медведь:熊
【昼 平日 東京 港区】
凛が働いている時間帯、ソフィアは家事をあらかた済ませ、スーパーへ買い物にきていた。
「えーっと…タマゴと牛乳、じゃがいも、玉ねぎ、トマト、鶏肉、魚、それと主食の小麦粉…よし、だいたいこんなものか、…あれ?…私、いつの間にか一人言も日本語になってる…」
〔ピッ、ピッ、ピッ、〕
「合計で~~円になりまーす。」
「はい。」
「ちょうどお預かりします、こちらレシートです、ありがとうございました~」
「…よし…帰ろう。」
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ソフィアはふと、公園の前で立ち止まった、
「…公園か…普段あんまり気にしなかったが、家の近くに公園なんてあったんだな…」
ソフィアは立ち寄ってみることにした。
公園とは言っても、そこまで大きくはない、ブランコと滑り台、そして小さな砂場に、ベンチ、木が1、2本立っており、その下に花が植えてある、
ソフィアはブランコに座った、
〔ぎぃっ…ぎぎぃっ…〕
「…(風が気持ちいいな…)」
久しぶりのブランコ、幼い頃、田舎の祖父母のдача(ソビエト、ロシアの別荘、大体の家族が田舎にもっていた。ソフィアは幼い頃、冬は田舎の町の方にある祖父母の家で暮らし、夏になると郊外のダーチャで暮らした。)の庭に木製の、おじいさま手作りのブランコがあって、それに揺られるのが好きだった。
「……ソビエトのみんなは…田舎のみんなは元気だろうか…」
ブランコをこぐ度に顔にあたるそよ風を受けながら、祖国のことを考えていると、眠くなってきた…
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目を閉じると、田舎の、花がたくさん咲き、モミの木に囲まれた青い屋根の小さめのダーチャが目に浮かぶ、
ソフィアはブランコに立っておもいっきりこぐ、ギシギシ言うブランコ…
ダーチャの前の庭にはカブや人参、玉ねぎ等、野菜が植えられており、
遠くを見ると川でおじいさまとクマ(ペット)が釣りをし、おばあさまは揺り椅子で本を読んでいる、
「ソーニャー(ソフィアの愛称)!!、遊ぼうぜ~!」
「虫とりに行こうぜ!」
「それより釣りだろ!」
「ゴム飛びや石けり、コサックと追い剥ぎ(そういう遊び。)、魔法使い(日本で言う鬼ごっこ)!」
「ソーニャ、なにしたい?」
「う~ん、ナイフ!!」
(※"ナイフ"とは、地面に描いた相手の陣地にナイフを投げ、より多く領地を拡大する、使うナイフはもちろん本物。)
「え~、それはこの前やったからいいだろ~、」
「そうだよ~、それにこの前はセルゲイが自分の足にナイフが刺さっちゃって、大変だったじゃないか、」
「そうだね…じゃあクマに乗って遊ぶのは?」
(ペットの、おじいさまと釣りをしているクマに乗って釣りのじゃまをしたりする。…釣りのじゃまをすると今晩の晩ごはんのメニューが一品減るが、その事を幼いソフィアはまだ知らない。)
「「そうしよう!!」」
子供立ちはそーっとクマにしのびより、ソフィアの合図で一斉にクマに飛び乗る。
「いけっ!」
「Ураааа!!」
「うぉっ、こ、こりゃ何事じゃ!?、そ、ソフィア達か…びっくりしたわい」
「えへへ~、おじいさま、おじいさま~!、バラライカ(ロシアの弦楽器)弾いて~!」
「よぉし、わかった、なにが聞きたい?」
「うーんとね~、Коробе́йники(コロベイニキ)がいい!」
(コロベイニキ、"行商人"、コロブチカとも言う、テトリスの、アレ。)
「よーし、わかったぞ!」
「♪〔シャカシャカシャカシャカシャン、〕オ~イ、パルニ~ムパルナ~カ~ロ~ブシカ!!…」
優しいおじいさまの声、暖かいクマのモコモコした毛…
ダーチャからは美味しそうな晩ごはんの匂いがしてきます…
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【夕方 東京 港区】
仕事も終わり、家に帰る凛、最近はソフィアのためにも、定時で帰るように心がけている、今晩のビールもしっかり2本買い、軽い足取りで家に帰る、その帰り道、公園のブランコで猫に囲まれ眠る変な女の子を発見…
「うわぁ…猫に囲まれて寝ているよ…暖かそうだけど…ああ、きっと買い物帰りなんだ、それで買った食材に導かれて猫達が…それで…みんなでお昼寝しちゃったんだね……でも…なんかみたことある…まさか…」
近づくとソフィアだった。
「ソフィア!」
「……ん…」
「ソーフィーアー!!」
「んぁ…あ、クルミ割り人形?」
「違う、凛だよ!!」
「あ、凛……クマは?」
「クマ?」
「クマぁ…」
「猫ならいるよ」
「ほぇ?………うわぁ!!、猫に囲まれてる!?」
「…帰ろっか。」
「…うん!」
二人は仲良く帰路についた。




