ未発達め、平らな胸を更に凹ましてやろうか――ぶえっ」

「君も懲りないねぇ」


 あれから、歩けという命令に従って嫌々ながらにも従っている。

 少しでも休もうとすると首が締まり始めるが、休まずに進むほどの体力はさすがにない。なので試行錯誤を繰り返して休みながら、絞まるが苦しくない程度の速度を探し出した。


「命令し直すか、休もうとするな」

「んぐぅ」


 そうして努力は無駄は無駄にされる。

 仕方ないから休まずに歩き続けはするけど、今度はゆっくり進んで試してみるか。


 既に薄らとだが遺跡都市が見えてきている、見えているあれは建物ではなう壁のようだ。


「都市は壁に囲まれてるのか」

「そりゃ貴重な遺跡に何かあると大変だからね。もうすぐ門に着く、首輪のことは言ったらダメだよ」


 犯罪だからね。なんて言いやがる憎き美少女になんとか仕返ししてやりたいが、付けられた首輪のせいで逆らうことも出来ない。

 この首輪が取れた暁には、拉致したことを言いふらされたくなければ。とでも脅して、あんな事やこんな事をしてやらねばなるまい。


 壁がハッキリと見えるほどに近づいてくると、道の先で並んでいる列がある。

 

「なあ、何で並んでるんだ?」

「そりゃ遺跡目当てに色んなところから来てるからね、中にはヤバいやつも居るのさ」


 列と言っても来る人が多いから並んでいるだけのようで、進み具合は至ってスムーズだ、直ぐに俺たちの番に回ってくるほどに。

 頼むから多くの人を見てきた長年の感、的なもので俺をこの女から解放してくれないだろうか。


「次ぃ……ん? その首輪は何だ」

「これは私たちの愛の印なんです。彼が付けてくれって言ってくれて」

「その彼は苦しそうに悶えてるんだが」

「――大丈夫だから絞めてくれなんて言われたら、愛する者として付けない訳にはいきません」

「そ、そうか、ほどほどにな」


 こんのクソ野郎、気づけよ、明らかにおかしかっただろ。

 あっ今めんどくさそうな顔しやがったなアイツ顔覚えたからな!


 もう俺の瞳は、焼き魚のように乾いた目をしていると思う。

 魚を焼くと目が白くなるのは、見たくない現実を見ないために濁らせるのではないだろうか。

 そんな気がしてきた、次に焼き魚をみたら食べないであげよう。


「いやぁ門はさすがに分厚いねぇ、見る度に圧倒されるよ」

「……そうか」

「元気ないねえ、そうだ美味しい魚の屋台があるんだ食べるかい?」

「なにそれ食べたい」


 なんだか待遇によってはこのままでも良い気がしてきた。


 所々が傷付きつつも脆そうなんて微塵も思わない、歴史を感じさせる重厚感がひしひしと伝わる門を抜けると、殺伐なんてことも無く普通に賑やかな街並みが拡がっていた。


「あれ? なんで商人や探索者以外の人が居るんだ」

「その人達だって家族も出来れば、歳だって取る、だから色んな人が居るのは当然さ」


 大通りを歩いていると様々なものが見えてくる。

 声を張り上げて宣伝する店の人に、荷物を抱えて走り回っている人。

 武器を持っているのは探索者だろうか。


「よし、君には探索者になってもらう」

「なっていいのか?」

「というより、ならないと遺跡に入れないからね」


 ついに、俺も異世界ファンタジーを体験する時が来たのか。

 思えば辛い日々だった。

 ――右も左も分からない内に片腕は食われるし。

 畑仕事は大変なほど、やりがいも感じて自分の育てた野菜が食卓に並んだ時はどこか誇らしかった。

 狩りは危険もあるけれど、成功した時の達成感や食事の際の充実感。

 気づけば見知らぬ女の奴隷に成り下がり。 どうしてこうなった?


 考えれば考える度にすべてこの女が悪い気がしてきたが、まあそれは置いといて。


「そう言えば、片腕のこと誰も気にしないな」

「まぁ君みたいな覚悟決めてる人も少ないけど居るしね」

「……覚悟?」

「進化の方向を定めるためにしたんじゃないのかい」

「なにそれ」

「普通の人が欠損してるなら事故の可能性が高いけど、探索者の中には進化が望みを反映するからって、わざと身体を弄って進化を促す奴がいるのさ」

「……なにそれ」

「君のは事故だったのかい、まぁその腕なら君は恐らく腕に関係する進化を辿るよ」

「なら腕が増えたり?」

「肥大化とかもあるね」

「なら――」


「おっとその前に到着したよ。ここが探索者組合だ」

会話で文字数を稼ぐのが楽すぎる。

本当は文章で細かく書くべきなのだけど

無視すると首が絞まる設定、ナイスなの。

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