表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
職業なしの俺、実は“触れるだけで全職業を奪える”最強のバグ持ちでした ~ 召喚された王国に見捨てられたので、自由に生きてたら世界の勢力図が変わってた~  作者: 天音天成
第8章 王都潜入

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
68/100

第68話 城下に残る傷

 資料庫から持ち出せたのは一部だけだった。


 全部を持てば目立つ。


 だから必要なものだけ抜き取り、複写可能なものは後回しにする。


「こっち、移送先の印だ」

 俺が紙束をめくる。

「王城下層、旧神殿接続区画……」


「まだそんな場所が城の下にあるのね」

 美咲さんの顔が強張る。


 資料を確認したあと、俺たちは一度城下の外れへ抜けた。


 そこで見えたものは、以前の王都とは少し違っていた。


 露店は減り、兵の姿は増え、通りの人々はどこか口を閉ざしている。


「雰囲気、悪いですね」

 玲奈が高所から降りてきて言う。


「告発の影響もあるだろうな」

 俺は答える。

「王国も締めつけを強めてる」


 路地裏では、張り紙が増えていた。


 危険人物通報。


 魔人勢力への警戒。


 王国への忠誠を呼びかける文言。


 そして俺の似顔絵も、以前よりだいぶ似ていた。


「上手くなってるな」

「感心してる場合ですか」

 玲奈が呆れる。


 でも、本当に王都は変わっていた。


 召喚された直後の俺には見えなかった傷が、あちこちに残っている。


 兵に怯える人々。


 言葉を選ぶ商人。


 消えた者の噂を、声を潜めて話す女たち。


「王国、もう疲れてる」

 ルナが言う。

「匂いが悪い」


 その表現はたぶん正しい。


 華やかな城下の下に、疲弊と恐れが積もっている。


 召喚の成功譚なんて、ここではもう薄い膜でしかない。


「この街も被害者なんだな」

 俺がぽつりと呟くと、美咲さんは静かに頷いた。


「ええ。だから、壊すだけじゃだめ」

「分かってる」


 王国の禁術を止める。


 でもその先に残る人たちまで壊したくはない。


 城下に残る傷を見て、改めてそう思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