第八話 聖女の一日
今日はこの村に泊まることになった。夜ルシリアは昼間のこと気になり、寝れないので夜風に当たろうと外を歩くことにした。
外ではグレイノアが神の前で祈りを捧げていた。
「ほんとに神を信仰していたのですね。でも聖書にはある魔術師が神聖魔法を使おうと毎日祈ってもその魔術師は使えなかったようです。幽霊の塔で使っていた神聖魔法あれは本物でした。なぜあなたは使えるのですか?」
その意外な姿を見てルシリアは少し驚いたあと、ずっと疑問に思っていた事を聞いた。
「多分その人は、真面目に信仰していなかったのではないですか、それか光魔法の適正なかったとか」
グレイノアは祈りながら彼女の疑問に答える。
「適正ですか?しかし聖書には誰にだって神聖魔法はつかえると書かれていましたよ」
「神も適当なんですよ。だいたい人間以外の種族は適正以外の魔法を使えますからね。ルシリアだってあきらかに自分より神を信じていそうな人が神聖魔法使えなかったりするの見ていたでしょう」
「確かに今思えば不自然だったんですよね。私あんまり神信じて無いのに聖女選ばれたし。でもなんで光魔法の適性が必要なんですか」
「闇魔法使えなくする以外に強みがない光魔法を神の加護で強化したのが神聖魔法だからですよ」
「え、それだけなんですか。それじゃあ、神聖魔法も邪悪なものじゃないですか」
「魔法を邪悪って決めたのは神じゃなくて人間ですから、魔法使いは気づいていますよ」
「ああ、だから魔法使いは神を信仰しないのですね」
「大体ですよ。一応何人か神を信じる魔術師はいますよ。でも、魔術師は神などの不確定なものを信じない人が多いので」
「では、なぜあなたは神を信じるのですか?」
しかしグレイノアは彼女の二回目の質問に何も答えずに立ち去った。立ち去るその背中はどこか悲しさを帯びていた。ルシリアは幽霊の塔のときといい彼は隠していることが多いなと思った
…次の日、ルシリアはこの村の孤児院に訪れた。そこに金を寄付したり、孤児に食べ物を与えたり、遊んだりした。子供の笑顔はルシリアの昨日の疲れを和らげた。
「本当にいやがるまじであいつほんとどんなスキルだ?おいルシリア、朝食だぞ。グレイノアがみんな揃うまで食べるなと言って聞かないんだ」
子どもたちを戯れているとイヴァイルとバセデが来た。
「ふふ、グレイノアさんって意外と仲間と一緒とかそういうのこだわりますよね。でもお腹空いてないので いりませんと伝えておいてください」
ルシリアが微笑みながら丁寧に食事を断った。
「何だよそれ、そんなに楽しいのか孤児院って」
「ええ、楽しいですよ子供の元気な姿を見てるとこちらも元気になります」
ルシリアがより一層やさしく微笑んだ。
「へえ、俺にはよくわかんねえ感情だ」
そこに一人の男の子がイヴァイルに話しかける。
「みてみて、泥団子!すごいでしょー」
イヴァイルは、「はあ?ただ土を丸めただけじゃねえか」と思った。だが思ったこととは裏腹に
「すげえじゃねえか」
と言って褒め頭を撫でた。イヴァイルは自分がしたことに驚き目を見張った。
「あら、子供に優しいのですね」
ルシリアが子どもを褒めているイヴァイルを見て優しく微笑む。
「ああ、自分でも驚いた。」
イヴァイルはそういいながら子供を撫でた手を見つめた。…このときこそがイヴァイルに優しさが芽生え、イヴァイルが勇者になる器を持った瞬間だった。
「よし、みんなでババ抜きをしようぜ。」
イヴァイルはこの新しい感情に興味をもった。そして彼はこの感情をもっと味わうためゲームを提案した。
「…どうやら私が一番のようですね。それにしても面白いゲームですね。イヴァイルさんが作ったのですか?」
一番初めにあがったルシリアが聞いた。しかし、やっぱり心の優しい人は普段の運もピカイチなのだろうか?グレイノアの策略を尽く運だけで攻略していた。
「いや、これを作ったのはグレイノアだ」
イヴァイルが首を振って否定し、創作者の名を言った。ちなみにグレイノアも前世の受け売りで彼が作ったものではないのだが
「…昨日の彼の発言まだ気になってんのか」
彼はグレイノアの名前が出た途端彼女の顔が曇ったのを見て真面目な顔をして聞いた。
「…はい」
「グレイノアは悪振っているだけだ。昨日だってルシリアにあんなこと言ってたがほんとは彼だって盗賊を殺すのに少しためらってた。ま、きれいに隠していたがな、あいつはさ優しさを捨てられないだよ」
そう言ってイヴァイルはグレイノアを嘲笑うかのように鼻で笑う。それを聞いたルシリアはおかしそうに笑った。
「…あなたも優しさを捨てられてませんよ」
「いやだからこんな感情は初めてなんだって、…どうやらグレイノアの優しさが俺に移ってしまったようだ」
ルシリアに図星を指されたイヴァイルは少し恥ずかしそうに頬を掻いた。
