え、これから何が起きるの⁉︎(後編)
申し訳ありませんでした。
テレジアさんが深く首を垂れ、それにならって侍女さん達もいっせいに頭を下げる。
この城では使用人である私よりも上級侍女である彼女達のほうが立場は上だ。
敬称だって半ば脅迫……失礼、強くお願いされてさん付けに落ち着いたくらいだもの。
それがなんでそろって頭を下げているのかと、目を丸くする。
「いや、困ります! 皆さんに頭を下げさせたと知られたらアレク様に怒られますよ!」
するとテレジアさん達が顔を見合わせてため息をついた。
「相変わらず部下としての態度を取られるのですね……アレク様が慎重なのも困ったものですわ」
「それは、どういう意味ですか?」
「これ以上はアレク様が話しをされるでしょうから、私からは言えません。ですが少しだけお伝えしたいことがありますので、はなしを聞いていただけますか?」
「もちろん聞きますよ?」
「アレク様の態度に一貫性がなくて、とまどわれることがありますでしょう? 強引なのかと思うと、肝心なところで引いてしまう。まるで本人が思い切って踏み込みたいのに、どうしても見えない壁があって踏み込めないかのような思い切りの悪さを感じさせることはありませんか?」
私の無言は肯定でもある。
話の先を促すと、テレジアさんは指示を出しながら私の隣に膝をついて手を握った。
先ほどから使用人に対する扱いが丁寧なうえに、ずいぶんと腰が低いと思うのは気のせいだろうか?
「アレク様は生まれたときから人の上に立つことを定められた方でした。大人に囲まれていたせいか、幼いころから大人びていて、わがままなど滅多に言うこともありません。聡明で、そのうえ精霊師の資質までお持ちになられて、早い時期から次期当主として多大な期待を寄せられていました。ご本人も期待に応えて、努力を重ねて人の上へと立つにふさわしい方へとご成長されました。臣下としては誇らしく喜ばしいかぎり、ですがそのせいで心配もあったのです」
「心配ですか?」
「アレク様があまりにも人の上に立つにふさわしく成長されたせいで、逆に並び立つ方がいなくなってしまったのです」
美しい容姿、明晰な頭脳に磨き抜いた肉体と剣技。
それだけでも十分すごいのに地位は次期辺境伯、数少ない金精霊師でもある。
地位、名誉そして才能と容姿に、性格だって捻くれているけれど悪くはない。
そんな彼を誰もが人の上に立つことを認めるけれど、いざ自分が彼の隣に並ぶと劣等感に苛まれてしまう。
彼を慕う部下や領民はたくさんいるというのに、心を許せる友人が少ないのはそのためだ。
そして相手が女性であれば、より現実は残酷だった。
理想の権化のようなアレク様への羨望と独占欲は、いつしか女性達の心を狂わせるようになった。
「媚薬だけでなく毒を盛られたこともありましたし、女性達が差し向けた刺客に命を狙われたこともありました」
「自分のものにならないなら、ということでしょうか? それはまた、愛され体質も過ぎると恐ろしいものですね」
かわいさ余って憎さが倍増ということですね、怖すぎる。
しかも彼女達の剥いた牙が、無関係の女性に向くこともあったらしい。
ただアレク様と話したというだけで誹謗中傷合戦に、いじめや掴み合いの喧嘩まで⁉︎
えっ、貴族のお嬢様って淑やかで繊細なのではないの⁉︎
こんなことが繰り返されるうちに、いつしかアレク様に女性に対する不信感が芽生えてしまったらしい。
そう聞かされて、私や周囲に対するアレク様の態度になんとなく納得した。
アレク様が社交シーズンであろうと辺境伯領から出ないのは女性との不用意な接触を避けるためなのだろう。
そして王子様の仮面は女性達につけ込まれる隙を見せないためのもの。
苦労したのだな、ということは理解した。
「でも噂では婚約話が進んでいると聞いていますし、これからは大丈夫ではないですか?」
その瞬間、テレジアさんだけでなく侍女軍団が揃って固まった。
