第十二話 圧勝、そして別任務
…南では獣人が魔人を圧倒していた。さすがに魔人族も一方向だけに全軍をよこすなんて考えていなかったのか、グレイノアが提案した一旦撤退して追ってきたのを全軍で叩くと言う簡単な罠に引っ掛かり、すぐさまこちら側が有利になったからである。あと獣人が知恵を使うなんて考えていなかったのもあるのかもしれない。
(ふう、取りあえずここはルシリアが連れてきた冒険者のお陰でどうにかなりそうでありんすね。…しかし本当に一人で五千も倒すなんて大丈夫でありんすかね。)
きなこは一人で一喜一憂していた。するとどこからとなく一匹の妖精がやってきた
「…あのう」
その妖精はものすごく申し訳なさそうにきなこに声をかける。
「妖精が泉から離れるなんて、どうしたんでありんすか?」
きなこはそんな妖精に優しく問いかけた
「実はーーー」
「え!?」
妖精の言葉に思わずきなこは驚き叫び声をもらした。
………
一方その頃、他三方向を担当しているグレイノアらは、もうすでに魔人族の軍を一人残らず、殲滅していた。
倒し方は簡単、魔人族の軍隊がいる所に千個を超えるの雷を魔法で落としただけだ。本来天候を操り雷一つ落とすだけでもかなり上位の魔法使いになるのにそれを千個、グレイノアがよほど桁外れな魔法の使い手だとわかる。
(こちら、グレイノアただいま殲滅完了しました)
グレイノアが思念伝達でふざけて軍人ぽく戦果を報告した。
(フォフォフォ私も終わりましたよ)
バセデも付随して戦果を報告する
(俺も終わったぜ、で俺だけの別任務ってなんだ)
イヴァイルも報告したあと、生き残りで拷問をしながら、グレイノアにきいた。
(ああ、イヴァイルにさ、今から人間の国に行ってそこでも魔人を殲滅してほしんですよね)
グレイノアはお願いした。普通なら魔人族なんて人間の百倍ぐらい強い種族それをこんな簡単に殲滅しろって言えるのはいささかぶっ飛んでいた。
(断る)
即答だった
(いいではないですか。多分ですけどいい景色も見られると思いますよ)
(殲滅にいい景色があるかいま拷問楽しんでるところなんだぞ)
(いえ、そうじゃなくて俺は殲滅したあとに君が見たこと無い景色を見られるって言ってるんですよ)
(…お前がそう言うならいいだろう今回は特別だぞ、悪魔はタダ働きが一番キライなんだ)
(分かってるよ)
(ならいい)
(フォフォフォ熱い友情ですな〜、それでイヴァイル様実は私何人か生け捕りにしました。私の選別に生き残った特に優秀な者たちですぞ)
(さすがだ。バセデ、この任務が終わったらまた二人で拷問大会だな。それにバセデが選別したんだ魔族だ。盗賊の倍ぐらい持ちこたえてくれそうだな)
(ええ、楽しみに待ってください)
そして三人の思念伝達が切れる。
「はあ、人使いが荒いリーダーだこと、おい聞けルシリア今から人間の国に行く」
「はい!?」
あまりにも急な話にルシリアは思わず聞き返した。
「分かったな、じゃあしっかり捕まっとけよ。あと舌噛むなよ」
しかし、イヴァイルはルシリアの話を聞かず驚いて動かなくなったルシリアを「ひょい」と持った。
「いや待って」
ルシリアの怯えたように抵抗するが、イヴァイルは聞く耳を持たず、勢いよく地面を蹴り上げ、音速をも超えそうな勢いで走った。
「きゃあああああ」
…ルシリアの悲鳴も無視した




