第七話 三人の悪人?
ノシング村その村は何も無い故にそう名付けられた村。古い木造の家が等間隔で並んでいてどこにでもありそうな村である。しかし、旅の中間地点には丁度よく、そのお陰でどうにか廃村にならずに住んでいる。
「そのはず何だけど、盗賊のせいで滅ぼされていますね」
グレイノアがスキルによって100m先の村の様子を見て報告した。
「そうですか。やっと休めると思っていたのですが」
ルシリアが彼の報告を聞き肩を落とす。
「まあ。人間にとって安心な場所での睡眠は大切だし、遠回りも面倒だからさ、殺しません?彼ら」
そう言ってグレイノアは武器を取り出し不吉な笑みを浮かべる。
「なっ何を言ってるんですか!」
彼の急な殺人提案にルシリアは思わず叫ぶ
「はっいいんじゃねえか、正直一昨日の幽霊退治は幽霊すぐ死んでしまうから少し物足りねえと思ってたんだ。もちろん何人かおれのおもちゃにしていいんだよなあ」
しかし、ここでいヴァイルがグレイノアの提案に便乗する。
「フフ、なにを当たり前のことをあなたが何しようとも俺を脅かさない限りあなたの勝手ですよ」
「フォフォフォ、二人とも待ってください」
ここで今まで執事として無言で見守っていたバセデが会話を遮った。
「?どうした。」
イヴァイルが「自分から意見を言うなんて珍しいな」と思いながらも振り返り聞く。
「執事として自重しないといけないのは重々承知していますが実は私も殺人と聞いて少し…いえ、とてつもなく悪魔としての本能が疼いてしまって、身勝手な質問だとは思いますが、私もその殺人に参加させていただけませんか?」
バセデ丁寧に頭を下げお願いする。頭を下げることは悪魔にとって自分のプライドを傷つけること、よほど参加したかったのだろう。それを見た二人は
「はっ何言ってんだよ。お前は確かにおれの部下だが今は仲間でもある。当然いいに決まってんだろ」
「そうですよ。それに私達はお互い一度は死ぬまで殺し合った中じゃないですか。お前はさ、悪魔のくせに我慢しすぎなんだよ」
イヴァイルもグレイノアもバセデの思いを汲み取り、あっさりと承諾したのだ。そして三人は獲物を見据えお互いに嗤い合うのであった。
…初手はグレイノアが始めた。一瞬のうちに盗賊を何人か殺し、盗賊の驚いた反応とある程度血を見て満足したのか、
「あとは好きにしていいですよ」
と言って魔法で生み出した椅子に座り優雅に茶を飲み始めた。
その後二人が残りの盗賊を気が済むまで生きたまま盗賊を死ぬまで痛めつけたバラバラにしたりドロドロにしたりとできる限りの大量の血と断末魔を浴び、残った死体を一つにまとめ灰すら残さず燃や尽くした。
「誰か…」
「やっやめてくれ」
「もう死にたい」
盗賊たちの断末魔が響く。盗賊は倒されたはずなのに村の現状はより地獄と化していた。
はじめは盗賊を倒してくれて喜んでいた村人達も今の情景にすっかり怯えてしまっている。
「やはり美味ですね。血と断末魔をみて飲む茶は」
グレイノアはその光景をみて楽しそうに嗤った。グレイノアは今もなお拷問中の二人の悪魔の方を見る
「ははっ、楽しかったなあ。ああ、久しぶりだな、ここまで拷問を楽しいと思ったのは」
「フォフォフォ、それは良かったです。私としてもイヴァイル様にここまで楽しんでもらえて感激です」
「よし次があったらもう一回同じ方法でやってみようぜ」
「フォフォフォ、いいですね。私も血が湧き上がります」
二人も心のそこから今の状況を楽しんでいるようだ。
二人は次の拷問の案を出し合いながら優雅に茶を飲んでいるグレイノアのもとに集まった。
「…今回のこと私は納得がいきません。たとえ相手が盗賊であろうともこの仕打ちはないでしょう」
みんなが集まったところでルシリアが批判した。
「べつにいいじゃないか相手は悪人です。悪人なら何をしたっていいのです」
グレイノアは彼女の言葉に残虐な笑みのまま答えた。
「だめです。彼らだって人なんです悪人だったら何でもしていいなんて間違っています」
ルシリアも冷静に反論する。しかしその言葉には少し怒りが混じっていた。
「別に間違っていてもいいでしょう。常に正しくあろうなんておれらそんなこと考えいないですし」
彼女の言葉にグレイノアは飄々と答えた。今まで自分に間違いがあるとしっかりと謝罪する彼には考えつかない言葉だった。
「間違ってると知っててやるのはそんなの悪人と同じですよ」
ルシリアが忠告した。
「ああそうですね、おれは悪人です。知らなかったのですか?」
しかしそれでもグレイノアは自分の考えを改めなかった。むしろ自分を悪人と認めるほどだった。
「そうですか。ならいいです今回のことは忘れましょう」
二人の口論のすえ、ルシリアはグレイノアの気が変わることがないと見ると否や早々に諦めた。
「いいのですか?あなたは聖女だからもう少し粘ると思っていたのですが」
意外と諦めるのが早かったルシリアにグレイノアは少し拍子抜けした。
「べつに私は人の生きざままでどうこう言うほど偉くはないので、それにあなた達がいないとユニラセアまで行けませんし、あの盗賊と違って覚悟が決まっているのでしょう」
そう言ってルシリアはバセデによって出された茶を飲んだ。
「ええ、そうですね。俺がどう死のうがプラチナに害が及ばない限り死を受け入れる覚悟はできています。まあ死ぬ最後まで抵抗するつもりですけど♪」
グレイノアがきっぱり言い切る。その顔は笑っていたが、目はどことなく本気であった。すると次は自分の番かなと思ったイヴァイルが自分の意見を話す。
「俺は善人とか悪人とかどうでもいいんだけどな。ムカついたやつは殺すだけだ」
「…」
ルシリアはイヴァイルの発言に少しだけ眉を潜めたが、取り合っても無駄だと理解したのか何も言わなかった。あとグレイノアがサラリと言ったプラチナに対して発言は誰もが気に止めなかった




