第十四話 賢者の裏工作
「それで、どうやって獣人の五感を欺き世界樹の中に入り、この神の泉きた。ここには精霊もいる獣人は欺 けても姿が見えない精霊を人間ごときが欺けるとは思えない……いや、まて羽が生えている人間か?」
光龍王がもう一度質問をし、気づいた、今この人間には白の悪魔羽と黒の翼が生えていることに。光龍王はそれを見て余計怪訝そうな顔をした。
「獣人の五感を欺いた方法はいま精霊が教えてくれると思いますよ。あと元人間ですね。まあ人間と変わらないですよ」
グレイノアは今度は丁重に答える。あと翼は重力操作が使えるため飾りだが彼のお気に入りのためこうして人目につかないときは生やしている。グレイノアいわく羽は人間のロマンだそうだ
「…なるほど、妖精のいたずらで時空が歪まれ、ユニラセアを通らずこの国の周りの森から泉まで来たか。人間のみならず悪神まで侵入してくるとは、精霊のいたずらもここまでくれば大問題だな、これは少しお灸を据えるなければいけないようだ」
光龍王はため息を吐いた。
悪神とは魔人の一つ上の存在で力も頭脳も魔人を遥かに凌駕している種族である。そんなのが神の泉に入って来たとなると大問題なのである。
「わかります。入りづらくするならまだしも入り安くするのは困りますよね。それで精霊の欺き方なんですけど、これについては教えるわけにはいきませんので、ああ、あと私はただただ神の泉を見に来たので魔人族とは関係ありませんよ」
グレイノアはにこやかな笑顔をした。正直、誰からみても胡散臭い。
「私を前にヘラヘラとよほど腕に自身があるようだ。それと不法侵入者の発言が簡単に信用されると思うなよ」
光龍王は呆れ半分で忌々しそうにグレイノアを見た。
「もちろんそうだろうと思っていました。なので私がその悪神の仲間では無い証拠に私に魔人をやらせてもらえないでしょうか?」
グレイノアがにこやかな笑顔なまま光龍王に提案した。
「…ふむ、いいだろうだがもしお前が不審な動きをした瞬間お前の命はないと思え」
またもや光龍王がグレイノアを威圧した。まあ、こんな卑しいやつだ。許可が出ただけすごいであろう。
「契約成立ですね」
しかしグレイノアはまったく怯まなかった。すると二人の話を盗み聞き(もちろんグレイノアは気づいていた)していた数人の悪神のリーダーが
「おい、来てみればたかが羽を生やしただけの劣等種(人間)ごときが俺を殺すだと舐めてんのかおい」
と言って雑魚っぽい言い方で突っかかってきた。
「聖剣に細工をしに来たのにまさか人間もいるなんてね。しかもまさか悪神相手に喧嘩を売るとは、運がない」
部下だろう悪神もうしろで笑っている。
悪神の数は五人リーダーと今笑ったやつは戦士で、他三人は魔法使いの様だ。
聖剣(勇者の剣)とは泉の中心に刺さっていて、神の魔法により勇者の器のある人間にしか抜くことができない剣であるそしてこの剣を抜いたものは、神の選別をくぐり抜けた新の勇者となれるのだ。この魔族たちは その剣に毒を塗って永遠に人間の手に入らないようににするのが目的のようだ。
「ええ、舐めてますよ。逆にたかが複製体ごときに俺に勝てると思わないでください」
グレイノアが鼻で笑い飛ばした。すると
「殺す!」
下に見られた悪神のリーダーが怒り狂い殺そうと剣を振る
「おっと動かないでください、あなたには色々なこと吐いてもらわないといけないのですから」
しかしそのままグレイノアは余裕そうに嗤い続ける。次の瞬間悪神に膨大な電流が流れ動けなくなったあと、下から磁力が働き、悪神たちは体を地面に縫い合わされた。
「さて、今後の計画のことをすべて吐いてもらいましょうか」
グレイノアはそう言って動けなくなった悪神の手を踏み潰した。
「…吐くわけないだろ」
「別にいいですけど、君たちが吐くまで拷問するよこちらはとてつもなく痛い拷問方法を悪魔に教わっていましてね。それに死んでも生き返らますので、好きに拷問できるんですよ」
そう言ってグレイノアは見せしめのように悪神の一人をひねり潰した、その後温かい光がその悪神を包み込み悪神は元の姿に戻った。
