第三話:星九天玉とギルドと出会い⑵
Lunaさんと別れた後、星九は再び無制限2で立ち回りを練習していた。
「まずはクロスブレイドでスライディングしながらバックスラストかな?」
仮想の敵はミカさんやLunaさんと言った魔法職。
「ウォーリアは紅葉の木に少ないし……どうにかなるかな?」
実際のところ、紅葉の木は魔職が大半で接近職が僅かという状態だった。
それに加えて星九は体力多め、敏捷=力と言うタンク型であり、物理攻撃には滅法強く、ケラベノスも知能極振りウィザード以外に撃たれても1回は大丈夫だった。
ステータス画面を開き、レベルを眺める。
星九天玉:レベル50
HP:14万9000
(……これで大丈夫かな)
無制限2から拠点に戻ろうとした瞬間、背後からオーバースイングが飛んできた。
「っ……、グラディエータ!」
「ラッキー……ってオリか、今日はオリとばかり遭うなぁ。」
そうグラディエータは告げ、余裕綽々で星九を眺める。
「さぁ、オリ同士で戦うか!」
グラディエータは両手剣を構え、左右から星九を切りつける。
星九も左右から襲いかかる剣を回避し、反撃にバックスラストを放つ。
「……っ!痛い。」
グラディエータは膝を地に付け、再び立ち上がる。
「一体、どんだけ体力に振ってるんだ!」
グラディエータは両手剣を大きく振りかざし、前後に攻撃を仕掛ける。
しかし、星九のHPは僅かにしか減らない。
「あぁー、辞めだ辞め!」
グラディエータは不貞腐り地面に腰を下ろした。
「このまま続けても絶対勝てない、勝てない勝負はしない主義だからな。」
星九も腰を下ろし、話しかけた。
「一体どれくらい体力に振ってるんです?」
「あ、俺?力極振り。」
「なるほど……」
グラディエータの頭上には不思議の国とKと表示されていた。
「しかし、硬すぎだろ!」
「いや、普通ですよ!」
「次に会ったら絶対勝つから覚えておけ!」
「はい、こちらも負けませんよ。」
そして、Kさんは立ち上がり無制限2を後にする間際に「クルセイダーなら片手剣と片手剣の方が火力が出るぞ、タンク型なら片手剣二刀流でも戦える。」
そう言い、無制限2を去って行った。
「片手剣二刀流か… けど、盾がないと防御力が下がるしな。」
「うーん、どうするか…」
………………
…………
……
ギルドイベント当日。
ギルドメンバーは無制限2にいた。
「では、改めてルール説明をします!」
「レベル高い人は店売り武器と未装備状態で、レベル30未満の方は通常装備で大丈夫です。」
「はい、質問!」
「はい、シルティアさん。」
「スキルは普通に使っていいのよね?」
「はい、大丈夫です!」
「回復アイテムはどうしましょう?」
「HP、MPポーションありで大丈夫ですよ!」
「ほっ、じゃないと魔法職が死ぬ…」
「他に質問ある方!」
………………
…………
……
「では、第1試合、ミカさんとシルティアさんどうぞ!」
「実況は私、星九が行います。」
シルティアさんとミカさんが合図を送り、第1試合は幕を開けた。
ミカさんは相変わらず下級魔法からスタートをし、シルティアさんはヒールを自身にかける。
「あ、シルティアさんはアコライトだった。」
そして、ミカさんは上空から雷を身に纏いシルティアさんに接近する。シルティアさんはすかさずヒールを放つ。
………………
………
……
「降参!」
ミカさんが降参をした。
「まぁ、アレだけヒールしていたらね…」
それもそのはず……ミカさんが雷を身に纏い接近していたが、ヒール2.3回でHPが全回復していた。
それと同時にポーション使用可なので、星九以上のタンクになっていた。
「シルティアさんが硬すぎやわ……」
「そうですね。」
ミカさんと星九は頭を悩ませた。
「じゃあ、僕がシルティアさんとやってみます。」
そう名乗り上げたのはフェンリルさん。
「大丈夫?」
「……多分?」
フェンリルさんはそう告げ、シルティアさんに向き合う。
「では、よーい」
「ドン!」
フェンリルさんはいきなり空中に魔法陣を発現し、光を発射した。
シルティアさんはヒールをしていたが、間に合わず地に倒れた。
