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職業なしの俺、実は“触れるだけで全職業を奪える”最強のバグ持ちでした ~ 召喚された王国に見捨てられたので、自由に生きてたら世界の勢力図が変わってた~  作者: 天音天成
第8章 王都潜入

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第64話 証言者

 証言の場は、アストラの学術会館の一室を借りて行われた。


 完全な公の場ではない。


 だが商会連合、ギルド連盟、学術評議会、亜人居留区の代表が立ち会う。王国も無視できない規模だった。


「緊張します?」

 俺が小声で聞くと、玲奈は苦笑した。


「そりゃしますよ。でも、逃げるよりマシです」


 美咲さんは白い衣を整え、静かに前を見ていた。


 王国が冊子で描いた“聖女候補”そのままの姿だ。


 だからこそ意味がある。


 その本人が、王国の物語を否定するのだから。


 最初に話したのは、廃鉱区から救出された獣人の青年だった。


「私は王国兵に連行された」

 震える声だった。

「保護ではない。檻に入れられ、術式を刻まれ、適合率と呼ばれた」


 場が静まる。


 次に、人間の少女が証言した。


「私は孤児院から消えた子たちを知っている。みんな“引き取られた”と聞かされた。でも違った」


 重い。


 一つ一つの言葉が重い。


 そして最後に、美咲さんが立った。


「私はレーヴェルト王国に召喚された一人です」

 その一言で空気が変わる。

「王国は私たちを保護したのではありません。力ある職業を与え、国家戦力として管理していました」


 玲奈も続く。


「私は精霊弓姫として扱われました。でも、それは祝福なんかじゃない。王国に都合よく使うための首輪でした」


 首輪。


 その言い方に、立会人たちの顔がはっきり変わった。


 そして最後に俺の番が来る。


「俺は相沢恒一。王国に召喚され、職業なしとして追放された人間です」


 静まり返る室内で、俺はまっすぐ前を見た。


「でも実際は違った。王国の召喚術に乗らなかった異物だったから、捨てられたんです」

「……」

「王国は人を呼び、役割を与え、使いやすく整えて、不要なら捨てる。その延長で第二召喚計画まで進めていた」


 資料を机に置く。


 術式図、管理記録、適合試験の一覧。


「これが証拠です」


 学術評議会の老人が、震える手で紙を取った。


 その顔色だけで十分だった。


 証言は届いた。


 言い逃れではなく、当事者の言葉として。


 王国の偽りの勇者譚に対して、ようやくこちらも“生きた証言”を叩きつけたのだ。

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