「永遠」の「苦しみ」
取り調べ室にて
狭いコンクリート造りの部屋に椅子に拘束されているキンジとその様子を哀れそうに見つめる中目がいた。「知ってることを全部話せ」「………いやだね」部屋には異様な緊張感が走る。「お前がいたあの集団はなんだ?そしてお前らは何をする気だ?」「………23」「は?」「23クラブって知ってるか」「23クラブ?」キンジは不敵な笑みを浮かべながら自慢げに話す。「あのお方の再構築のために集結した秘密結社だよ!まだ知られてなかったか!」「その23クラブとはなんだ!そしてあのお方とはなんだ?」「23クラブはある人が作ったんだ………あの人はあのお方に心酔してる言わば狂信者さ!そしてあの人はこんな俺に声をかけて仲間に入れてくれた!」「………」「いいか!お前が知ってる以上にこの国はもう限界寸前なんだぜ!いいか!あと6ヶ月もすればあのお方は復活できる!お前らもこの国も!全部消えるんだよ!あひゃひゃひゃひゃ!!!!!」中目はキンジの様子に取り乱すことなく尋問を再開する。「じゃあ23クラブのアジト、もしくはメンバーを教えろ」「もう一人はお前も見てるよ」「なんだと?」「もう知ってんだろぉ………薄々わかってんだろ!あいつだよ!!!聖フィーリス女子学園の学長だよぉ!」「………!」「早くいかないと大変なことになるぜぇ!!!!!」そう叫ぶとキンジの身体が途端に緑色の炎に包まれ激しく燃え始めた。「おい!消火だ!」スプリンクラーと消火器を放ったがそれも間に合わずキンジは死亡した。「なんだ………23クラブとは!一体何なんだ!」
一方聖フィーリス女子学園ではライアとアテネと霞が学園長室内に忍び込み秘密の部屋へと侵入していた。その部屋には培養液が貯まったカプセル内に少女が入っていたのだった。「なにこれ………」「これは………」「実験かなにか………ですかね」するとそのカプセル内に大量の気泡が浮かび上がりガタガタと揺れ始めると大きな亀裂と共に一気に割れた。「なんかやばそうじゃね?」「ここは逃げましょう………!」中にいた少女はずるりと流れ込んでくると重たい身体をじっとりと動かし立ち上がった。「うわぁ………なんかきもいです………」少女はこちらを見ると急に襲い掛かってきた。ライアはギターケースで殴り飛ばすと霞は時間停止を使い逃走した。学園長室から出るとエレベーターで一気に下まで降りる。「ふー危なかった~!」安堵しているのも束の間、エレベーターの天井が大きく凹むと何発も殴りつけるような音が聞こえ小さく穴が空くとか細い腕がゆっくりと伸びる。「まだ来るか!」エレベーターは3階にまで下がる。天井から垂れている腕は力がなく生気もない。しかし途轍もない異常な感じがする。一階に着くと勢い良く飛び出し逃走する。ある程度距離を取って後ろを振り返ると少女がエレベーターから出ておりこちらに向かって覚束ない足で追いかけていた。少女は身体を震わせると身体が異常なまでに膨張し人間の身体からは逸脱した姿になり始めた。「なんだよあれ!!!」「いいから逃げますよ!!」「ひぃぃ!!!もう凄いことになってますよぉ!!」霞の言う通りで少女の姿はどこがどの部分とかいう次元ではなくなっていた。その姿は言葉では表せないほどだった。「んで………あれどうすんだよ」「どうもこうもないですよ!逃げましょうよ!」「ですが………あれはもうまずいですよ」確かにもう校舎から溢れ出し始めている。「………わかったよ」ライアは膨張し続ける異形を見つめるとギターケースからギターを出し演奏を始める。アテネも矢を出し霞は時間を停める準備をした。その異形は高く伸びこちらを無数の整合性のとれない目で見つめるとこちらめがけてズルズルと伸び始めた。校舎内だがやるしかない。ライアは迸る紫電で少女の身体を貫くとアテネは付けた傷に矢を放つ。少女は甲高い呻き声をあげると、身体をうねらせ後退する。霞は時間を停め少女に近づくと持っていた河豚毒を注入する。時間が再び動き始めると少女の身体は縦横無尽にのたうち回り次第に収縮を始めた。なぜこんなにも戦闘が上手くなったのか。それは3人が積極的に戦闘訓練を行い始めたからだ。理由は特にないが何かしなきゃいけない使命感に駆られて、解消するために戦闘訓練と能力の強化に勤しんだのだった。そのおかげか3人は少女を撃退することに成功した。少女は元の少女の身体に戻ると眠りについていた。ライアは少女が何やら危険な実験の材料にされていると考え一旦家に連れ帰ることにした。2時間後、学園長室に戻った学園長は少女がカプセル内から消えていることに気が付くと発狂し側近たちに捜索を命令した。監視カメラにも連れ去られた様子が映っておらず犯人もわからない。学園長は人生最大の焦りを感じ過呼吸になって倒れた。霞の学生寮に連れて帰った3人は少女に付いた培養液を拭き取ると服を着せて布団に寝かせた。アテネは能力で看病しライアは看病する必要はないと言った。霞はバレることを恐れて考え込んでいた。アテネの看病もあってか目を覚ますとアテネを抱きしめた。「大丈夫ですか?」「あ…あ…あぁ」「それでお前なんなんだよ」「わた………しは…わからない」「わかんない?」「わからない…わたしは…だれなの」その少女の見た目を見るにおおよそ10歳くらい。アテネは霞のパソコンで行方不明届を調べたがそのような情報はなくこの少女の事は何もわからなかった。一先ずは霞の部屋に預けることにした。「えぇ!私…バレたらやばいですよ!追い出されますよ!」「だーいじょーぶだよ!一旦はよろしくな」「えぇ…恐らく警察に届けてもまたあの学園長室に戻されるだけです。ですから安全な場所が見つかるまで一時的な保護です」「うぅ…どうして私ばかりぃ…」こうして正体不明の少女との奇妙な生活が開始した。したというよりさせられた。霞は相変わらず不憫な人間である。