聞き捨てならないことを耳にしたような、そんな顔だ。
「その噂は誰から聞いたのですか?」
「下働きの女性達からです。いっしょに洗濯したり、野菜の皮むきの手伝いをしていたら教えてくれました!」
「あなたはそんなところにも出入りしていたのですか⁉︎」
「はい、もとが平民ですから問題はないかなと。白の精霊術で容姿を変える術式を編みましたから、その実験でもあります。完成したら結婚祝いとして装飾品に仕立ててアレク様と奥様に贈る予定なので、お二人にはナイショにしてくださいね」
ほんの少し痛む胸を抑えて、にこりと微笑む。
この術式は髪と瞳の色を変えて、体内に満ちる力の増幅を一時的に抑える効果がある。
制限時間はあるものの、これがあれば目立つアレク様でも奥様と辺境伯領内を気軽に散策できるだろう。
本当はアレク様が身分を気にせず自由に出歩けるようにと編み出したものだけれど、結婚祝いならちょうどいい。
人の恋を邪魔するような存在にはなりたくないの。
ここまでくるともはや意地よね。
ところがテレジアさんは侍女さん達と顔を見合わせたあとに、それはもう深々とため息をついた。
え、なにその困った子みたいな反応は?
「まさかそんなところから情報を得ていたなんて……おかしいと思っておりましたわ」
「えっ、情報に何か問題があるってことですか?」
テレジアさんは自分の作業の手を止めて私と目を合わせた。
侍女さん達は私をソファに座らせてなぜかマッサージを始めた。
おお、これは気持ちいい!
「はっきり言いましょう。その情報は古いうえに中途半端なのです」
「は、はい? あれ、でも王女様が婚約者候補だったのは間違いないですよね?」
「たしかに王家から王女殿下との婚姻を打診されたこともございましたが、結局なかったことになっています」
「え、どどうしてですか? 少なくとも身分はアレク様に勝っていますよ?」
「王女殿下曰く、ご自分よりも美しいのがどうにも許せないとのことでした」
「ああ、それは……」
残念ながら年頃の女性としては非常に共感できるものがありますね。
アレク様はどちらかというと中性的な美しさを備えた人だ。
もし鬘をかぶり、化粧をしたら……控えめに評価しても絶世の美女だった。
鍛え上げられたしなやかな筋肉は太さが目立たないからドレスも余裕で似合いそうだ。
周囲の人々に比較されて、旦那が自分より綺麗とか言われたら女性としてはたしかに心折れるな……。
というわけで、どうやらハンナの知らないうちに噂の王女殿下は奥様候補から消えていたらしい。
では、もう一人噂になっていた侯爵令嬢様が奥様となるのか。
貴族らしい華やかな美しさを持ち、社交界では女神のようと讃えられ、求婚者が後を絶たないと聞いている。
さらに財力も備えた歴史ある家柄の出身と文句のつけようがなかった。
彼女に決まりだろうな……嫉妬深いとは聞いているけれど、それだって愛あればこそだ。
辺境伯領ならば社交界とは縁遠いし、中央から離れた場所で穏やかに愛を育んでいかれるだろう。
胸の奥を、黒い何かが侵食する。
じわりとした痛みを与えて、抑えつけても指の間をすり抜けるようにもがく何か。
……この話の続きはもういいかな?
「アレク様の婚活事情は何となくわかりました。お話がそれだけならば、それ以上の情報は不要です」
「本当に……! ほんっとうに、ご理解いただけましたか?」
なぜかテレジアさんに心の底から疑われている。
いやもう、完璧に理解しましたよ!
今この部屋で繰り広げられている理解不能な光景は、きっとその高貴な方へ顔見せをするために違いない。
それが今日か……取り乱すことのないよう心の準備は必要だな、うん。
ああ、侍女さんの手が丹念に磨き上げるように施すマッサージが最高です!
「わかっていますよ! もうひとりの候補である侯爵家の御令嬢が奥様になられるのでしょう」
「どうしてそうなる……違います。さすがアレク様を容赦なく蹴散らす……いえ、何でもありませんわ」
え、違うの!
