第十話 ルシリアときなこの関係
ある程度きなこによる案内が終わり五人はすっかりユニラセアを満喫した。ユニラセアは昔の日本似て木造の建築物が多く、さらには神社や寺、和食、和菓子などがあった。ルシリアは自分が育った懐かしい空間に思わず涙を流した。グレイノアもユニラセアが日本に似ているため、懐かしそうに目を細める。他のみんなは自分たちの知らない食べ物や建物に興味津々だ。
そして、国めぐりも終わり今日の宿はきなこの家になるらしい。きなこの家に言っている途中イヴァイルが誰も聞かなかったことを聞いた。
「なあお前ら二人はいつ知り合ったんだ?少なくとも今日が初めてってわけじゃないだろう?」
「ああそういえば言ってなかったでありんすね。わっちとルシリアは子供のころよく遊んだ友達なんでありんす」
きなこがイヴァイルの質問に大雑把に説明した。
「ほう?」
しかしきなこの質問では答えになって無いため、イヴァイルが続きを促し、ルシリアがより詳しく説明した。
「私がね孤児院に預けられてた頃、私が間違って獣人の国に迷い込んじゃってそれできなこちゃんの家にお世話になったの、それでお世話になってる間にきなこちゃんと友達になったんです
「え、でも森は決まったルートを辿らないとたどり着かないんですよね。どうやって入ったのですか?」
ルシリアの説明に疑問を感じたプラチナが更に質問する。
「それはいつの間に森を抜けていたから私でもわかりません」
ルシリアは少し申し訳なさそうにしながら首を横に振った。
「ルシリアの目は特殊で普通じゃ見えないものも見えるので、多分それで行き方がわかったのでしょう」
すると彼女の代わりにグレイノアが質問について答えた。
「え、気づいてたのですか。私の目について」
別に隠していたわけじゃないが、まだ話していないことを言われルシリアは驚いた。
「ああ、実は俺の目も普通じゃないんだ」
「そうなのですか。鑑定系とかですか?あ、でもそれなら目の色が独特な色になるはずですね」
ルシリアは思わず相手のスキルがなんなのか聞いたが、幽霊塔のときグレイノアが自分のスキルを言わないことを思い出し、一人で彼のスキルはなんなのか考え込み始めた。そして集団から遅れを取り始めたので、
「やめとけ、考えても無駄だ。俺も前から気になっているんだが全くわからなねえ」
と言ってイヴァイルが肩に手を置き彼女を止めた。
「あ、ごめんなさい」
肩に手を置かれルシリアは自分が遅れていることに気づきみんなに誤り、すこし、駆け足で集団に戻った。
⋯⋯⋯そしてしばらく雑談しながら歩いたあと
「ここでありんす」
きなこが家の前で足を止め振り返り言った。
その家は和風の屋敷であった。圧倒的な門、幾重にも美しく重なる瓦礫、漆喰の白壁
これを見たグレイノアは思わずここを日本だと勘違いしてしまいそうになった。
「おお、とてもきれいな豪邸ですね」
グレイノアは感嘆の声を漏らす
「見慣れねえ木造建築だが、グレイノアよりも大きく、壮大だな」
いつも城に住んでいるイヴァイルもその美しさに感心しているようだ。まあ、ちゃっかりとグレイノアの家を貶しているが、
「俺のと比べるの辞めてくれません」
グレイノアは抗議した
「いいじゃねえか。事実なんだし」
イヴァイルは時々言葉のナイフが鋭い時がある。
「ほんと、懐かしい家ですね」
二人が感動しているなか、ルシリアはそう言って懐かしそうに、嬉しそうに、目を細めた。そこにきなこと同じ狐の獣人の女性が出てきてみんなの前でお辞儀をしていった。
「聖女様、ようこそ私の家へ」
そして顔を上げてルシリアの顔を見て驚き固まり。
「え、もしかしてルシリアちゃん!?ルシリアちゃんよね。あなた!ルシリアちゃんが戻って来たわよ」
急にルシリアの近くにきて肩を掴んだあと、勢いよく後ろを向き叫んだ。
「なに本当か!」
彼女の声を聞きつけ豪華な装飾の服をきた獅子の獣人が物音を立てながら現れた。
「お久しぶりです。きなこの父様も母様も元気にしていましたか?」
彼女はそう言って二人の前できれいにお辞儀をした。
「おおルシリア、父さんは元気だぞ、お前の立派に育った姿を見れて、おれはおれはー」
そう言って獅子の獣人は大泣きし始めた。そしてあまりにも号泣するので
「もうお父さん泣きすぎ、それにルシリアは自分の娘じゃないでしょ」
と言ってきなこが少し恥ずかしい思いをしながら、獅子の獣人を窘めた。
「それにしてもどうして来たのまた私達の顔が見たくなった?」
まだ少し目に涙が残っていたが気を取り戻したきなこの母が聞いた
「それもありますけど、実は私、聖女になったんです」
ルシリアの言葉に国王は驚き、
「おおすごいじゃないか、おまえが聖女なんて」
と言ってしきりにルシリアを褒めたあと、突然彼は突拍子もないことをいい出した。
「よし今日はルシリアが聖女になって戻ってきたお祝いにお祭りだ!」
…国王の急な発言に一瞬国民は戸惑ったが、ルシリアがかえって来たと知ってすぐに場はお祭り騒ぎになった。ユニラセアの祭りはやはりこの世界では珍しいりんごアメや焼きそばなどが売ってあった。そして珍しい遊びとかもあり、これもまた心ゆくまで満喫した。
「…お前、どこにでも人望があるな」
祭りの熱も冷めて来た頃、イヴァイルがルシリアに問いかけた。
「ええ、でもまあ人間以外は獣人だけですけど、それでもいいものですよ頼られるのは」
ルシリアは微笑む。
「ほう、どのよなことが?」
イヴァイルは普段頼られるときは必ず裏があり、頼られることにあまりいい感じはしなかった。
「それはーー」
「急報!!」
ルシリアの視線3
これは祭りの中での話し
ルシリアは気に入ったくまさんのぬいぐるみを取ろうと奮発していた。そしてルシリアは三発目を外した。
「なかなかとれないですね」
すると射的に苦戦しているルシリアの元にバセデが話しかける。
「フォフォフォ、私がそのぬいぐるみを取ってあげましょうか?」
「ええ!?いいのですか!?」
バセデの提案に思わずルシリアは喜んだ。
「ええ、少しその銃を貸してくださいね」
そう言ってバセデは銃を手にとって一発でぬいぐるみの額にピンポイントで当てぬいぐるみを取ってみせた。
「はい、取れましたよ。大事にしてくださいね」
そう言ってバセデは撃ち落とした景品を手に取りルシリアにわたす。
「あっ、ありがとうございます」
景品を受け取ったルシリアは少し顔を赤く染める。そしてルシリアは大事そうにぬいぐるみを抱きしめる。その姿はあきらかに恋する乙女だった。
バセデはその姿を見て満足そうに立ち去って行った。
そしてこのあとガッツリ全貌を見ていたイヴァイルとグレイノアにニヤニヤされるのは定番であった。
余談、ちなみにプラチナはおみくじで大吉を当てグレイノアに自慢した。
「見てください。グレイノア様、大吉です」
「おお!すごいじゃないですか!プラチナはいつもいい子ですからね。当然の結果かもしれませんね」
そう言ってグレイノアはプラチナの頭を撫でる。
「えへへ///」
ルシリアは嬉しそうにグレイノアのなでなでに顔をほころばせた。
こっちもこっちで春はとっくに襲来しているようだ。