「へえ、そうなんですか…イヴァイルさんはグレイノアが神を崇めている理由を知っていますか?」
ルシリアはイヴァイルの言葉を全く信じてない顔で肯定したあと、ためらいがちに昨夜のことを聞いた。
「知らねえな。ていうか信仰しているって知ったのもあの幽霊塔で初めてだ。まあ、あいつも人間だ神に頼りたくなるときもあるんじゃねえか?」
イヴァイルは頭を振って否定し、適当に予想する。
「…そうですか。さてもう楽しくない話しはやめましょう子どもたちの決着もついたようですしもう一回戦です」
ルシリアは「仲間にも言わないのはなにかありそうだな」と考えたあと、気を取り直してカードを配り始めた。
「ああ、そうだな」
イヴァイルはルシリアを発言も肯定する。
…そして五回戦目終わり頃
「おや驚きましたまさかあなたが子どもたちと遊んでいるなんて、明日は台風が来そうですね」
グレイノアはいつになっても戻って来ない二人が少し心配になって様子を見に来た。すると子どもたちと楽しくトランプをしているイヴァイルを発見する。
グレイノアは楽しそうにしているイヴァイルとルシリアと子どもたちを見守っていたのだが、イヴァイルがグレイノアの気持ちに気づき手を振って誘う。
「おっ来たかお前も一緒にどうだ」
「…はあ、俺の命令完全に忘れていますね。まあいいですそれより今プラチナに十一人分のご飯を作らせています。子どもたちと一緒に昼食でもいいですか」
グレイノアはイヴァイルの発言に呆れたあと子どもたちに優しく微笑んで提案した。
「「食べるー!!」
グレイノアの質問に子どもたちが一斉に答える。
「おっ気が利くな。バセデお前も手伝ってやれ」
「フォフォフォ、わかりましたぞ」
「私も手伝います」
イヴァイルの命令でプラチナの料理にバセデが手伝いに行きそれを、ルシリアが追った。
そして三人の奮闘によってあっという間に準備できた食卓で朝食を孤児院の子どもたちと一緒に楽しく食べたのであった。
ルシリアの視線2
「昨日の件があってもバセデから目を離せないのですか?」
プラチナは昨日の件も含め今の状況に驚いていた
「しっ仕方がないじゃない。もっと好きになってしまったのですから」
するとルシリアが恥ずかしそうに頬を染めて言った
「え?なんで」
プラチナはさらに驚く
「だって、あの人が嬉々として人を殺そうとする姿がめっちゃかっこよかったですもの。少し過激的すぎでしたけど」
ルシリアはもっと顔を赤く染めて手を頬に当てる
「ああ、わかります。人を殺すときのめっちゃ楽しそうな顔はめっちゃカッコいいですよね。私もグレイノアが相手を殺したあとの二って笑うのがとても好きなんです。ルシリアちゃんは一般的な思考の人だと思っていましたが意外と狂気的な所あるんですね」
驚くことになんとプラチナも賛同した
「いえ、今まではそんなこと逆に嫌だったのですが何ででしょうバセデの惨殺は多分神さえも許してしまいそうなかっこよさがあるのですよ。あの三人はカッコいいから我が神も許せと言うと思います」
このときちょうど通りかかり話を盗み聞きしていたグレイノアは思った。ルシリアは何を言っているのだろうと
「ふふ、神様も分かっていらっしゃるのですね」
グレイノアはこのときプラチナ?と思った。そして二人はお互いに幸福そうにニコニコと笑うのであった
「…グレイノアさんにも感謝しているのですよ。たとえあなたたちが悪人であろうと私にここまで付き添って貰って、お陰で私はついにユニラセアに帰ることができましたから」
ルシリアは小さい声でこっそりと呟いた。ちなみにグレイノアは地獄耳このことは全てグレイノアの耳に届いていた
………男性陣
「フォフォフォ、恋は盲目と言うらしいがこれは過剰すぎませんか?」
バセデは仲間に問う
「どんまい。君の恋人はかなり愛が重たいらしい」
グレイノアは笑っている
「神が悪魔を許すってよ。こりゃ傑作だ」
イヴァイルも笑っている
「今頃神も天で呆れてるでしょうね」
この二人は仲間に酷かった
「フォフォフォ、私は今日いいことを学びました。仲間に愚痴を言ったら余計にストレスが溜まると」
バセデは悪魔に相談した自分が馬鹿だったと思った
「普通は逆なんですけどね」
グレイノアは笑うのを辞めた。しかし目が笑っている
「俺達に普通を求めんのか。これが俺達の仲間の接し方だろうが」
イヴァイルはまだ笑っているさすが本物の悪魔
「最高の接し方ですね」
「フォフォフォ、それもそうでした」
バセデは忘れていたため笑う
「でも、今回の聖女は人選ミスだな。身内びいき聖女はかなり向いてないと俺は思う」
イヴァイルはあまり聖女についてよく知らないがそれでもなんとなくこれは聖女のやることではないとわかる
「まあ、神も万能ではありませんから」
グレイノアも賛同する
「フォフォフォ、そうですね」
悪魔の二人は知らないこれからもっとヤバい人選ミスが起こることを




