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職業なしの俺、実は“触れるだけで全職業を奪える”最強のバグ持ちでした ~ 召喚された王国に見捨てられたので、自由に生きてたら世界の勢力図が変わってた~  作者: 天音天成
第10章 無職は王にならない

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第91話 書き換えられた理

アストラへ戻ってから数日、フィリアはほとんど寝ていなかった。


旧神殿、廃鉱区、王城中枢から持ち出した資料。その全部を突き合わせて、彼女はようやく一つの結論に辿り着いたらしい。


「王国は、召喚術を使っただけじゃない」

 彼女は机に資料を並べながら言う。

「この世界の“職業の理”そのものに手を入れ始めていた」


俺は眉をひそめる。


「そこまでできるのか」

「完全には無理。でも、局所的な上書きはできる。召喚中枢がその楔だったのよ」


美咲さんが静かに資料を見下ろす。


「だから精神補正も、適合率の操作も可能だったのね」

「ええ。本来は自然に与えられるはずの職業を、国家都合で偏らせていた」


玲奈が吐き捨てるように言う。


「ほんと、どこまでやれば気が済むんだか」


だが問題は、王国がそれを始めてしまったこと自体だった。


中枢は止めた。裂け目も閉じた。


 それでも、一度書き換えられた理は完全には元に戻っていない。


「各地で軽い職業不全が起き始めてる」

 サニアが別筋の報告書を差し出す。

「突然、技能の精度が落ちる職人。祈りが届きにくい神官。逆に、妙に力が過剰化した兵士もいる」


「……後遺症か」

 俺が言う。


「そう」

 フィリアは頷く。

「王国は理を歪めた。その揺り戻しが来てる」


王国を暴いた。それで終わりだと思っていた。


でも違う。


壊された理は、王国一国だけの問題じゃなくなっている。


「つまり」

 大雅が腕を組む。

「最後に相手しなきゃいけねえのは、王国そのものじゃなくて――」


「歪められた世界の仕組み、ってことだな」

 俺が引き取る。


フィリアが珍しく真顔で頷いた。


「ええ。ここから先は、犯人探しじゃない。修復よ」


修復者。


その呼び名が、また胸の奥で重く響いた。

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