表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
職業なしの俺、実は“触れるだけで全職業を奪える”最強のバグ持ちでした ~ 召喚された王国に見捨てられたので、自由に生きてたら世界の勢力図が変わってた~  作者: 天音天成
第9章 王国崩壊

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
74/100

第74話 王国の本音

 召喚中枢の扉をくぐってきたのは、騎士でも術者でもない。


 宰相バルディスだった。


 その背後に護衛を従え、王国そのものを背負ったような顔で立っている。


「ここまで辿り着くとはな」

 低い声が響く。


「そっちの秘密が雑だったんじゃないですか」

 俺が返すと、バルディスは眉一つ動かさない。


「相変わらずだな、相沢恒一」

「覚えてもらえて光栄ですね」


 美咲さんが前へ出る。


「宰相閣下。もう言い逃れはできません」

「何のことだ」

「召喚術、精神補正、適合試験、人身利用。全部です」


 バルディスはしばらく沈黙し、やがて静かに言った。


「……では逆に問おう」

「何を」

 俺が返す。


「国が滅びかけている時、手段を選んでいられると思うか?」


 その言葉に、空気が冷えた。


「魔人皇国は勢力を増し、国境は不安定化し、諸国は足並みを揃えない。王国が生き残るには、圧倒的な力が必要だった」

「だから異世界人を拉致した?」

 玲奈が怒る。

「だから獣人や人間を素材扱いした?」


「必要だった」

 バルディスは言い切った。

「国家とはそういうものだ」


 神崎と同じだ。


 いや、こいつらの思想の大元がこれなのだろう。


「ふざけるな」

 俺が低く言う。

「必要なら何をしてもいいってか」

「少なくとも、何もせず滅びるよりはいい」


 それが王国の本音だった。


 勇者だの、救国だの、神託だの、そんな綺麗な言葉の奥にあったもの。

 結局は、生き残るためなら他人をいくらでも踏みつけるという国家の都合。


 美咲さんの声が震える。


「私たちは、そのための道具だったのね」

「高位職を得た幸運な召喚者たちだ」

 バルディスは淡々と返す。

「王国にとっても、お前たちにとっても、悪い話ではなかったはずだ」


「悪い話でしたよ」

 俺ははっきり言った。

「少なくとも、俺たちの人生を勝手に使っていい理由にはならない」


 バルディスの視線が俺に向く。


「お前だけは、誤算だった」

「知ってます」

「だからこそ今、ここで回収する価値がある」


 その瞬間、背後の中枢が低く唸った。


 まずい。


 向こうはまだ俺を中枢へ接続する気だ。


「コーイチ」

 ルナが一歩前へ出る。

「もう話すだけ無駄」


「ああ」

 俺も頷く。


 王国の本音は聞いた。

 なら、次にやることは一つだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