そしてなんだろう、今の微妙な間は。
「奥様になられるのは侯爵家の御令嬢でもありません。あの方は候補からとっくに消えています」
「え、そうなのですか⁉︎」
「当然ですよ! だって侯爵家の御令嬢はアレク様を婿に望まれたのですから!」
「……は⁉︎」
冗談ですよね?
絶句した私にテレジアさんは首を振った。
そこから勢いよく振り向いて目の合った侍女さん達に目線で訴えたけれど彼女達も首を振る。
なるほど、正真正銘本当にあった出来事のようです。
アレク様は辺境伯領唯一の跡取り、嫁をもらうことはあっても婿に行くことはあり得ない。
それでも望んだということは?
「……馬鹿ですか?」
「はい、それも超弩級の馬鹿でした」
当時の出来事を思い出したのか、侍女長さん目が獲物を射る狩人のように眇められる。
さすが生粋の戦闘民族である、辺境伯領民。
この視線だけで深窓の御令嬢は間違いなく息の根を止められるだろう。
「私は平民ですが、今後のこともあるからとアレク様に貴族の家名やら歴史やら家系図やらを一般常識として叩き込まれましたよ? その侯爵家のお嬢様に私程度でも知識があれば少なくとも婿に選ぶことはないのではないですか?」
記憶をたどれば、件の侯爵家にはお嬢様と生まれたばかりの次女しかいなかった。
跡取りに女性しかいない場合は、女性が当主となり婿を取るはず。
順当にいくと長女が婿を取って継ぐはずだが、次女が直系なのであれば姉が辺境伯領に嫁ぎ、ゆくゆくは妹に婿を迎えて家を継ぐということもできないことはない。
少なくとも、一人息子を婿にと要求するほどの無理難題ではないはずだ。
すると侍女長さんは、わからないくらいほんの少しだけ皮肉げに唇の端を歪めた。
「社交界で女王のように君臨されていましたから、その地位を手離したくなかったのでしょう。有能なアレク様が婿入りすれば侯爵家の仕事は丸投げできますし、家は安泰。一年中王都で遊んで暮らせると考えたらしいですわ」
「それは浅はかというべきか……やっぱり侯爵家の御令嬢にしてはちょっと考えが足りないのでは?」
「はい。アレク様の指示で調べたところ、本当にお勉強が得意ではなかったようです。やりたくないからと勉学やマナーのレッスンは適当で、テストはよく似た替え玉を使って学院を卒業されたということが私たちの調査で発覚しました。つまり、お金と美貌と家柄はあっても能力と努力が全く足りていなかったのです。しかも、それだけでなく田舎の辺境伯家よりも、侯爵家のほうが継ぐ価値があるとまでぬかされましてね。アレク様曰くご両親は良識のある方で、こんなことをするわけがないと調べてみればご両親がご不在のあいだにお嬢様の独断で起こしたようです。替え玉の件やアレク様への態度で改善の見込みはないと辺境伯家の全力でお嬢様を潰し……お断りさせていただきました」
テレジアさん、ところどころで言葉遣いが乱れていますが心中はお察しします。
侯爵家の御令嬢はアレク様をお金で買える一級の装飾品のように扱ったわけね。
そして辺境伯家の怒りを買った、と。
まあ当然でしょうね。
ちなみに侯爵家は長女への教育を誤ったことを深く謝罪し、お嬢様は戒律の厳しい修道院へ送られたという。
侯爵家は使用人や教師を入れ替えて当時はまだ幼かった次女の教育に全力を尽くしているそうだ。
それもあって現在は当たり障りのない関係を築いているとのことだった。
王女様のときも、そのあとの侯爵家の御令嬢のときもアレク様に責任があるかのような悪い噂が流れないよう城外に漏らすことをきつく禁じたらしい。ただ城内に限っていえば、使用人達は表立って話さないものの、噂の類は密かな楽しみのネタとして残っている。
こっそりと使用人に混じることの多かった私は、それを中途半端に聞いていたのか。
「では身分が低くお金はなくとも良識ある堅実なお嬢様なら大丈夫ではないでしょうか?」
なんで自分以外の女性とのお見合い進めているんだよ、私!
