第84話 中枢暴走
王城へ戻る道は、崩落と混乱でまともな道になっていなかった。
だが裂け目を閉じるなら、暴走源である中枢へ再接続するしかない。
「最短で行く!」
俺が叫ぶ。
大雅が先頭を走り、崩れた通路を剣でこじ開ける。
ルナが先行して安全を確認し、玲奈が高所から残った敵兵や落下物の危険を潰す。
美咲さんは後方から結界で瓦礫を受け、怪我人が出れば即座に癒す。
全員が役目を果たしていた。
地下へ降り直した時、中枢は以前とまるで別物になっていた。
円環陣は半ば割れ、魔力導線はむき出しになり、中央台座からは白黒混じりの光が噴き上がっている。
「うわ……」
玲奈が絶句する。
術じゃない。
災害だ。
しかも、壊れているのにまだ動いている。
王国が積み上げた禁術の全部が、最後に暴走装置へ変わっていた。
「中枢核、あそこだ」
俺は中央を指す。
「俺が繋ぐ」
「その間、守ればいいのね」
美咲さんが即座に言う。
「ああ。たぶん接続中は無防備になる」
大雅が笑う。
「分かりやすくていい」
だが敵はまだいた。
残った護衛兵、暴走中の術式防衛機構、それに裂け目から漏れた不安定な影がうごめいている。
「行くぞ!」
戦いが始まる。
大雅の剣が前線を押し返す。
ルナが影のように駆けて節点を潰す。
玲奈の矢が暴走導線の弱点を射抜き、美咲さんの結界がこちらの足場を確保する。
その間に俺は中央台座へ駆けた。
熱い。
いや、冷たい。
感覚がもうおかしい。
空位の器が、否応なく共鳴していた。
「……来いよ」
誰にともなく呟いて、俺は中枢核へ手を伸ばした。
触れた瞬間、視界が反転した。




