第二十一話 新たなる勇者のお披露目会
イヴァイルは一人で酒場に来て出会い頭にカジノで全員に勝利していた。
(暇だな、やっぱグレイノア以外のやつとやると弱くて面白くねえな)
そう思いながらイヴァイルはのんびりと酒を飲んでいた。すると突然扉が開き大男が中に入ってきた。
「ん〜?お、ガンダルじゃねえか!!」
イヴァイルが彼を見るなり嬉しそうに立ち上がった。
「イヴァイルか、お前もここに来ているとはな。ここは酒が美味しいが、目立たない所にあるからあまり知られてねえんだぜ。どこで知ったんだ」
ガンダルも会えて嬉しそうだ。
「グレイノアが教えてくれたんだ。そういえばあいつそこに行くといい出会いがあると言ってたな。ほんとあいつは何でもお見通しだ」
イヴァイルが自分のことのように胸を張って言った。
「で、この状況はなんだ」
少し周りがの光景が気になって聞いた。
「あ〜、俺がカジノで全員の金を奪ったら、こうなった」
イヴァイルがサラッと答える。
「おっおう、まじかよ。やっぱりいいことするやつは運がいいのか」
ガンダルが感心したように呟く。
「はっ、カジノを運ゲーって言ってるから勝てないだよ」
そのガンダルのつぶやきにイヴァイルが鼻で笑う。
「イカサマでもしてんのか?」
ガンダルが疑いの目で見る
「んなわけ、あるか実力で運を掴むってやつだよ。それよりせっかくここであったんだ、酒飲もうぜ」
そう言ってイヴァイルは腕をガンダルの肩に掛ける。
「先に倒れたほうがおごりな」
「勝確だな」
もちろん悪魔は酒に酔わないため当然イヴァイルの圧勝だった。
「くそぉ。お前何でそこまで飲めr&んだよ」
「いや、俺が酔うことないからな。まあいくらかは払ってやるよ」
そう言ってイヴァイルはガンダルの肩をポンポンと叩いた。
……次の日、いよいよ発表の日五人は謁見の間の前で待っていた
「さて、といよいよだな」
イヴァイルが待ちきれないと言わんばかり扉を見据え、口角を上げる。
「二日酔いで吐きそうだとか言うなよ」
グレイノアが軽くジョークをとばす。
「お前だって昨日夜ふかししてたじゃねえか」
もうすぐ始まるのに二人には全く緊張した様子がない。
そして時間になり門が開かれた。中はきれいな部屋の奥に鎮座する黄金の玉座、そこへ続く長い絨毯、壁には有名な絵画が並べられ、天井にはきらびやかで幻想的なシャンデリア、この理想的な謁見の間で彼らは 一斉の貴族たちに拍手で迎えられるはずだった。しかし場は五人の登場の瞬間で一斉に静まった。勇者パーティーの登場に誰もが圧倒されたからだ。
実力があるものはその佇まいで一瞬で相手の実力を見抜き、思わず恐怖した。実力がない貴族達も彼らの美しい動きに完全に飲み込まれていた。
グレイノアは仲間には見慣れているが、ありえないと思わせるほどの整った顔、その上いつもの紳士的な仕草で礼儀作法の全ての動きが洗礼されいて、貴族達の心を鷲掴みにした。極めつけは声いつもの愉快そうな声とは違い透き通るような声で挨拶し、彼の声を聞いた女性達を昏倒させた。
イヴァイルはグレイノアに及ばないがきれいな礼儀作法、王よりも威厳のある堂々とした立ち振舞、少しも好きが見えないことで、誰もが彼を只者じゃないと思った。
プラチナはその美貌と何も言わずグレイノアの後ろを付き従う姿が美しく、よりグレイノアの魅力を盛りたてていた。
バセデはあまり注目されていないが年相応の落ち着きと、イヴァイルの命令をテキパキと遂行させる姿に思わず国王の執事が完璧だとつぶやいた。
四人の姿はそれはまるで美しく、宝石とバラによって築かれた大宮殿のようだった。誰もがこの四人に釘付けになった。その四人の姿に今回は完全に空気のルシリアは、
「ほんとにすごいわね。貴族じゃないのに貴族の服も着こなしているし、ていうかやっぱりこの二人は、性格は残念だけど礼儀はしっかりしてますものね」
と言って、この場のすべての人間を釘付けにした四人に対して嫉妬のため息を吐いた。余談だが、きなこはここに来ていない。獣人はあまり貴族には好まれないからだ。
「よっよくぞ参った勇者殿」
国王も多少圧倒されているようだ。
「始めまして国王様。私が新しき勇者、イヴァイルと申します。そして国王様、私は邪神を打倒し、この国に平和をもたらすことを誓いましょう」
イヴァイルは国王の前に跪き、誓いを宣言した。
「うむ、期待しているぞ」
そして国王は満足そうに頷く。こうして新たなる勇者を祝してパーティーが始まった。しばらく仲間だけで話していたが一人の男が話しかけてきた。ガンダルだ。
「よう、イヴァイルお前が勇者だったとはな。正直驚いた」
ガンダルはグレイノア一行から溢れ出る近寄りがたい雰囲気を強行突破し、話しかけてきたのだ。
「まあな、俺もまさか勇者になれるとは思っていなかったからな」
イヴァイルは褒められて少し誇らしそうだ。
「俺はなれると思っていましたよ」
グレイノアが優雅にワインを飲みながら言った。すごいことに周りからのうっとりした目は全然気にならないようだ。
そして、しばらくグレイノア達は優雅にパーティーを楽しみ、その姿で何人かを昏倒させた。
……話は変わるが、この王城には決められた人以外の部屋がある。入っているのは、メイド長だけで数ヶ月に一度料理を運びに行くぐらいだ。その部屋には堕天使が住んでいた。堕天使はいつも気だるげ毎日ダラダラと過ごしている。背中には白と黒の翼が四本生えており、それはある意味神々しくさすがは堕ちても天使だと思わせる。
コンコンコン、まだ夕飯の時間では無いのにメイド長が入ってきた。
「ーーー様、新しい勇者が決まったそうですよ」
堕天使の世話係が報告する。
「ふ〜ん、まっどうせ今回も邪神に勝てないだろうからどうでもいいけど。てか、毎回報告する必要ないから、料理以外で俺の部屋に入って来んな。わかった」
堕天使はどうでも良さそうにあくびをしたあとまたいつもの通り寝始めた。本当に怠惰である。
だが彼はしらない自分がその勇者の仲間になるなんてことを




