第四十八話 四天王圧殺Vs四天王毒殺
「なあ、なんでわざわざ転移しなかったんだ。転移のほうが早く着くからリュブナンにすぐに会える」
イヴァイルが歩きながら聞いた。
「旅は歩くからこそ楽しいのです。転移で行ったら途中の風景をみんなで楽しめないじゃないですか」
今は一面毒に侵食されていてとても楽しめる風景には見えないはずだが、グレイノアには楽しめる風景の様だ。
「確かに一面毒の風景はあの泉と同等の美しさを持つ。なるほどあの景色をみんなに見せてあげたかったのか。ほんとグレイノアは優しいな〜」
あの世界一きれいな泉と今いる世界一毒に侵されているだろう空間が同じ美しさとは、さすが悪魔と言えよう。
「そうでしょう。なんて言ったって私は賢者なんですから」
グレイノアは誇らしげに胸を張る。
「なるほど、あれも優しさってやつか。勉強になるぜ」
イヴァイルはどこからかメモ帳もって来て、今のことを書き足した。
「あ、今転移でリュブナンが移動しました。仲間の方に」
グレイノアはイヴァイルに対象が転移したことを報告する。
「それってやばくね!?」
イヴァイルは少し焦る。彼は魔王なのに意外と仲間思いだ。
「ま、でもあそこにはバセデいますし」
対象的にグレイノアはいつだって冷静だ。能力で大方状況を把握できるからだろう。
「なら大丈夫だな。ゆっくり来た道を戻ろう」
「そうしましょう。こんな景色なかなか見れませんからね」
こうして彼らは来た道を歩いて戻って行った。
⋯⋯⋯
「ねっねえ、どうしたのよ。あなたらしくなよ。たかが人間一匹奪われたくらいで、こんな本気で怒るなんて」
リュブナンはバセデのせいで動きずらくなっていることを鬱陶しく思っていた。
理由は簡単だ。バセデのスキル 金縛りは、対象を捕縛し二方面から押しつぶす能力。
だが、リュブナンは抵抗力が強くすぐに拘束を解けるため解いた後すぐに転移でバセデの死角に逃げるのである。まあ、バセデのマイワールドにいる時点でば彼の捕縛に逃れられるわけないが、
「フォフォフォ。なあにあの人間は私にとって特別な獲物でね。私だって悪魔なんですよ。さすがにお気に入りを殺されたら私だってキレはしますよ」
バセデは振り返りもせずにもう一度リュブナンに金縛りをかけた。
「そうなのね。なら、仕方がないわ。私だってやられっぱなしというわけにはいかないもの」
リュブナンは縛られた瞬間自分のマイワールドを発動した。
マイワールド・毒死世界 リュブナンのスキル 致死毒は、マイワールドで支配した空間内にあるあらゆる物質の中に毒を注入する能力である。
「グハッ」
バセデが急に魔素を吐いた。もちろんリュブナンの毒を体の中に入れられたからだ。
「アハハハ、もっと苦しめ♪」
バセデの苦しげな姿を見たリュブナンは楽しそうに嗤う。そしてリュブナンはもっと苦しませるために、魔法を発動した。
ポイズンウェーブ リュブナンのスキルによりあたし一面がリュブナンの毒で満たされる。
「グッ、これはまずいですね」
バセデは急いで毒が届かないところに転移する。
「では、お返しです。その毒ごと潰れてしまいなさい」
目の前の毒がバセデの能力によって一瞬でぺっちゃんこになる。
「忘れちゃったの範囲的にその能力を使用すると自分の縛りが空間になるから簡単に転移で逃げられること。また毒を体の中に注入してやる」
リュブナンはまたバセデの真後ろに転移で立ち、もう一度能力を発動した。そしてついでに外側からも毒をかける。
(フォフォフォ、またですか。だが、痛みなどもうとっくに克服してるんですよ)
バセデはリュブナンの内側と外側から同時に毒くらい、痛みに耐えながらもスキルを発動する。
(動けない!?ここで私を固定!?)
自分の能力を食らった痛みで満足に能力を使えないだろうと考えていたリュブナンはバセデの能力の発動に驚いた。
デュクシッ、一瞬だけリュブナンが動けなくなった瞬感にバセデの拳がリュブナンの貫く。
「ウグッ…なんで私の毒が効かないの?」
リュブナンが苦しそうに呻きながら聞く。
「いえ、十分に聞きましたよ。しかし、私の動きを止めるまではなかったようです。ルシリアの腹の分これで返しましたよ」
そういっているバセデも肩で息をしている。よほどリュブナンの苦しいようだ。
「なら、もう一発」
「次の一回はさっきの分です」
しかし、お互い負ける気はサラサラなく。二人同時にマイワールドで能力を発動した。しかしそこに白い悪魔の羽と黒い天使の羽根を持つ人間の影が
「二人とも楽しい勝負はそこまでです」
価値観操作✕ ジェフメスのスキルはグレイノアの魔法やスキルと混ざりより強力な魔法へ進化していた
概念操作 その能力は自分が完全に理解している概念を全て操作することができる
概念歪曲 能力のルールという概念の歪曲
グレイノアは概念を自由自在に歪め、新しいルールを入れ込んだ。
ルール追加 マイワールドの全体攻撃は自分には十倍の効力で当たる。
「うっうぇ〜」
リュブナンが自分の毒で吐いた。
(動けない。これは私の金縛り!?)
バセデも自分の能力で何もできなくなる。二人はまさか自分の能力が跳ね返るとは思わず混乱した。
「はい、おしまい。仲間が待ってるから続きは明日ね」
こうしてグレイノアの手によって難なく四天王縛りと四天王毒との勝負が終わったのであった。




