第十七話 次の行き先
「皆様おはようございます。昨日の疲れはよく取れましたか」
グレイノアはすでに食卓につき優雅にお茶を飲んでいた。
「いやよく眠くて疲れが取れんかった」
イヴァイルがきつそうな演技をしながら答えた。(そもそも悪魔は眠らない種族であるはずなんだが)
「そうですか、やはり勇者という大役は少し荷が重いですか」
ルシリアは本気でイヴァイルを心配した。彼女は案外天然なのかもしれない。
「そうだな、無理はよくない俺が安心して眠れる魔法を掛けるてやろうか」
と言ってグレイノアはニヤリと笑い片手に電気をまとい始めた。
「それは安心して眠れないだろ」
イヴァイルが軽く突っ込んだ。
「それで次の行き先のことなんですが」
ルシリアが真剣な面差しで話を切り出す。
「分かっています。聖都セレミナスですよね」
にこやかな顔も一変、グレイノアも真剣な面差しで確認した。
「はい、そこで新たなる勇者であるイヴァイルの発表をしなければなりません」
ルシリアがそこに行く理由を話す。
「俺も実はそこに会ってみたい人がいる」
「ほう、お前が会いたいなんて言う人がいるとは…で、誰なんだ」
イヴァイルがグレイノアの言葉に興味を示す。
「そこは秘密です。合ったら仲間に誘おうと考えています」
そういいながらグレイノアは人差し指を口に当てる。
「お前が仲間にしたいなんて、強いやつなんだろうな。楽しみにしてるよ」
そう言ってイヴァイルはグレイノアの言うやつがどんなやつか想像し始めた。
「食事の準備が整いました」
プラチナがそう言ってテーブルに最後の料理を置いた。
「プラチナの料理は今日も美味しそうです」
いつものごとくグレイノアがプラチナの料理を褒める。
「次の行き先が決まったことだ。食事が終わったら、身支度をして旅に出発するとしようか」
…
「よし、じゃあ出発」
「お前毎回それ言うの恥ずかしくないのですか」
グレイノアの旅の合図にルシリアが少し呆れた声で質問した。
「雰囲気って大事なんですよ」
グレイノアはその質問にあやふやな答えで返した。
「待つでありんす」
きなこが走って来てみんなを呼び止めた。みんなが一斉に振り返る。
「わっちもルシリアと一緒に旅に出たいでありんす。またルシリアちゃんと離れ離れなんて嫌でありんす!」
きなこが精一杯声を張り上げ宣言した
「きなこちゃん…私もきなこちゃんと一緒に旅をしたい。いいでしょうかグレイノアさん」
ルシリアはきなこの言葉に感激して、グレイノアにきなこの仲間入りを許可できるようお願いした。
「いいですよ。旅の人数は多いほど旅が楽しくなりますから」
グレイノアはあっさり許可をだす。
「じゃあ俺からも一人入れていいかガンダルが仲間になりたいんだってよ」
イヴァイルがこの空気に便乗して、もう一人追加する。
「いいですよ。ていうかもう許可出してるんでしょう」
グレイノアがやれやれという感じで、肩をすくめた。
「ハハッバレたか」
本来ならもう少し反省してほしい所である。
「リーダーの許可無しで仲間にするのだめじゃないですか」
ルールに真面目なルシリアが怪訝そうに眉を潜めた。
「いいんですよ。イヴァイルは特別ですから」
そう言ってグレイノアに今まで以上の優しい笑顔で笑ったのであった。




