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職業なしの俺、実は“触れるだけで全職業を奪える”最強のバグ持ちでした ~ 召喚された王国に見捨てられたので、自由に生きてたら世界の勢力図が変わってた~  作者: 天音天成
第10章 無職は王にならない

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第89話 修復者

 王都を離れる直前、フィリアが駆けつけたのは本当にぎりぎりだった。


「相沢! 生きてる!?」

「第一声それかよ」

「重要でしょう!」


 彼女は荒い息のまま俺の顔色を見て、それから中枢停止の報を確認し、ようやく肩の力を抜いた。


「間に合ったのね」

「ああ。何とか」


 フィリアは、俺が触れた中枢核の残滓を調べると、すぐに難しい顔になった。


「やっぱり」

「何が」

「あなた、ただ止めたんじゃない。壊れた接続を“修復”しながら閉じてる」


 修復。


 その言葉に、俺は少し眉をひそめた。


「閉じただけじゃないのか」

「違う。無理やり閉じれば、もっと大きく裂けていた可能性が高い。あなたは空位の器で流れを受け止めて、座標と理を整え直した」

「そんな器用なこと、無意識でやったのか……」

「恐ろしいわね、本当に」


 でも、言われてみれば感覚はあった。

 ただ破壊したんじゃない。

 ほどいて、戻して、空へ返した。


「修復者、か」

 俺が呟くと、フィリアは頷いた。


「少なくとも、その側面はある。職業の外にいるくせに、職業システムのほころびを最も近くで扱える」


 ルナが俺を見る。


「コーイチ、なおすの得意?」

「どうだろうな」

「でも、壊すだけじゃなかった」

「……そうだな」


 その言葉は妙にしっくりきた。


 王国に捨てられた無職。

 でも、その無職だからこそ、壊れた理に触れて、戻すことができた。


 修復者。


 その呼び名は、空位の器と同じくらい、今の俺に近い気がした。

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