第五十一話 成長力
前回の話の戦い後の続き、
「あ、そう言えばルシリアを生き返らせたのお前だろ、グレイノア、誤魔化してやったぞ」
思い出したように例の件を確認した。しっかり恩を売るのも忘れずに
「ありがとうございます。それに関しては助かりました。俺が能力を使って仲間の心を常時見ているのがバレればさすがに友情関係にヒビが入りかねませんからね」
グレイノアは正直にカマエルに感謝した。実はガンダルがカマエルにその話題を振ったときグレイノアは少し焦ったのである。
「これからはやるなよ」
カマエルはこんなカバーはもう嫌だと思いグレイノアに釘を差しておく。
「万が一があったら困りますから」
しかし、グレイノアはこれからも能力で仲間の様子を見続けるらしい。
「万が一って、なにがあっても俺達ならどうにでもなるだろ」
カマエルはグレイノアの言い分に呆れた。それを聞いたイヴァイルはカマエルにグレイノアがそれを直すはずないことを伝える。
「カマエル、お前知らねえのか?こいつはな意外と用心深いんだぜ。常に二十メートルを能力でずっと見るぐらい」
「ああ、道理でグレイノアに見られてないのにグレイノアの視線を感じるわけね。いや用心深すぎだろ」
カマエルはイヴァイルによって告げられた真実によってより呆れ、少しだけその用心さに感心してしまった。
「お褒めにいただき光栄至極でございます」
「「褒めてねえよ!!」」
二人は思わず全力で否定した。もちろんグレイノアだってそんなの分かっている。こうやって少し普通ではない受け取り方をするのがグレイノアの性、なのである。
「そんなことよりも俺、ルシリアの回復時に少し気づいたことありまして」
グレイノアはルシリアの回復時の話に戻した。
「なんだ?」
グレイノアが急に真面目になったのでイヴァイルも気になってグレイノアに目を向け聞く。
「もうすでに四分の一ぐらい治っていたんですよ。まあ、最後に全て一気に全て治して、生き返らせたのは俺ですが」
それはありえないことだった本来の神聖魔法ではそれほどの傷は絶対に回復させることはない。ましてや自動で自分に発動させるなどもっと出来ないことであった。
「は?何だマジで神の恩恵とかいう気か?ありえんだろ。神だって信者一人ひとりにそこまでの加護を掛けるほど実力はねえはずだ」
「いえ、ありますよ。神が力を渋ってやらないだけです。⋯多分ですが職業系の有限系一つ星のスキル、聖女の能力の覚醒でしょうね」
グレイノアは自分の予想(能力で調べた結果)を話す。
「ガンダルといい、ルシリアといい人間側の成長速度が早な。ガンダルだって俺達には遠く及ばないが超人に進化しかけてる。こりゃうかうかしてらんねえな」
カマエルはもう一回自分に活を入れた。それを聞いたグレイノアとイヴァイルは心の中で 毒づいた。
(それは、あなたも同じでしょう。カマエル、あなたの成長はここ最近見違えるように早い。あなたが更生したことで超越に戻った怠惰とは逆の努力のスキルの効果もあるでしょうが、それでも早い)
(マジでふざけんな!!俺はグレイノアと同じぐらいの成長なのに最近のグレイノアは概念というものをいつの間にか操れるようになって、俺より若干強くなったし、これでカマエルにも追いつかれたら悪魔のプライドが粉々だ。これはもっと鍛錬する必要があるな)
((追いつかれないように、もっと強くなってやる!!))
二人は声には出さなかったが心のなかで強く闘争心を燃やしていた。




