第十三話 いざ人間たちを救いに
「さて着いたな」
「うぷ、吐きそうです」
さっきまでめんどくさがっていたのに今ではさあ早くやろうと意気揚々をしているイヴァイルと違いルシリアは先程のスピードと森を出るときの急な曲がりにリバースしそうになっていた。
「なっ聖女様どうしてここに獣人の国に行くのではないのですか!」
戦場の指揮を任されていたガンダルが急に現れた二人に驚きながら聞いた。
「俺が獣人の国からここまで連れてきた。助太刀するぜ!」
そう言ってイヴァイルはにやりと嗤う。
「…なぜ私まで必要なんですか?」
吐くのをどうにか持ちこたえたルシリアがまだ顔色が優れない状態で聞いた。
「グレイノアがここかなり苦戦しているから回復役で兵の治癒を頼むってさ。」
「なるほど、なら早速取り掛かりましょう。」
イヴァイルの返答を聞きまだ疲れているだろうと思うのに立ち上がって救護所に向かった。
「はあ、よくやるぜ。」
イヴァイルがその姿をみて感心したように呟く。
「さて助太刀してくれると言ったが、どのくらい殺れそうだ?」
ガンダルがイヴァイルに聞いた
「全部一瞬で殺せるぜ。」
「なっ何を言っているこの数が見えないのか!」
ガンダルは叫んだ
「まあまあ見とけって ヴォイド」
イヴァイルのヴォイドと言う共に黒く禍々しい大剣が現れる。その大剣は彼が魔王になったとき手に入れた魔剣で名は虚空その剣に込めて打たれた魔法はあらゆるものを跡形もなく消すことができる。(神とグレイノアというこの世の理にいる存在を除いて)
「ファイア」
イヴァイルは唱えると同時に魔剣を上と下で二回振り、炎の斬撃放ち、天空の魔法陣と地上の魔人兵に当てを一瞬で跡形もなく消し去る。その光景に人間の兵は誰もが唖然とした。
「言ったろ全部殺れると。それにしてもやはり殲滅は面白みがねえな。」
「…あ、ああそうか…今のがファイアなのか…化物だな。」
あまりのことにガンダルは呆然とした。
(おい、やったぞ。おまえの言う通りに)
イヴァイルは少し苛ついた口調で報告した
(そうですか。それならもう少しその場に留まってていですよ。疲れたでしょう?)
グレイノアが心配そうに言う
(…本気でそう思っているのか)
急なグレイノアによるボケでイヴァイルは少し呆気にとられた
(そんなわけないのわかっているでしょう)
グレイノアは演技ですよ演技と言う
(…イヴァイル、一回周りに目と耳を傾けてみてください)
そして、少し間を開けていった
(あ?何でだよ)
イヴァイルが聞き返す
(別にいいでしょう)
グレイノアが曖昧な答えを返す。イヴァイルはグレイノアの言う通り周りを見渡した。そして周りはいつの間にか場は静まり帰り、兵の視線はイヴァイルのもとに集まっていた。
あるものは恐怖の視線を向け、あるものは神でも見たような視線を向けて彼を見ていた。恐怖の視線はまだしももう一つの視線は初めてだがそれでもその光景はイヴァイルにとってはつまらない光景だった。イヴァイルは何が良い光景が見られるだと内心グレイノアに愚痴った。そこに気を取り戻したガンダルがイヴァイルの隣に立ち、
「皆のもの、この者はイヴァイルBランクの冒険者だ。彼は我々が苦戦しているのを聞きわざわざ獣人の国まで飛んできて我々の窮地を救ってくださった方だ。この勇敢なる戦士に勝利の歓声を!!」
イヴァイルの手を上に上げ叫んだ。そして少し間が空いたあと瞬く間に場はに兵士達の歓声の声に包まれた。一斉なる祝福イヴァイルは初めてのことに心が高揚した
「君は今まで無名だったものだ。今回の成果に訝しむものもおるだろうが、紛れもなくこれはお前の実力による成果だ。存分に誇るがいい。そしてこれからも戦場の英雄として我々の戦争に参加してくれないか」
そう言ってガンダルは右手を差し出した。イヴァイルははじめ断ろうと思ったが、妙にこの光景に心が満たされたため、
「まっ、グレイノアにお願いされたならいかんでもない」
と答えた。
(ほら、良い光景が見れたでしょう)
グレイノアが思念伝達でしてやったりと言う感じで聞いてくる。
「ああ、そうだな、これを見るためなら今回のタダ働きも悪くはなかったかもしれない。ルシリア、お前がいろんな人に好かれるのは悪いことじゃないと言うことがよく分かったよ」
そう言ってイヴァイルは深く頷いた
「ふふ、そうでしょう」
ルシリアが微笑む
(そっ満足したなら良かった)
グレイノアも思念伝達の裏で微笑ましそうにしたあとイヴァイルの邪魔にならないよう思念伝達切った。
そしてイヴァイルはこの光景を満足するまで見続けた。
………
「うんイヴァイルも人者になれて良かった良かった。」
グレイノアは一人で頷いた。そして彼の前には何故か白い竜が彼を凄まじい怒気を放ちながら睨みつけていた
「貴様、どうやってここに来た」
眼の前の竜によって放たれた魔圧がグレイノアにぶつかる、本来普通の人間であれば気絶しているだろうしかしグレイノアは顔色一つ崩さない。そう今、グレイノアは立ち入り禁止の神の泉に立っていた。
「光龍王様もそう思いますよね?」
グレイノアはそう言ってより深く嗤った。…ここから彼の裏の物語が始まる。




