передвижение:左遷
【ソビエト連邦 軍事司令部】
この日、ソビエトに取り残されたニーナ大尉は、軍の上層部に呼ばれていた。
〔コンコン〕
「ニーナ・セルゲーエヴィチ・フルシチョワ、入ります」
「…どうぞ。」
「…」
「…最近、レーニナ中佐とブレジネワ大尉の行方がわからなくなっているのは、本当かね?」
「はっ、左様でございます。」
「…何があったのか、知っていることを全て、報告してくれたまえ。」
「はっ、1ヶ月ほど前、《どこにでもドア計画》でまだ、開発段階だった《瞬間移動装置》が誤作動をおこし、レーニナ中佐が日本の首都、東京に飛ばされました。その後、レーニナ中佐をソビエトに連れ戻すべく、計画の責任者であったマレンコワ博士を監禁し、瞬間移動装置の開発をさせました、するとその2週間後、ちょうどブレジネワ大尉が見張りの日、二人とも跡形もなく消えてしまったのです。」
「…なぜ、そんな大事なことをすぐに報告しなかった…」
「…」
「もっと早く報告していれば、こちらもレーニナ中佐奪還プロジェクトを進めることができたのに…」
「申し訳ございません。」
「…君には失望したよ、君は仕事も隊の指導も素晴らしいが…社会的な常識が少しかけていたようだ…所詮、親の七光りで出世した温室育ちのカボチャというところか…」
「…くっ…」
「…君の処分はとりあえず後回しだ、君は…今すぐ荷物をまとめ、シベリア連邦クラスノヤルスクのシベリア大学(クラスノヤルスク国立工科大学)地下秘密研究室に行きたまえ、」
「…それは…?」
「そこにいるソビエトが誇るラスプーチン博士に助けを求めよう、」
「…はい。」
ーーーーーー
「……失礼しました。」
〔ガチャン〕
「クソがぁぁぁぁぁ!!!」
なぜ私が、なぜ私がシベリアなんかに行かなければならない!!!
ただただ1人残されただけなのに…今まで上手いことやっていたのに…何故!!
順調に出世していたのに…こんなことで…報告1つしなかっただけで…
ああぁぁぁもうっっ……
「…?、ニーナ大尉?」
「はっ、ポーリナ…」
「どうされたのですかニーナ大尉?」
「…ポーリナぁぁぁぁぁ、うぁぁぁぁぁぁ」
「!?」
「どうして私がぁぁぁ」
「…どうしたのかわかりませんが、私で良ければ、お話お聞きしますよ、」
「うわぁぁぁぁぁぁぁ」
「と、とりあえず、これで涙拭いて、ニーナ大尉の部屋まで行きましょう。歩けますか?…」
ーーーーーーーーーー
「……それは…大変でしたね…」
「うぅっ、私、もうどうしたらいいか…」
「シベリア…ですか…」
「私、もうやっていける自信無いわっ…そんな、シベリアのよくわかんない研究室のよくわかんない科学者の所なんて…どうして私だけこんなことになるの…」
「…大変…ですね…ニーナ大尉は、ずっと努力されてきたのに…」
努力…思えば、したことなって無かったわ、上官の言う通り、私は温室育ちの七光り、努力家のポーリナとは違う、社会的常識に欠けた出来損ないの上司、
…なにやってるんだろう、私は…部下であるポーリナに慰めてもらうなんて…
こんな上司でごめんね、ポーリナ、
ハァ…格好悪いわね…泣いてても…変わらないか…
見習わなきゃ、私も、努力しなきゃ…
ーーーーーーー
「ポーリナ…この中隊…貴女に任せるわ。」
「え?」
「私、シベリアに行って、努力するわ、ポーリナのように、頑張って1からやり直す、今度は親に頼らず自分の力で今に地位まで戻ってくる、だから、それまで貴女にこの中隊を任せる。」
「そ、そんな、私には…」
「いいえ、出来るわ、貴女ならね、私ですら出来たんだもの、努力家のポーリナなら絶対上手くやれる!」
「で、でも、私最年少の女の子ですし…」
「そんなの関係ないわ、軍隊では地位こそが全て、今日から貴女は大尉よ、ビシバシ指導してやりなさい、貴女なりのやり方で、」
「…でも私、厳しく…出来るでしょうか…」
「ピョートルだとかドミトリーに言ってやりなさい、「甘ったれるな!、訓練でサボる奴は戦場に行っても結果は出せない」って、「戦場で真っ先にぶっ殺されて味方の邪魔になるだけのゴミでしかない」ってね」
「…ニーナ大尉…」
「どうしたの?ポーリナ、」
「い、いえ、ニーナ大尉はいつも優しいイメージだったので…その…」
「ふふふ、驚いた?教官だって人間なのよ、それにサボるのを見逃すのは優しさでもなんでもないわ、面倒臭かっただけよ、手が汚れるのが嫌だっただけ、ゴミはある程度放置して、一定数たまったら上層部に一掃してもらう…ダメね、私、」
「そ、そんな、ニーナ大尉はダメなんかじゃないですよ、」
「いいえ、ダメなのよ、結局今回のことの報告を怠ったのも面倒だっただけ私がしなくてもいいかなっと思ってしまったの…貴女はそんなことせずアレクサンドラのように自分にも部下にも厳しくなさい」
「私は、私はニーナ大尉の中隊の兵士であり、ニーナ大尉の部下です、ニーナ大尉のやり方を継ぎたいです、いいじゃないですか、ニーナ大尉のやり方だって、他の中隊より結果も出していたし、ニーナ大尉は面倒臭がりなんかじゃないですよ!!」
「…ありがとうポーリナ…そうね、貴女はやっぱりアレクサンドラのやり方じゃなくて、自分のやり方で行きなさい、私のやり方でもなくてね。」
「…はい。」
「それと、もう貴女は大尉よ、はい、これ」
〔スッ〕
「…これは!」
「私の軍服と階級バッジ、洗濯はしてあるわ、私、何着か持っているの、だからこれ、あげるわ、着てごらんなさい。」
ーーーーーー
「…うん、よく似合っているわね、」
「ありがとうございます!」
「…もう、敬語も私には使わなくていいわよ、貴女はもう、ポーリナ・ドナートヴィチ・プーチナ大尉よ、胸を張り、堂々としなさい。」
「はい!!」
「フフフ、いいわね…今日から、頑張って!」
「ありがとうございました!」
「…この後、時間はあるかしら?」
「はい…ありますが…」
「…明日の朝まで…ここにいてもらえないかしら…」
「はい、」
この後、夜が明け、空が薄明かるくなるまで、二人の大尉は話した、敬語などは使わず、学生時代の話や、自分の夢、初恋、好きな料理や、遊び、映画、音楽趣味など、戦争とは関係の無い平和な、カフェやバーでお酒をのみながら友達と話すようなことを永遠に話し続けた。




