第十五話 新たなる友との約束
グレイノアが戻るとそこは宴の準備が行われていた。
「おっ、楽しそうなことやっていますね」
グレイノアその光景に少しワクワクした。
「そうですね」
プラチナもグレイノアに賛同する。ルシリアも前回の祭りをかなり楽しんでいたため嬉しいのだろう。
「ああ早く参加するか」
「おお帰ったかグレイノア殿、精霊から聞いたぞほんとに五千の魔人族を相手に見事勝利を収めたようじゃないか」
ここで獣王がグレイノアに気づき、言ったとおりに帰ってきた彼を褒め称えた。
「フッ、これくらい余裕でした。」
グレイノアはわざとらしくポーズを取った。少しイタい
「そっそうか」
(この顔は嘘をついていないほんとに余裕だったのか…化物だな)
獣王は心のそこから彼らのことにゾッとした。そしてカッコつけているグレイノアを見て少しいイタいなと感じた
「グレイノア様、イヴァイル様はまだ帰って来てませんか?」
いつの間にかいたバセデがグレイノアに問いかけた。
「今、呼びます」
そう言ってグレイノアはイヴァイルと思念をつなぐ。
『イヴァイル今何してますか?』
『こっちは勝利の宴をやってる。全くたかが魔人を殲滅したぐらいで大げさだよな』
『そっちでもやってるのね。まああの数の魔人を相手に勝つのは奇跡みたいなものだから仕方がないですよ。それで、帰れそうですか?』
『ああ大丈夫だ』
「おい、ガンダル、俺のリーダーが呼んでるから帰るわ」
「いや、もう少しゆっくりしていけ」
すかさずガンダルがイヴァイルを引き止める。
「ルシリア全員の傷を癒やしたか、帰るぞ」
それを無視してイヴァイルはルシリアに命令した。
「またあれで帰るのですか」
ルシリアが少し嫌そうな顔で言った。さすがの聖女でもあれをあの高速移動をニ回やるのは心が折れるか。
「いや、帰りは転移でいい」
それを聞いたイヴァイルが手を左右に振って否定する。
「…何で行きは転移じゃなかったのですか」
ルシリアは少し頬を膨らませた。
「何でって行ったことない場所だから仕方がないだろまっすぐに行けたのもグレイノアが大雑把に示してくれたからだ。適当に飛んだら埋まってたり、挟まったりしてるぞ」
イヴァイルはグレイノアほど空間魔法を熟知していない。
「…なら仕方がないですか」
ルシリアは渋々納得した。だがこれほどの理由があって渋々なのはよほどあの移動法が嫌だったのだろう。そんなこんなな話をしていると
「イヴァイル殿」
ガンダルが呼び止めた。呼び止められたイヴァイルは
「済まないが友が待っているんだ」
と言って断ったあとそのまま転移の魔法陣を起動させようとした。
「いや、そういうことじゃない。お願いがあってな」
「何だ?」
イヴァイルが発動を中断して振り返った。
「イヴァイルよ。俺は、今まで連携が苦手で入っては抜けを繰り返していた。だが、お前たちのチームワーク無視の個々で戦うチームなら俺もうまくやっていけそうだと思った。お願いだ。もし次にお前達と合うことがあったら俺も君たちの仲間に入れてくれないか」
そう言ってガンダルは手を差し出した。
「ふっ、いいぜまた一緒に酒を飲もうじゃねえか」
イヴァイルは手を差し出す、ガンダルも顔を上げその手を握った。それは熱い友情の証だった
「…人間と仲良くするのも悪くはねえな」
転移際、イヴァイルがぼそりと呟いた。転移魔法が作動する。もうすでに場所は獣人の国ユニラセアだ。
「ルシリアちゃん」
戻ってすぐにきなこがルシリアに勢いよく抱きついた。
「うわっ!!」
急なことにルシリアがきなこの体を支えきれずそのまま倒れる。
「良かった、たった五人で二万の迎撃だからもしかしたら死ぬんじゃないかと心配だってのでありんす」
勢いよく抱きついたきなこはルシリアの胸で泣き出した。
「…前回と逆だな、ほんとに仲が良いようですね」
それを見たグレイノアが微笑ましい顔で二人を見守った。
「よくぞ帰って来た。我が英雄達よ」
獣王が仰々しく迎え入れる。獣王の部下たちは獣王の後ろでグレイノア達を前に深々と頭を下げた。
「さて、獣王様、今回の戦の報酬に神の泉に行かせてもらいませんか?」
まるで初めから決めていたようにグレイノアはおねだりする。
「…諦めたんじゃなかったの」
きなこはグレイノアの発言に思わず突っ込んだ。
「国の恩人ならワンチャン行けるかなと思いまして」
グレイノアは頭を掻く。
「…目的は見学だけでは無いのでだろう」
獣王は目で促した。さすが王なだけ洞察力はあるようだ。
「勇者の剣です」
促されたグレイノアはいつも貼り付けているにこやかな笑顔を変え真剣な面差しで神の泉に行く目的を語った。
「なるほど、確かにお前なら行けるだろう。まあ、我々が外で戦っている途中侵入した魔人がいたようだがさすがに追い払った今もう一度来ることはなかろう。泉まで案内する」
そう言って獣王は身を翻した。泉の元に向かい始めた。
「ありがとうございます」
グレイノアが礼儀正しくに感謝の言葉を述べた。今のグレイノアはいつも以上に大人びた雰囲気があった。