「試合終了!」
「今のは?」
「あぁ、エレメンタラーの奥義、フィアスレイやね!」
そうミカさんが解説する。
「フェンリルさん…もしかして知能極振りです?」
「それは秘密で。」
その後、フェンリルさんがメンバーさんにフィアスレイを放ち、勝ち抜いていた。
………………
…………
……
「次、マスターとフェンリルさん!」
「実況は変わり、シルティアが行います。」
「では、フェンリルさん、よろしくお願いします。」
「よーい」
「ドン!」
試合開始の合図と同時に星九はスライディングしながらフェンリルさんの元に行く。
フェンリルさんは出鼻をくじかれ、下級魔法を放ちながら、後ろに下がり始めた。
「実際、どっちが強いのでしょうか?」
「うーん、どっちなんやろね!」
「知能極振り?対防御力極振り?だからね。」
「そう言えば、マスターはHP15万近くあるみたいやわ…」
「あ、ギルチャで言ってたね!」
星九は接近しながらバックスラストを放つが、フェンリルさんは距離を取る。
(遠距離だから当たらない…なら。)
フェンリルさんの足が止まった。
恐らく、フィアスフレイの準備。
「接近するならチャンスだが……どうするんやろ?」
「クロスブレイド!」
「遠距離のスキルですね……あっ、マスターが接近し始めた。」
「そりゃあ…ファイスフレイに当たったらHP消し飛ぶんやない?」
星九は発動前に終わらせよう……そう思った瞬間、上空に魔法陣が五箇所展開され、魔法陣から光が星九を目掛け発射される。
星九は魔法陣から発射された光に被弾し、フェンリルさんはクロスブレイドに被弾し、両者がダウンした。
「試合終了!」
「両者ダウン。これってどうなるんやろ?」
「取りあえず、リザレクション!」
シルティアさんが両者にリザレクションを掛け、復活させた。
………………
…………
……
「優勝はフェンリルさんおめでとうございます!」
ギルドメンバーが見守る中、フェンリルさんに賞品が渡された。
「はい、アストラ武器とMPポーションになります!」
アストラ武器とはレベル60以降に使う武器であり、店売りより遥かに強い性能を持っていた。
「しかし、シルティアさんを倒したのが大きいね……」
「ずっとヒールしていたし。」
ミカさんがそう言った。
「うーん、ちょっと失礼。」
シルティアさんにスキルを星九が放つが……ヒール1回で全回復。
「うん、無理!」
第1回ギルドイベントは無事?に閉幕した。
………………
…………
……
「塔?」
つい先日、Lunaさんと話した時に話題に上がった塔をギルドチャットで話してみた。
「何でも大規模PvPらしいですよ!」
「PvPか……じゃあ、私はパスで」
シルティアさんはそう言い、ギルドチャットから姿を消した。
「ミカさんとフェンリルさんはどうします?」
「うーん、僕は大丈夫だけど…… ミカさんは?」
「アタシ?アタシは行くわ!」
「けど、何処で受付するのかな?」
「拠点やない?」
「ちょっと探してきます!」
星九もギルドチャットから離れ、塔の受付を探しに行った。
………………
…………
……
拠点でブラブラしているとLunaさんと出会った。
「あ、Lunaさん、こんにちは!」
「あ……この前のオリ!こんにちは。」
「Lunaさん、塔のエントリーって何処で出来るか分かります?」
「紅葉の木も塔に出るの?」
「はい、エントリーの場所が分からないので探し中ですが…」
「左奥にある建物よ、あそこに日曜日の二十時半から二十時五十分の間にエントリー出来るから!」
「Lunaさん、ありがとう。」
「いえいえ、じゃあねー。」
………………
…………
……
「さてと、ギルドチャットで報告っと……アレ?」
拠点の広場でスキルを披露している一人のプレイヤーがいた。
不思議の国ギルドのKさんだ。
奥には青い服の女性プレイヤーが座っていて、左右には頑強なら男性プレイヤーが二人立っていた。
(なんか……どっかで見た事あるな?)
星九は女性プレイヤーの名前を見て考え込んだ。
不思議の国 Alice……
(あ、紅葉の木の設立時に勧誘した人だ!)
