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職業なしの俺、実は“触れるだけで全職業を奪える”最強のバグ持ちでした ~ 召喚された王国に見捨てられたので、自由に生きてたら世界の勢力図が変わってた~  作者: 天音天成
第7章 第二召喚計画

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第59話 決別

 廃鉱区施設からの撤退は、ぎりぎりだった。


 救出した人々を連れてアストラへ戻る途中、追手は何度も来た。だがサニアが手配した輸送馬車と、ギルド側の裏協力で何とか振り切ることができた。


 そして、その報は王都にも届く。


 その夜、桐生大雅はついに神崎へ刃を向けた。


 いや、正確には、剣を抜かなかった。


 それが彼なりの最後の線引きだった。


「俺、もう無理です」

 執務室の前で、大雅は言った。


 神崎は机から顔も上げない。


「何がです」

「王国に従うのが」

「感情論ですね」

「そうですよ」


 大雅は苦く笑った。


「でも、相沢の時からずっと引っかかってた。王国のやり方も、あんたのやり方も」

「では」

 神崎がようやく顔を上げる。

「君は裏切るのですか」


「裏切るって言い方、便利ですよね」

 大雅は吐き捨てる。

「先に人を裏切ったのはそっちだろ」


 一瞬だけ、神崎の目が細くなる。


「君は剣聖です。王国の重要戦力だ」

「だから何です」

「出ていけば追われる」

「分かってます」

「それでも?」

「それでもです」


 もう迷っていなかった。


 神崎は数秒黙り込み、それから低く言った。


「愚かですね」

「かもな」

 大雅は肩をすくめる。

「でも、相沢のことをもう一回切る側に回るくらいなら、そっちの方がマシだ」


 その言葉に、神崎は何も返さなかった。


 大雅は踵を返し、王都を出る。


 剣聖として与えられた剣は持っていく。だが王国の紋章入りの上衣は脱ぎ捨てた。


 決別だった。


 王国とも、神崎とも、そして“従うだけだった自分”とも。


 一方アストラでは、その報せが遅れて届くことになる。


 剣聖、離反。


 それは王国にとっても、こちらにとっても、小さくない転機だった。

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