ただあまりにもアレク様が不憫で思わず口から出てしまった。
微妙な表情を浮かべたテレジアさんは、それはもう深々と息を吐いて首を振った。
「ここまでくると誰しもがそう思いますよね? 当然、私達もそう考えて今度は淑やかな頭の良いお嬢様方を行儀見習いを兼ねて複数名引き受けることにしました」
身分と容姿ではなく、成績と品行を物差しに選んだということか。
しかも数を揃えて、誰か一人でも残ればいいかなと。
それなら、なんとなくうまくいきそうな気がするのだけれど……なのにどうしてアレク様はいまだに独り身なのでしょうね?
「皆様、勉学に秀で性格は優しい方ばかりを選びました。誰もが品行方正で穏やかな淑女でしたが、裏を返すと戦場には向かない繊細な女性ばかりだったようです。行儀見習いが終了するころには、実家に帰って親の決めた方と結婚されたり、王城に勤める文官との婚約が整っておられました。つまり、見事に全員が辺境伯領とは無縁の嫁ぎ先を望まれたということです」
最終日、お嬢様方は皆晴れやかな顔で卒業されていかれたという。
一周まわって、ここでの出来事は大人への通過儀礼だと思うことにしたわけね。
たしかに国境で他国との小競り合いがあるたびに城内には殺伐とした雰囲気が漂う。
誰もが殺気だっているから、繊細なお嬢様方にとっては心休まる暇のない過酷な労働環境であったことだろう。
そのせいでアレク様の魅力ですら霞んでしまったということかな?
翼人の国では結界越しでも害獣が襲ってくることもあったし、場内の殺伐とした空気だって戦場の最前線で浴びるそれと比べたらさほどでもない。
でも、どうしても慣れなかった。
やはり辺境伯領の男性に未婚率が高いのは、そもそも女性が少ないという環境のせいだろうか?
お嬢様方が卒業されるまえに求婚者が殺到したというから、あながち間違いというわけではないだろう。
ちなみにお嬢様方は皆、有能な侍女や優秀な奥様として今も活躍しているということで、彼女達のようになりたいと憧れる貴族のお嬢様によって辺境伯領の侍女枠は競争率が高いらしい。
今テレジアさんを手伝っている侍女さん達は皆、その熾烈な競争を勝ち抜いた猛者ということ。
その猛者と、猛者を率いる司令塔であるテレジアさん。
そんな彼女達の熱い視線が一斉に私へ向いた。
「ですが今ならわかります。王女様や侯爵家の御令嬢、そのほかのお嬢様方には何よりも決定的な要素が足りなかったのです」
「それはどんな要素ですか?」
「金の獅子の心をとらえることですわ」
テレジアさんが胸に手を当てる。
彼女の示唆した先にあるのは、たぶんアレク様の心。
密やかに私が望んで、身の程知らずと諦めたものだ。
「アレク様に伴われて城へと到着したハンナさんを見て、誰もが言葉を失いました。質素な服を身につけているのも関わらず、輝くばかりの美しさです。この辺境の地にアレク様と並び立てる素養を持つ女性がいたのか、と驚きましたわ」
彼女達が知る美しさと気品は時間と資金を投じて磨かれるものだった。
素養を受け継ぐ貴族同士の婚姻と、常日頃からのたゆまぬ努力、そして惜しみなく注ぎ込む資金から生み出される。
もちろん平民であろうと生まれもって美しいと賞賛される女性もいた。
だが、それらの美しさや気品とは全く別次元のものをハンナから感じ取ったのだという。
「それは畏敬の念を抱かせる気高さです。高位貴族が持つものと似ていますが、本質は全く違います」
神聖、とでも呼ぶべきか。
王族のように威厳で膝をつかせ従わせるものではなく、静かに首を垂れて畏れ敬うべきと思わせるもの。
女性不信であったアレク様がハンナに対してだけ心を開くさまを見て、城内が騒然となったそうだ。
それほどに、ハンナの次元の違う美しさと気品は城の人間にとって衝撃的だった。
「世の中には身分や教養すら霞ませてしまうような、類まれなる資質を持つ方がいるのかと驚きましたわ」
「それはいくらなんでも評価を盛りすぎではないでしょうか?」
「いいえ、これでも過小評価でした。そのうえ含有量が白であることが判明したのですから。ハンナさんこそ、ワルシャリア王国を守るために戦う辺境伯領への太古の神々からの贈り物としか思えません」
「……」
「だから、逃してはならないと思ってしまったのです。アレク様のためにも、この領のためにも、ハンナさんを失うわけにはいかない。そう気負った私たちは、揺れるハンナさんの気持ちも顧みずに、ただアレク様にふさわしくあれと望み、さらに上を目指してほしいと追い立てた。そのことが余計にハンナさんを追い詰める結果になると知りながら、それを気がつかないふりをしてしまったのです。ですからあなたが逃げ出した原因の一端は私達にもありました。侍女一同、重ねてお詫び申し上げます」
いや、ですからその高い評価は誰のものですか?