星九はギルド設立時に色んな人に声を掛け、尽く、失敗に終わった。
(へぇ〜……今はギルドマスターさんになってるのか…)
「よう、星九!」
声をかけて来た人物を見るとKさんだった。
「Kさん、こんにちは!」
「時間あるか?」
「ありますよ!」
「じゃあ、無制限2で待ってるぜ!」
Kさんはそう言い、拠点を後にした。
………………
…………
……
「来ましたよ!」
星九は目の前にいるKさんに声を掛けた。
「よし、パーティに入れるか?」
「はい、入ります!」
Kさんが作ったパーティに入ると星九の頭上とKさんの頭上にHPバーが表示された。
「これで互いの残りHPが分かるな!」
「そうですね、では、戦います?」
「おう、よーい」
「ドン!」
Kさんはグラディエーターではなく、クルセイダーになっていた。
事前知識と違い戸惑ったもののステータスは相変わらず力極振りだった。
武器は片手剣二刀流で星九天玉にマネ出来る物ならマネして見ろ!と言わんばかりの動きをして見せた。
星九も多少経験を積んだからなんとか着いて行けたが、結局はステータスが物を言い……敗北した。
………………
…………
……
「いや、痛かったです。」
「こっちも残りHPは僅かだから座るわ!」
Kさんは腰を下ろし、HPを回復していた。
「ところでステータスは相変わらず同じか?」
「はい、防御力多めの力=敏捷ですね。」
「ならステータスについて説明するから良く聞け。」
「はい!」
「力は攻撃力、防御力はHPと物理防御、知能は魔法攻撃、精神は魔法防御、敏捷は回避とクリティカル率が上がる。」
「そうですね。」
星九はステータスを眺め、確認した。
「次にタンク型……まぁ、タンクはこのゲームではあまり意味ないけど。」
「そうなんです?」
「うん、今のところウォーリアは攻撃型しかいないぜ。」
「なるほど。」
「まぁ、タンクにしたいなら理想は敏捷と防御だな。」
「回避しながら物理防御に頼る感じです?」
「おう、力は要らないとは言えないが、武器でどうにかなるし。」
「なるほど。」
「とまぁ、そう言う訳だ。」
Kさんは立ち上がり、光に包まれ始めた。
「ありがとうございます!」
「おう、またやろうぜ!」
そう言い、拠点に帰還した。
………………
…………
……
「そう言えば、塔なのですが……」
星九はLunaさんから聞いた情報をギルドチャットで話した。
「その時間はちょっと厳しいかな……」
「ミカさんは来れたら参加と。」
「僕は大丈夫ですよ〜」
「フェンリルさん、ありがとうございます!」
「他の方はどう何でしょう……参加したい方はいます?」
ギルドチャットで尋ねてもレベルが足りない、PvPは嫌なのでと返って来た。
「まぁ、このメンバーで行きますか!」
「「はい!」」
そして、日曜日の二十時半
「ミカさん遅いね……」
「ですね、待ってみましょう。」
「うんうん……って来た!」
ミカさんが待ち合わせ場所に姿を現した。
「いやー、スマン、遅れたわ!」
「大丈夫ですよ!」
「では、塔に入りましょうか!」
三人は受付を終え、塔に入った。
………………
…………
……
「人が多いですね!」
辺り一面、人だらけで少なくとも五十以上のプレイヤーがいた。
開始場所は塔の入り口前にある吊り橋に待機していた。
流石に人が多く、ギルドチャットで話す事にした。
「いや、五十人はいるやろ。」
「いや、もっとかも……」
「どっちにしても頑張りましょう!」
「「おう!」」
「あ、塔に行ってるの?」
シルティアさんがギルドチャットに浮上した。
「うんうん、良かったら来ませんか?」
「良いよ〜、やる事ないし。」
「では、お願いします!」
………………
…………
……
シルティアさんが入り、四人での挑戦になった。
「うわぁ、本当に人がいっぱい……」
「ですよね……」
「マスター、そろそろ始まるみたいやで!」
「皆さん、頑張りましょう!」
二十一時になると同時にプレイヤーは塔の入り口を目掛けて一斉に飛び出した。
「痛い……」「どけっ!」などと悲鳴が上がり、プレイヤーは塔の扉前に集まった。
扉は頑なに開く様子はなく、魔法使いが次々に扉に魔法を放つ中……
「ケラベノス!」
ミカさんが雷を身に纏い移動すると扉前に集まったプレイヤーは大半消し飛んだと同時に扉が開いた。
扉を抜けると左右に階段がある豪華な部屋に辿り着き、階段上でプレイヤー同士が戦っていた。
そこに見慣れた名前が見え、星九は見慣れた名前のプレイヤーに近づいた。
