第五十九話 人間は眠る中
すう〜すう〜、ガーガー
「人間組は眠ってしまいましたね」
グレイノアがプラチナが作った紅茶を飲み終える。
「獣人も眠っているな」
「俺が睡眠ガスをこっそり出してなかったら夜明けまで起きてたんじゃないか」
カマエルは少し苦笑気味で言った。
「そうでしょうね。バセデさん。俺が教えた光固定の魔法はどうですか?」
グレイノアは自分で紅茶を作り出す。グレイノアはいつもプラチナに茶を用意させているが、別に自分が出来ないわけではない。むしろプラチナには劣るがとてつもなく上手だ。
「フォフォフォ、いい写真が撮れましたぞ」
バセデがイヴァイルに自分が撮った写真を渡す。
「どれどれ、おお、完璧じゃないか。バセデ写真撮るのうまいな。…ん?」
イヴァイルが写真を一つひとつ見ていたら変なのを発見した。
「これはルシリアの寝顔?」
「おっと、それは誤写でありますぞ」
バセデが慌ててイヴァイルから写真を取り上げる。
「嘘だ!!きれいに撮ってあるぞ!これが誤写なわけない」
「バセデ、盗撮はよくないですよ。俺はバセデに犯罪をさせるためにその魔法を教えたわけではありません」
グレイノアがバセデを注意した。しかし、目が笑っていた。
「フォフォフォ、 あなただって隠れてプラチナを撮っているのではありませんか?」
「当たり前です。ここでは盗撮罪なんてありませんから」
グレイノアがあっさりと認める。
「まあ、魔法なんて悪を実行するためにあるようなもんだしな」
イヴァイルはニヤニヤしながら二人をフォロー。だが、彼らは悪魔(一人元人間)、とにかく倫理観が終わっていた。
「使いようでしょう。魔法は神作ったものではない元からあったもの。その便利性は計り知れないんですよ」
グレイノアが一応訂正する。彼は結構、魔法好きであった。
「そうだな」
イヴァイルが適当に相槌を打つ。
「しっかし、まさかルシリアとガンダルがあそこで覚醒するとわな」
カマエルがしみじみと呟いた。
「わたし的には少し覚醒が早くすこし物足りない感がありましたが」
グレイノアはもう少し白熱した戦いを望んでいたようだ。
「ここのまま俺達に追いつくんじゃねえか」
イヴァイルは興奮を抑えきれない様子で言った。
「ありませんよ。だって彼らはまだ『人』ですもの」
グレイノアが首を横に振り否定する。
「…そうだな」
イヴァイルはそのグレイノアの解答に少しがっかりする。
「フフ、でもさ。やっぱりすごいと思うんだよね」
リュブナンが二人を褒める。
「リュブナン、前から思っていたのですが、あなたのあの二人への過度な思い入れはなんなんですか?」
グレイノアが紅茶を啜りながら問いかける。
「フフン、内緒〜♪」
「…夜明けのようです」
グレイノアはこれは聞き出すのは無理そうだと思い、話を変える。
「おお、ほんといつ見ても夜明けはきれいだ」
イヴァイルが感嘆の声をあげた。
「睡眠が必要ない俺らの特権だな」
カマエルも見ていて楽しそうだ。
「ええ」
グレイノアも目を細めて優しく笑っている。
「おはようございます。グレイノア様」
するといつの間にか起きていたプラチナがいつもどおり茶を作りながら後ろに立っていた。
「おはようプラチナ」
しかし、グレイノアはそれを当たり前のように受け止める。
「ファ〜」
「う〜ん」
他の人達も起き始める。
「みんな早起きだな〜」
イヴァイルが想像以上早く起きた人間組を見て感心する
「…イヴァイル、プラチナ、カマエル、リュブナン、バセデ、ルシリア、ガンダル、きなこ」
グレイノアは全員が起きたタイミングで全員の名前を呼んだ。
「なんだ?グレイノア、全員の名前なんか呼んだりして」
「もし誰一人掛けることなく邪神を倒すことに成功したら、またここにみんな出来ましょう」
グレイノアはそう言うと夕日を眺めながら少し微笑み、紅茶をちょっとだけ啜った。
「…いいぜ、契約な」
「フォフォフォ、悪魔との約束は代償が高いですよ」
「いいわ〜、俄然とやる気が出てきた」
「それがグレイノア様の望みなら」
「俺達が負けるわけないだろ」
「ええ、絶対に生き残りましょう」
「もちろんでありんす」
「うむ、みんなでまたあの景色を作ろうではないか」
イヴァイル、バセデ、リュブナン、プラチナ、カマエル、ルシリア、きなこ、ガンダルの順でグレイノアの言葉を承諾する。そして、またグレイノア一行はいつもどおり旅を始めるのであった。
魔界、邪聖城 そこは邪神のねぐら、ここで今ネクティスは邪神に問い詰められていた。
「さて、ネクティス。負けた言い訳を聞こうか」




