第二十九話 ドワーフの国
賢者と勝負して勝ったグレイノア一行は、国境を超えドワーフの国に来ていた。
ドワーフの国はドームで完全に覆われており、人間よりも幾分か文明が発達していて、機械などで溢れていた。
「ここに来たのなら、せっかくだしなにか買うとしましょうか」
そう言ってグレイノアは鍛冶屋の中に入って行く。皆もついていく。
「何を買うんだ?」
各自、武器を見ているなか、イヴァイルが聞いてきた
「そうだなあ。万が一俺の間合いに入られたときの対抗策、プラチナの護身用とかでナイフが何本かほしいな」
グレイノアは自分が欲しいものを色々と考える。
「お前、魔法で間合いを自在に操れるだろ」
イヴァイルから的確にツッコミが入れる。確かにグレイノアは武器が特殊なのも相まってか空間操作と技術で自分の間合いを自由自在操作することができる。しかしグレイノアは意外と小細工を弄する派なのである。
「それでも万が一ってときがあるかもしれないじゃないですか。店員さんこの箱開けもいいですか」
イヴァイルに適当な言い訳をして、グレイノアは御札が貼ってあるなんだか禍々しい箱を指さした。
「だめだ。あんちゃん、そこの箱の中には呪われた武器が入っている。大量な呪いが集まりより増強されているから一本一本が即死レベルだ」
店主が怯えながら言った。まずもって、なぜ、そんな物が廃棄されないのかが疑問だ。
「そうですか」
グレイノアはそう言いながら、箱を開け、武器に手を突っ込みだした。中からは禍々しいオーラが出ている。
「おい。危ないって」
定員さんが慌ててグレイノアを止める。しかし、グレイノアは手を引っ込めるつもりもなく。そのまま、手を突っ込み続けた。それでも、グレイノアは呪いに侵食される様子はない。むしろ呪いのオーラのほうが弱まっている様子である。
「ありました。やっぱりこの国で一番の鍛冶師が店長の店に来ていてよかったです」
そう言ってグレイノアは一本のナイフを取り出した。
「なんだ?それは、武器にも波があって禍々しいんだが…」
イヴァイルが気になって問いかける。
「ドワーフ鋼で作られた。世界でも数少ない伝説の武器です。この波の模様が特徴でしてね。しかもこれダイアモンドクラッシャーさんが作った物です。前回の使用者のせいで呪いまみれですがこれぐらいなら私でも簡単に解けます」
グレイノアが魔力を込めると同時に禍々しいオーラは跡形もなくなくなり、グレイノアはこのナイフの特徴を話した。
「ドワーフ鋼ってなんだ」
「ドワーフ鋼とは、世界でとても希少な魔鉱石であるミスリル、オリハルコン、ヒヒイロカネ、更には神珍鉄までもがきれいに混ざりあっている伝説の鋼のことです」
「あんちゃん。詳しいね。なんだい武器オタクかい?」
店員さんはどことなく嬉しそうだ。まあ、店主だって鍛冶師。自分と同じ趣味の人がいたら誰だって嬉しいだろう
「いえ、スキルで調べました」
本当にグレイノアのスキルは幅が広くてわからない。
「鑑定だけでは、ダイアモンドクラッシャー作だとかドワーフ鋼の作られ方なんて、わからんよ」
「わかりますよ。この武器には僅かに制作者の魔力が入っていますので」
「???」
店員さんは意味がわからず頭を捻った。鑑定ってそんなことも調べられたっけと、もちろん調べれない。グレイノアが少々特別なのである。
「…取りあえずこれとこれください」
グレイノアはカウンターに波紋があるナイフと店の隅っこにあった地味なナイフを選んだ。しかしこれは、この店の店長が作ったものであり、店長の作品の中で一番の作品なのだ。
「あんちゃん、ほんと目利き良いね。おまけだ。初めのナイフはただで上げるよ」
店主さんは適当に選んでいるようで、ちゃんと考えてナイフを選んでくれていることがうれしいようだ。
「ありがとうございます」
グレイノアは礼儀正しくお辞儀する。
「いいってことよ。それ、珍しいのはいいけど呪われて誰にも売れなかったからね。新しく誰かに使われたほうが武器も喜ぶさ」
そう言ってドワーフの定員は親指を立て二って笑う。こうしてグレイノアによる武器の買い物は終わった。
余談だが、別の所ではバセデがルシリアにナイフを一つ護身用にプレゼントしていた。
………グレイノア一行はドワーフの国の近くにある洞窟に潜っていた。洞窟は奥に進むほど暗くなり、魔物も増えてった。まあ、イヴァイルとグレイノアによって一瞬で灰と化したが。ちなみに洞窟の名は神洞。これも神の泉、神山と同じ神が作った場所である。なぜここに来たかというとこの洞窟に例の知恵の書がここの最下層にあるからである。
そしてついに洞窟の最下層の入口の扉についた。
「…なあ、大丈夫なのかよ」
「フッ、心配してくれるのですか?」
「だってよお、あそこに行くと大体の人間は光をも飲み込む闇のせいで頭がおかしくなるらしいじゃねえか。本当に大丈夫なのかよ」
「おいおいいつにもまして臆病になられまして、なんか変な薬でも飲みました?」
グレイノアがおちゃらける
「…死ぬなよ」
しかしイヴァイルはまじめだった
「…当たり前だ。俺を誰だと思っている」
ついにふざけることができなくなったグレイノアはそう言って無理やり笑顔をみせる。正直グレイノアも不安だ。だが、それを隠し通してまで手に入れたい物がある。故にグレイノアだって引けない。故に無理くりでも笑顔を作る。友にはしっかりとバレていることを知っていても、
そしてグレイノアは最下層の中に入って行く。
「うわぁ、想像以上に暗いですね」
最下層は暗く、音までも闇の中に飲み込んだ。グレイノアはいつものようにペラペラと喋る。周りには仲間がいないのに…。
そしてグレイノアは覚悟を決め。目をつむり瞑想した。目的はまだ地球にいた頃の自分(自分の思い出したくない過去)を思い出すために、




