аппетит:食欲
【東京 ソラマチ】
「スカイツリーでお腹すいちゃったね!ソフィア、」
「うん、」
「なんか食べよう、スイーツ食べ放題の店知ってるんだ~私、」
「スイーツ食べ放題…?」
ーー【ソフィアの回想 ソ連 田舎 ソフィアのおばぁちゃんの家】ーー
「ねぇねぇ、おばぁちゃん!!」(←幼い頃のソフィア)
「なんだいソフィア、」
「面白いお話聞かせて~、おばぁちゃんの面白いお話!!」
「よかろう!!、そうじゃなぁ、あれは、まだソビエトがロシア帝国だった頃…」
あるところに、1人の年老いた、貧乏な魔女がおった、魔女は貧乏だったため、生活資金を稼ぐため、都会モスクワへ引っ越した、そのまちで魔女はお菓子屋さんを開いたんじゃ、
じゃが、モスクワの町は広くて、都会じゃったから、お菓子屋も既に数軒建っていた。
お菓子屋激戦区のモスクワで、いかに勝ち残るか…それには他の店とは違う、
個性が必要、少ない資本で、この店にしかない、勝ち残るための武器!!
じゃが魔女は持っていたんじゃ、勝ち残るための手段、アイデア、
それは"食べ放題"、
でも、少ない資本で作れるお菓子はせいぜい1日分、いや半日分のお菓子程度…
じゃあどうする…?
魔女はそこも、ちゃんと考えていた。
…店がオープンしてすぐ、日頃少ない賃金で資本家に雇われて、奴隷のようにこき使われた労働者、プロレタリアートがその日のちっぽけな給料を握りしめ、商店街にやって来た、まだ10歳ほどの男の子から90歳くらいのお爺さんまで、みんな真っ黒なススだらけの顔、体で、ボロボロな服を着て、フラフラと歩き、ついに「お菓子食べ放題」の看板を目にした、いつもはお菓子どころか、パンすらもまともに食べれないプロレタリアート…
「おばあちゃん、プロレタリアートってなに?」
「うるせぇ、黙って聞けこの小娘が!」
疲れ、甘いものに飢えたプロレタリアートは光に導かれる蛾のように、
魔女の店へ入って行った…プロレタリアがみんな、店に入ると、店のドアが閉められた、じゃが疲れたプロレタリアどもは皆、お菓子のことで頭がいっぱい、
そこに、少ない資本で作られた小さな小さなチョコレートケーキが、皆の前に置かれた…皆は一斉にかぶりつく、自我を忘れ、家畜のようにむさぼり食う、
…再び、店の入口が開いた時には、労働者達の姿は無く、ススのように真っ黒なチョコレートケーキが椅子の上に乗っかっていた。
「どうじゃ?面白いじゃろが?」
「…魔女なら魔法でお金を出せばよくない?」(←ごもっとも。)
「うるせぇガキが、てめぇもケーキにするぞゴラァ!」
ーーー【回想終了。】ーーーー
「……あーーー!!凛!!、危ない!!、この店、魔女の店だよ!」
「?」
「ケーキに、凛と私がチョコレートケーキにされちゃうよ!」
「何言って…泣いてるの!?今日はよく泣くね!!どうしたの、そういう日なの?」
「【ソフィア、わけを説明。】」
「…なるほど…とんでもないお婆様だ…幼い孫娘になんて話を…」
「うぅぅ、子供の頃はこんな話怖くなかったのに…」
「いやいや、ないからそんなの、普通の食べ放題!!」
ーーーー【入店!】ーー
「…」
「わー美味しそう!!」
「…チョコレートケーキじゃないか…」
「…大丈夫だから。」
「…しかも小さいぞ、一口サイズ…これうちのお婆さんの話をそのまま実写化したみたいな…」
「えぇぃ、いいから食え!うぉりゃ!!」
「…ぅあっ…〔パクっ〕」
「〔もっもっもっ…〕」
「…ほら、死なないでしょ?」
「ん~、ふくーすな。」
「でしょ?ほら、食べよ?」
「うん!」
「「いっただっきまーす!!」」
「「〔パクっ!〕」」
「んんん~美味しい~!」
「フクースナぁぁ~!」
「(美味しい、日本のチョコレートって、ソ連や西側諸国のチョコレートよりどれもビターで、大人の味、くどくないというか、このケーキもパクっと一口で食べられる大きさで、口にいれると濃く苦いチョコレートのふわふわとしたスポンジとそのスポンジより甘めのクリームが…私がケーキを食べているのに、まるでケーキが私を食べているような…いや、それはヤバイな、お婆様の話並みに怖い。 けど、ケーキに包まれている感じ、それで、その苦味の後に、上にちょこんと乗っていたベリーの酸味がシュッっと、うぅぅぅんまぁぁい!!
それで、ケーキを飲み込んだら、甘すぎないからスッと、後を濁さず消えて行くから次のケーキがすぐ食べられる、味が混ざっちゃったりしない!)」
「美味しいね、ソフィア!」
「うん!」