「Kさん!」
「よう、戦うか?」
「もちろん、そのために来ましたし……」
「では、行くぞ。」
Kさんはグラディエーターになっていた。
近づいて来るプレイヤーを斬りかかり、星九に近づいて来る。
星九はバックスラストで周囲のプレイヤーを巻き込みながらKさんに近づく。
両者の周囲にプレイヤーがいなくなり、二人の戦いを邪魔する者はなく、二人の戦いは始まった。
「クロスブレイド!」
「なんの……オーバースイング!」
「横側から失礼、バックスラスト。」
バックスラストをKさんの側面に放つ、それに対抗してカタクラフトで接近して来た。
………………
…………
……
「フェンリルさん、シルティアさん、奥に行こう!」
「そうだね!」
「分かった。」
星九がKさんと戦い始めたのを見て、三人は奥に進ま始めた。
部屋を抜けると内部は薄暗くなり、巨大なパイプが足元に現れた。
三人はパイプから降り、奥を目指して行くと二十人くらいの人が固まっていた。
「「ケラベノス!」」
ウィザード二人が雷を身に纏い、移動するだけで大半が消し飛び、土煙を上げる。
「さぁ、奥に……」
そう言った瞬間、上空から魔法陣が五箇所に発現し、光が三人を襲った。
「あら、フィアスレイを耐えるとはね…」
土煙の向こうから一人の女性プレイヤーが姿を見せた。
$urvivorsギルド Lunaと……
「どうやら、紅葉の木と縁があるみたい。」
ミカさんとフェンリルさんはシルティアさんにヒールをして貰い戦い始めた。
………………
…………
……
「おっと……悪い呼び出しだ。」
そう言いKさんは両手剣を仕舞い、階段を駆け上がって行った。
「……許されるとでも?」
星九は片手剣を両手に装備して、戦闘続行の意志を見せたが、Kさんは地面を両手剣で叩き込んだ。
土煙が一面に広がり、視界がボヤけ星九は両手に構えた片手剣を仕舞った。
視界が徐々にクリアになり、Kさんはその部屋を既に後にしたしていた。
(今さっきのスキルは何だったんだろう……)
星九は見た事のないスキルを疑問に階段を駆け上がった。
そのまま次のフロアに進むとミカさん、フェンリルさん、シルティアさんがLunaさんと対峙していた。
「アコライトが邪魔ね…」とLunaさんが呟き、攻撃対象をシルティアさんに向けた。
しかし、マジシャン二人を放置して戦えるはずもなく、劣勢なのは目に見えている。
「そろそろ引き際かな……」
Lunaさんは上にいた星九と目が合い、その場を後にした。
「皆さん、無事ですか?」
「無事ではあるけど、疲れたわ……」
「僕も……」
「MPポーションが尽きたよ……」
そう言い、星九はミカさん達と合流した。
「この先が最深部みたいですね。」
合流後、奥に続く道を四人は眺めた。
「では、行きましょうか!」
………………
…………
……
最深部には中央に丸いクリスタルが浮いており、その周囲にプレイヤー同士で戦っていた。
「フィアスレイ!」「オーバースイング!」など様々なスキルがプレイヤーにより発動していた。
「近付きにくいですね……」
「いや、ホンマに。」
「けど、あそこまで行かなあかんやろ…」
そうミカさんはクリスタルを指さした。
「多分やけど、クリスタルを壊せばいいんじゃない?」
「……さぁ、マスター出番やで!」
「まぁ、物理ならある程度大丈夫ですが……」
そう言い終わるとシルティアさんが無言でヒールをかけ始めた。
「分かりました……行ってきます!」
星九はクリスタルを目掛けて人混みの中に入って行った。
人混みの中は様々なスキルで死屍累々となっており、近づくだけで他のプレイヤーの攻撃を受けてる。
ローグが上空からクリスタルに近付く者を攻撃したり、ウィザードが雷を身に纏いクリスタルに近付いたりしてる中、星九は一歩一歩と前に歩み始めた。
「クロスブレイド!」
スキルを発動し、なるべく手薄なところからクリスタルを攻撃する。
「バックスラスト!」
しかし、クリスタルは壊れる気配がない。
星九に気付いた他のプレイヤーが星九を目掛けて攻撃し、星九は地に伏せた。
………………
…………
……
第一回目の塔はセカンドインパクトギルドが塔を制覇し、幕を閉じた。
「セカインが制覇か……」
「セカイン?」
「セカンドインパクトを略してセカインと言うんよ!」
「まぁ、今日はお疲れ様でした!」
「そうやな!」
「疲れた……今日はもう落ちるね。」
「シルティアさん、お疲れ様!」
「じゃあ、解散しましょうか。」