まるで別人のものを聞かされているような気がする。
翼人の国では地味だとか醜いと言われたことはあっても、美しいなど欠片も言われたことはなかった。
そのうえ役立たずだからと罪を負わされて国外追放になったのだ。
国が変わったというだけで、天地ほど評価が変わるものなのだろうか?
と、そこまで考えたところでハタと立ち止まる。
あれ、奥様候補が全員いなくなったような?
ではあの城内に満ちあふれていた奥様大歓迎な空気は一体何だったのか。
「まだ信じていただけませんか?」
「……」
「アレク様が本気になれば、どのような相手でも障壁をなぎ倒して確実に手に入れたでしょう。たとえ件の王女様でも、その他のお嬢様であったとしても、あの方が望むのならば、着実に外堀を埋めて、うなずかなくてはならないような状況に追い込むくらい容易いことなのです。それだけの能力と実績を兼ね備えた方ですから。でもそのアレク様が他の方には本気にならなかった、それが明確な答えだと思うのです」
「そうなのでしょうか?」
「私共から見ても歯がゆく思えるアレク様の態度は、あの方なりに深く悩まれた結果なのだそうです。ですが脅かしておきましたから、今度こそ正直な気持ちを話してくださると思います」
「あのアレク様を脅かしたのですか⁉︎」
「はい、先ほども申し上げましたとおりアレク様ご自身があらゆる障壁を薙ぎ倒してようやく形になりましたから。今なら言えなかった言葉も声になると思いますよ? これでももったいぶる気なら、城内一丸となってアレク様を追い立ててやりますわ! どうかお任せください!」
アレク様は、私との距離を測りかねている。
彼女は侍女長として、それをずっと気にしてきたのだろう。
テレジアさんはほんの少しだけ表情を和らげた。
そしてわずかに涙を浮かべながら、私の手をもう一度握りしめる。
「最後に、一つだけ言わせてください。辺境伯領を、アレク様を守っていただいてありがとうございます。ハンナさんがこの辺境伯領に舞い降りたことに心からの感謝を捧げますわ。そしてこんなことを私から申し上げるのはおこがましいですが、これからもアレク様をよろしくお願いいたします」
今の台詞の、どの言葉が心の琴線に響いたのだろうか?
見開いたハンナの瞳からぼろぼろと涙があふれる。
ああ、私は誰よりもこういう言葉が聞きたかったのだ。
ハンナはクシャリと顔を歪め、子供みたいに声を上げて泣いた。
その後、仰天した侍女軍団に目元とむくんだ顔を冷やされて、ようやく落ち着きを取り戻す。
「さ、気合い入れてくださいね!」
「うぐっ⁉︎」
「まだまだもう少しですよー!」
落ち着いたらなぜか、コルセットの紐を締め上げられた。
そして振り出しに戻る。
え、これから何が起きるの⁉︎
改修が終わったのはここまでです。またのんびりと更新になります!
お楽しみいただけると嬉しいです。




