第2章『目的』②
裏世界の世界的犯罪グループ。
僕たちは「ロット」と呼ばれている。
何もない、ただの寄せ集め。
詐欺、違法薬物、賭博——なんでもやるよ。
実験もやるんだ。
その辺にいる『サンプル』を使ってね。
でも、僕たちは捕まらない。
需要があるんだ。
世界中の金持ち、お偉いさんたちに重宝されている。
要するに、彼らと僕らはビジネスパートナーってわけ。
あるとき、お金持ちに聞かれたんだ。
「不老不死になりたいが、どうすればいい?」ってね。
ありきたりな話だ。
なれるわけないのにね。
でも、そいつは僕たちのお得意様。
邪険にはできない。
だから僕らは、『それ』っぽい何かを作ることにした。
そいつに満足してもらうためにね。
だって、パフォーマンスは大事だろう?
どうせ依頼主は寿命で死ぬ。
それまで適当に実験でもしてればいい——そう思っていた。
でも、ある日。
できちゃたんだよね。
『それ』が。
『それ』が誕生したのは、なんとレイちゃんのお母さんの研究室!
レイちゃんのお母さんは度胸もあって、頭もとてもいい人だった。
『それ』を見たとき、胸を打たれたよ。
すごいなって。
僕はね、『それ』がどうしても欲しくてね。
だから、レイちゃんのお母さんにお願いしたんだ。
「ちょーだい」ってね。
……でも、断られちゃってさ。
だから——奪った。
『それ』——『変異革命遺伝子』をね。
この遺伝子はすごく面白くてね。
遺伝子そのものが“若い状態”に書き換わったり、
見た目はそのままで筋肉だけが異常に発達したり、
脳の伝達速度が跳ね上がったり——あらゆる変化に対応できる遺伝子なんだ。
でも、ここでひとつ欠点があってね。
この遺伝子単体じゃあ、何もできないんだ。
暴れてなーんにも言うこと聞かないんだ。
無理やり入れても、入れたやつは大体壊れちゃう。
それか人じゃないものになって、死んじゃうね。
それでも、奪った理由?
……研究レポートを見た時は、驚いたよ。
いたのさ。
——『それ』を使っても、壊れて死なない子が。
その子の血液には、普通の人間には存在しない受容体があってね。
変異遺伝子が暴れるのをピタッと止められるんだ。
まるで、“正しい号令”のように受け入れ、制御するためかのように。
だから、僕らはその子がほしいのだ——
レイちゃん、君がね。
被り物の“やつ”は、深く息を吐いた。
荒ぶる心を押し殺すように。
今すぐ迎えに行きたい。
でも、それはできない。
ここにいる全員との『約束』があるからね。
——見つけた次第、必ず皆に報告して、独り占めしないこと。
これが、手を組むときの条件だからね。
(それに、一人で舞台に上がっても意味がない)
男が手を叩き、皆を注目させる。
——パンパンっ!
「ねぇねぇ!僕からみんなに提案があるんだけど」
男は愉快そうに笑った。