「グハッ、いっいまのは?…」
生き返った悪神はさっきのことがなかったかのように無傷だが、記憶に鮮明に残る死ぬ瞬間の痛みが彼をより恐怖に陥れた。周りの悪神達もそれを見て恐怖で青ざめている。
「ほらね。さあ選びなさい。死にたくても死ねない地獄か、さっさと情報を吐いて楽に死ぬか」
グレイノアはより残虐に口角を上げ嗤う。悪神は元からそんなに耐久力も主人への忠誠心もないため簡 単に心が折れ、これからの計画をすべて喋った。
「さて、これで俺が悪神と無関係って言うことが分かったでしょう」
すべての悪神を殺したグレイノアは光龍王の方を振り返った。
「…そうだな、疑って済まなかった」
意外と純粋な光龍王は頭を下げる。
「すなおですね、元から不法侵入した俺が悪いはずなんだけどね。…で、お願いがあるんだけど、俺がここに来たことを誰にも話さないでほしいんです」
真面目に謝られたグレイノアはやれやれと肩をすくめる。グレイノアは心のなかでちょっと純粋すぎる光龍王にこのまま聖剣の管理を任せて大丈夫か少し不安になった。まあしかし案外厚かましいグレイノアは反省している光龍王にお願いした。
「…まあ、いいだろう」
何故かと理由を聞こうとしたがやめ、光龍王は許可を出した。
「ありがとうございます。では、俺は少し茶を飲みながらこの景色を堪能したら帰りますね」
そう言うとプラチナをここに転移させ、ティータイムの準備をし始めた。
「獣人には精霊を通してすでに魔族の侵入が伝わっているだろうから、すぐに帰ったほうがいいと思うぞ」
光龍王がのんびりしているグレイノアを見て一応忠告しておく。もちろんグレイノアも気づいていた。しかし、グレイノアはそんなこと別に問題ではなかった。
「大丈夫です。悪神があとから追ってが来ないようにかなり硬い防御結界を張っていますので」
「そうかなら私に面白い話をしろ」
グレイノアに問題ないと言われ安心した光龍王は偉そう上から目線でグレイノアに命令した。
「いいですよ、俺は会話が好きなんです。プラチナ、光龍王様に茶を」
大人であるグレイノアは光龍王の偉そうな態度も何も気にせず承諾し、まだ状況を把握しきれてないプラチナに2人分の茶を出すよう命令する。
「かしこまりました」
命令されたプラチナはすぐに冷静さを取り戻し、茶を作り出す。
「あと精霊と契約したのですが、いいでしょうか?」
グレイノアが確認する。
「いいぞ何人でも契約しろ」
光龍王は外での話が聞けると思って上機嫌だ。そしてグレイノアは悪神の結界が強固なのをいいことに好きなだけ神の泉にとどまった。
追記 獣人たちの動き
「お父様!!大変でありんす」
きなこは精霊から悪神に侵入されたと聞いて急いで最前線で戦っている獣王の元に行った。
「何だ。今は忙しい手短に話せ!」
獣王は魔人を一人また一人と相手を一瞬で粉砕しながら大慌てのきなこに聞き返した。
「今、精霊からの報告で悪神が世界樹の中に侵入したそうです」
きなこは獣王に言われたとおりに手短に精霊に言われたことを話す。
「なっ、それはいかん。説明はあと、今の戦況は完全に私たちに向いている。何名か引き抜いても大丈夫だろう。今から世界樹の内部に行くぞ。きなこ、お前も俺について来い」
説明を受けた獣王は急転換して、きなこに命令した。
「分かったでありんす」
きなこも戦う覚悟を決めているようだ。世界樹に行く途中で何人かについて来るよういいながら、きなこと共に世界樹に向かった。
⋯⋯⋯世界樹入口
「⋯ッ止まれ!!強力な結界だ。これ以上は進めん。総員、武器を構えろ全力で叩いてぶっ壊すぞ!!」
「「おう!!」」
⋯⋯⋯三十分後
「強力な結界だったな。多分に一人ぐらい味方の魔族を生贄にしているのだろう。⋯ゲスどもめ。行くぞ!!魔族なんぞに我らが神に預かりし聖剣を怪我されて溜まるか!!」
こうして世界樹になだれ込んだ精鋭部隊十名はもう全て終わったことを光龍王に伝えられ、悪神を簡単に蹴散らした光龍王に感心しながら戦場に戻って行ったそうだ。




