第十九話 いざ奴隷商を駆逐せよ♪
今きなこは前話の作戦で幻術魔法で作った自分を奴隷商の前を歩かせている。
「へへっ、お姉ちゃんいい獣人だね。ちょっとこの店によってかねえか。かわいがってやるよ」
案の定幻術だとは知らず奴隷商の下っ端が下心ありきで近づいて来た。
「お断りでありんす」
きなこが丁寧に断る。だが言葉にはどことなく怒りが混じっていた。
「おまえ。知らねえのかよ、獣人に人間の誘いを断る権利はないんだぜ。大人しくついてきて貰おうか」
そう言って奴隷商の下っ端はきなこを掴んで無理やり連れて行こうとする。
「俺の仲間に何をしているのですか?」
そこにグレイノアが登場。
「あ?この獣人あんたの仲間なのか、だめじゃないか獣人を勝手に町に入れるなんてこの国じゃ罪だぞ。しっかり首輪をつけさせねえと」
奴隷商の下っ端はヘラヘラと笑っている。
「どうでもいいことです。それより彼女を放して貰いませんか」
しかしグレイノアは下っ端の注意を一蹴した。
「そりゃ〜むりだね。ていうかお前も罪人なんだぜ。お前も仲良く奴隷行きだよ」
奴隷商の下っ端が言うと同時にいつ呼んだのか奴隷商の仲間が武器を持ってグレイノア達を囲んだ。
だがそれはグレイノアにとって無意味なことだった。グレイノアは手を頭の横にやり指を鳴らすすると奴隷商の手下どもは一瞬でいなくなった。そしてグレイノアは口角をあげ、思いっきりどす黒い笑みを顔に出しながら言い放つ。
「なら、死んでください」
「はあっ!?」
下っ端はあまりの一瞬の出来事に何が起こったのかわからず叫ぶ。そして下っ端はとっさに彼の仲間である獣人を人質にしようとして、その獣人がいつの間にかいなくなっていることに気づいた。もちろんきなこが下っ端の目線がグレイノアに向いている隙に幻覚を解いたのだ。
「よし、始まりだな」
イヴァイルも武器を取り出し、戦闘準備に入った。
「てっ…店長!!」
下っ端は真っ先に店の中に逃げていった。
「良かったのか見逃して」
「大丈夫ですよ。どうせ全員皆殺しですから」
「そうだったな」
そしてグレイノア一行は奴隷商の中に入って行った。
………
「オラオラオラオラ」
イヴァイルが中に入って警備の人たちをなぎ倒す。なぎ倒された警備員たちは一瞬でビシャと潰れ、原型を無くした。もはや彼が通ったところは血と肉片による死の道になっている。
「俺、大本占めてきます」
そう言ってグレイノアはどっか行った。大本というから多分この店の奥だろう。まあ、こういう自体に備えて必ず裏口がある。逃げられてもらっては玩具が減り困るからイヴァイルもグレイノアの行動を許容している。
「オイ。バセデ、この中で誰を殺しちゃいけないんだ」
イヴァイルが奴隷が捕らえられていた檻を壊して言った。
「フォフォフォ、そうですね。あの子とあの子とあの子です」
自分のせいでイヴァイル様に悪評を出してならないと思いバセデは頑張って説明する。まあ、万が一ミスって殺してしまったとしてもグレイノアかルシリアが生き返らせてくれるだろうが、
こうして奴隷救出作戦は淀みなく皆を救出できたのであった。(もちろん本当に罪を犯して奴隷になった人はグレイノアの対象外だったためイヴァイルが殺している)
この後グレイノアが、奴隷たちを普通に生きられるため奮闘した。
まず、子供が腹にいた人は、仕方がないため腹の子供を消した。奴隷になって一度でも無理やり汚されたことがある人は魔法で純潔な女性に戻して、子供の頃からひどい目にあっていた人は奴隷だったときの記憶をすべて消し、常識と礼儀を魔法で脳に覚えさせた。
こうして、後腐れがないようにした奴隷たちは転移で飛びまくって、居るべき所に戻した。(家がない人には魔法で家を作って上げた)
今回のMVPは間違いなくそれをすべて一人でやったグレイノアであろう。
………
「もの足りねえな」
奴隷商を襲撃した夜。イヴァイルは退屈そうにつぶやいた
「そうだろうと思っていました。なのでこの国にある奴隷商をすべて消しましょう。大丈夫場所はもう全て 把握しています。それに今回は人目がないので存分に楽しめますよ」
そう言ってグレイノアはむしろこれが本番だと言わんばかりに不吉な笑みを浮かべる。
「ほう。いいねえ、面白そうだーーーーー⋯なあ、俺にも少しぐらい後始末を手伝わせてくれねえか」
「…いいでしょう」
グレイノアは急なイヴァイルの願いに驚いたがすぐに承諾した。そして嬉しそうに笑う。
(ハハッ、まさか魔王が仲間を思いやるなんてね。でも少しずつ変わっていく魔王を見るのは少し悲しいですね)
グレイノアは今回のことを心に刻んだ。そして、二人は今日の夜を存分に楽しんだのであった。(ついでに盗賊のアジトも潰している)
………
「そういえばお前が考えた剣の名前何だっけ」
夜明け頃、惨殺を散々楽しんだイヴァイルがふと思いだした。
「そうですねぇ。ノーデンスというのはどうでしょうか」
「ほう、意味は」
「俺の世界で仮想で作られた異形の神で、その中の神でも数少ない人間の味方してくれるの神です。悪魔でありながら勇者であるあなたが持つ聖剣にふさわしい名前でしょう」
「ああ、いい名前だ。聖剣よ聞け、お前は今日からノーデンスだ」
イヴァイルは闇夜の中、聖剣を掲げながら宣言した。もうすでに人の血で汚れた聖剣。イヴァイルの言葉に答えるよう聖剣が少し、輝くいた。その輝きは神々しく、どこか禍々しかった。
今回の奴隷商だけを集中的に狙った虐殺は、人間世界に大きな衝撃を与えた。
そしてその日に何名かによる夜空に不気味に輝く白い悪魔羽の目撃証言
この虐殺は第二回、白い悪魔事件と名付けられ一回目と同等の被害を出した事件として歴史に語り継がれる。
とある亡国のとある教会で、
「シスター、あの王国の奴隷商が全て潰されたって」
子どもが元気に走って、報告する。シスターと言われた女性は振り返り、報告してきた子どもの頭を撫でた。
「そう。ありがとう」
女性は空を見上げ、呟いた。
「あなたはまだ罪を犯すのですね…。あなたは何のために罪を犯しているのですか。まるで、それが義務みたい。…誰か彼に救済を、償いは全て私がやりますので…」
それを見上げる女性の顔は悲しみで満ちていた。




