第二十三話 堕天使Vs異世界人
グレイノアはまわりに何もない砂漠の場所に飛ばしたあと、結界術を用いて自分もろとも結界に閉じ込めた。結界の中は何もなくただただ白かった。
「これで、存分に戦えますね」
グレイノアは不敵に嗤う。いつの間にか背中に翼を生やしている。いつ見ても歪な翼だ
「やっぱ喧嘩売ってんじゃん」
堕天使が抗議する
「ええ、もとからそのつもりです」
グレイノアはあっさりと認めた
「あ〜、めんど」
すると堕天使はだるそうに肩を落とした
「でも、殺す」
そう言うと同時に今までだるそうな雰囲気が一転し、堕天使は怒気を纏い先手でグレイノアに攻撃をする。
努神二刀流 居合斬り
堕天使が予備動作がほとんどなく相手に近づき切りつける。本来所見で絶対に相手が見きれない技。しかし、グレイノアはその技を容易く防御する。
刃と刃がぶつかる。一テンポ遅れてぶつかった音がする。そして、そのまま激しい攻防戦が始まる。グレイノアも堕天使も技術派だ。お互い丁寧に相手の攻撃を受け流し、うまく相手の好きを狙って攻撃している。そのままお互いのギアが上がって行き、何もない空間に木霊する金属と金属がぶつかる音はどんどんと激しくなる。
「やはり、さすがですね。ここまで私とやりあえるのはイヴァイルぐらいですよ」
ある程度激しく切り合うとグレイノアは一旦堕天使から距離を取り楽しそうに嗤いながら堕天使を褒めた。
「まじで〜、イヴァイルとやりあったことあるん」
堕天使は信じられないと言う顔をする。
「ええ、最近もずっと鍛錬として戦ってくれますよ」
否、鍛錬として戦っているのはグレイノアだけだ。イヴァイルはただグレイノアと戦いたいだけだ。
「それは、うそだ。イヴァイルが鍛錬なんかするわけ無い」
堕天使でもさすがにそれは信じなかったようだ。
「私がその戦いを鍛錬としているのです」
グレイノアはすぐに事実を伝える。
「なにそれ」
堕天使が眉を潜める。
「私は嬉しいんですよ。あなたと戦えて、やっぱ相手がイヴァイルばかりじゃ飽きてしまいますので」
そういうグレイノアはほんとに嬉しそうだ。
「うわ〜、戦闘狂ね。どうせ戦いたいだけで俺の裏事情なんてどうでもいいんだろ」
努神二刀流 二光斬
これは、二本の剣を自信翼で隠し、相手の攻撃を翼で受けたあと、翼ごと相手を剣で貫く技である。
「ええ」
しかしまた、グレイノアに易易と受け流される。
「クソッ、俺がなんで引きこもりなったのさえも知らないんだろ。ほんと嫌なやつだな」
見切られたのが悔しいいのか、堕天使はグレイノアに毒づく。
「それは、あなたも同じですよ」
しかしグレイノアに口勝負で勝てるはずもない、煽り返された堕天使はもっとキレる。
「うるせー、お前におれの何がわかる」
堕天使の剣技がより素早くなる。
「その質問二度目ですし、会話になってませんよ。仕方がないのでもう一度いいますね。俺は、あなたの気持ちなんてわかりませんよ」
雷荒回斬流 軸型 逆切り
グレイノアの武器は持ち手が長い両剣いや、両矛と言わせて貰おう。名前は荒神。グレイノアはその武器で自分を軸に武器を回転させながら戦っている。
武器自体にも能力が付与されており、能力は武器を回転させるほど威力とスピードがます能力。しかし一度回転を止めれば威力は元通りになる。
逆切りは威力が元通りになることを承知で回転させている武器を一旦止め、急に逆回転させることで相手の意表をつく技である
しかし、この技にはその武器の持ち味である遠心力によるスピード維持ができなくなるため、すぐに対策できてしまい堕天使にかすり傷しか負わせる程度だった。だが、これで堕天使の動きを一旦止めさせるのには十分だった。
「まあでも、俺もあなたの立場だったらあなたのようになっている自信がありますね」
「なら!!」
「それでも、言わせてください。人間は醜いでも、それが自分の主の命令に違反する理由にはなりません」
グレイノアは冷酷にただ淡々と現実を突きつける。その言葉は堕天使に深く刺さった。
「………っ、うるせー!!」
努神二刀流 最終奥義 神域剣
嫌なところを突かれ、逆ギレした堕天使は怒りのままに自分の中で一番強い技をくりだす
「まっ、こうなりますよね」
雷荒回斬流 軸型奥義 世界の斬撃
グレイノアの高速回転と堕天使による猛攻による一秒にも満たない激しい切合いが始まる。そしてついにグレイノアが堕天使に致命傷をおわした。そしてグレイノアは堕天使の首に刃をあてていった。
「俺の勝ちです」
「クソッ、最悪だ」
負けた堕天使は悪態をついた。
「もう一度いいます。俺はあなたの気持ちはわかりません」
グレイノアは堕天使に話しの続きをする
「でも、それでも。俺はあなたを放っておけないのです。理由は同情と共感です」
グレイノアは自愛に満ちた笑みになる。その姿は元からの整った顔と相まってより聖人と化していた
「そうかよ」
堕天使は投げやり気味に返答する
「あなたが苦しんでいる理由はよく知っている。」
グレイノアは話を続ける。
「でも、セレリア様は今もなお、邪神のせいで苦しんでいらっしゃる」
「お願いです。私たちの仲間になって一緒に邪神と戦ってくれませんか?」
「もう一度、その素晴らしい剣技をセレリア様のために振るって貰えませんか?」
「セレリア様に一番忠誠を誓っていたカマエル様」
グレイノアが深々と頭を下げお願いした。
「……セレリア様……か」
グレイノアの言葉に堕天使は心を揺さぶられた。そして思う、まだセレリア様を慕ってくれる人間はいたんだなと、この人間とならと。
「いいよ。勇者といっしょに邪神を倒してやるよ」
そう言ってカマエルはグレイノアの前に手を差し出す。
「フフ、これからよろしくお願いしますね」
グレイノアは手を引っ張りカマエルを立ち上がらせる。
「よっこらしょっと、う〜んやっぱ疲れたな〜、やっぱ寝るか」
カマエルはごろんと地面に寝転がり治した。この怠惰だった堕天使は最後まで締まらないやつだった。




