第三十一話 宴会
前回ついに目当ての智慧の書を手に入れたグレイノアは皆がいる最下層の入口に戻ってきた。
「ただいまかえりました」
グレイノアが闇の中から現れる。
「グレイノア様!!」
プラチナが勢いよく近寄ってきた。しかし一応部下と主という立場をわきまえているのかルシリアときなこみたいに抱きついたりはしないようだ。
「お帰りなさいませ。グレイノア様。あまりにも遅いので心配したんですよ」
そう言って優しく微笑むプラチナは、よく見ると目が少しだけ充血している。本当に心配していたのだろう。
「はっ、お前のことだから無事だと思っていたよ」
イヴァイルも少しホッとしているようだ。
「おや、入口で駄々をこねていたのに思った以上に余裕そうですね」
グレイノアがからかう。
「誰がだ!てか、お前だって闇を不安がっていただろうが」
イヴァイルも負けじと言い換えした。
「私は闇は怖がってませんでしたよ。怖がっていたのは…いえ、失言でした忘れてください」
そしてグレイノアが言い掛ける
「おい、なんだよ答えろよ」
イヴァイルはグレイノアの不自然な言葉に興味を持った。
「いえませんよ」
グレイノアは表面上はやんわり否定して、
(だって自分の黒歴史を思い出すのが不安だったなんてあなたに言ったら、あなたは全体に黒歴史を教えろとしつこく言うでしょう)
と心の中で苦笑した。
「ハア、これは意思が硬そうだ」
イヴァイルはグレイノアの顔を見て渋々諦めた。しかし、この一回の否定で意思が固いと見抜くあたりさすがは親友と言うべきであろう。
「ここに戻って来る途中闇龍王の眺めていて目が合いとりま戦闘になったのでボコしてきたので、闇龍王起きる前に早く地上に戻りましょう」
「お前、強そうなやつ独り占めは良くないぞ」
「闇龍王、ご愁傷さまだな。一応念仏唱えとこと、南無南無」
「「「…」」」
そしていつもツッコミサイドの常識人達はさすがに毎度のことで誰もが突っ込まなかった。そしてただただ呆れた目で彼らの非常識っぷりを見つめるのであった。
そんなこんなありながらもグレイノア一行は洞窟の外に戻ってきた。長く洞窟に入っていた性か太陽の光がとても眩しく温かい。ここでグレイノアが提案した。
「なあ、賢者の書の祝にちょっと酒場で宴会しませんか」
「お、いいな。でもそれ俺のときなかったくね」
イヴァイルは勢いよく賛同し、そしてあることを思い出し落胆する。
「あの時は、獣人総出で祭りがあったでしょう。むしろ宴会より派手じゃないですか」
「そうだったな。祭りがあったな。よしやろう」
「お酒かぁ〜そういやぁ、イヴァイルと行ったあの居酒屋グレイノアのおすすめなんだよな?今回も期待しておくぜ」
「フォフォフォ、人間の酒は楽しみですな」
バセデも宴会の時は執事のことを忘れ酒を飲んでいる。それほど人間の酒が好きなのだろう。
「フフ、私は聖女だから飲めないけど存分に楽しませてもらいますわ」
ルシリアは宴会自体を楽しむようだ。
「わっちも楽しむでありんす」
きなこも加わる彼女も酒を飲めないがルシリアといっしょに楽しむのだろう。
「今度こそイヴァイルに飲み比べ勝つ」
ガンダルはもう一度だと意気込んでいた。悪魔が酔わないから無謀なのに…。
「酒ですか。グレイノア様、私も酒飲んでみたいです」
プラチナはどうやら初めてのようだ。でももう飲んでもいい年齢である。
「いいぞプラチナ経験は大事だからな…予算足りなさそうですね。仕方がない周りから採取するか」
グレイノアは少し抵抗があったがそれは表に出さず快く許可をだした。「グレイノアもそろそろプラチナを子ども扱いはだめだな」と思い直したらしい。こうしてグレイノア一行は酒場に突った。
………今、グレイノア一行以外の人間は全員机に顔を埋めて伸びていた。グレイノアが片っ端らから酒飲み勝負で酔い潰させたからである。グレイノアも人間を超越しているため酔うことがない。故に酒好きで有名なドワーフすらも余裕で勝利していた。これには店主もびっくりである。
「…お前ら、周りを酔い潰さずに酒を飲めないのかよ。あとこれだけ飲んで酔わないとかのほんとに人間かよ?」
これにはさすがにガンダルも突っ込まざるおえなかった。
「いいじゃないですか。酒はそこまで進んで飲む派ではありませんが、相手を酔い潰すのは中々癖になりましてねえ〜。まあ、勝負する相手も居なくなったことですし、予定通り宴会を楽しみましょう」
そして宴会はとても盛り上がり案の定酒代はグレイノアの予算をオーバーキルしたため酔い潰させた者たちに全て払わせたのであった。グレイノアは血も涙もない鬼だった。




