第五十二話 意見の分裂
次の日、どこからかグレイノアがまたもや幽霊の情報を貰って来た。
「という訳で寄り道しましょう」
グレイノアがいつも以上の笑顔で提案した。
「おっ、旅の始まりを思い出すな〜」
イヴァイルも賛成のようだ。まあ、彼は殲滅が楽しみなのだろうけど。
「嫌です。絶対に行きたくありません」
しかし、ここでルシリアが猛反発をした。
「わっちも幽霊怖いでありんす」
きなこも幽霊が苦手のようだ。怯えたようにプルプル震えている。
「グレイノアよ。俺達は勇者だ。いち早く魔王による被害を食い止めないといけない。寄り道なんてしている暇はないぞ」
ガンダルも今回は反対のようだ。しかし、彼はきなことルシリアとは違いちゃんとした理由を持っていた。
「ガンダル、幽霊は迷える魂。黄泉に返せるなら勇者として逆に無視するわけにはいかない」
カマエルがガンダルを諭した。
「ふむ。だがしかし、そういうのにいちいち相手にするなら魔王討伐は何年もかかるぞ」
ガンダルは人間、すぐに老いる。ガンダルからしたら何年もかかるのはかなり問題だ。しかし、グレイノアは人を辞め寿命がない。
「いいじゃないですか。何年もかかって。あと、魔王討伐はしませんよ。殺るのは邪神討伐です」
故にむしろ時間がかかるほうがグレイノアとしては嬉しかったりする。
「え、本気で邪神を討伐するつもりだったでありんすか!邪神とは言っても一応神なんですよ」
きなこはグレイノアの目標を冗談だと受け取っていたようだ。それを聞いたイヴァイルは
「当たり前だ〜。神?だからなんだ。何族だったってでも俺様がボッコボコにしてやる」
と彼は、闘気をむき出しにし、自信満々に言い放った。
「勇者とは到底思えない発言ですね」
別に自身があるのはいいことなんだがその言葉の内容があまりにも殺伐としておりルシリアが呆れた。この終わりそうにない会話を聞いたグレイノアは
「これはリーダー命令です。依存は認めません」
と堂々とリーダーの権限(そんなものは本当は存在しない)を発動した。
「絶対王政かよ。そんなんじゃ誰もついて来ないぜ」
そのことを聞いたガンダルがやれやれとため息を吐く。
「それは同感。せめて理由を話してくれ、とは言ってもお前は押し通すのだろうけどね」
賛成派のカマエルもさすがにそれはガンダルに同意するようだ。
「理由ですか?面倒くさい。どうでもいいでしょう。今回も一回目と同じ理由ですよ」
グレイノアは顔面全体に面倒くさいと書いてある顔で渋々理由をはなす。しかしその理由は途中参加組(きなこ、ガンダル、カマエル)には伝わらなかった。
「!?まさか!?」
ここでルシリアがグレイノアが言っていることはなにか思い当たる。
「ルシリアちゃん、一回目って何の話でありんす?」
思わせぶりな言葉を発したルシリアを見てきなこが問いかけた。
「グレイノアが幽霊スポットに行きたいと言うのはニ度目なんです。一度目では魔族の魔法で幽霊がたくさん製造されていました。つまりニ回目も幽霊が発生するのに魔族が関わっている可能性があるということですね」
ルシリアはきなこの問いかけに答え、途中参加組にもわかるように細かく解説して、最後に合っているかどうかグレイノアに目線で確認する。
「ええ、幽霊は魂が剥き出しで、生身より魔法で干渉しやすいんです。今回その幽霊スポットは元から幽霊のたまり場でした。しかし、最近謎の人間が出入りするようになったようです。その可能性は十分あります」
グレイノアは最後のルシリアの確認を肯定した。
「グレイノアの情報はホント有益なのが多いなそういう理由なら初めから言え、今すぐに行くぞ」
今まで否定はだったガンダルは魔人が出ると聞き武器を装着し始めた。
「そういうことなら仕方がないですね。⋯ハア、行きましょう」
ルシリアも幽霊は怖いが魔人が出るならと渋々承諾する。これで六人中五人を納得させた。残りはきなこだ。
「別行動組を作るという案はないでありんすか?」
きなこは魔人が出ると聞いてもまだ行きたくないようで、子どものように駄々をこねている
「きなこ、幽霊のたまり場には妖精がたまに集まるらしいですよ。魔族が精霊の扱いが酷いのは言い伝えられていますよね?」
グレイノアの言葉にきなこが動揺した。
「⋯そうですありんすか。なら、いかないと行けないでありんすね」
そして最後の一人きなこも渋々幽霊スポットの場所に行くことを認めるのであった。
「ハア、これだけ人数がいると統率が面倒くさいな」
やっと全員の意見が一致したためグレイノアは、一息ため息をついてやれやれと肩をすくめた
「それはお前が情報を出し渋るからだろ」
それを聞いた今回、一度も説得に協力しなかったイヴァイルが思わず突っ込んだのであった。




