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職業なしの俺、実は“触れるだけで全職業を奪える”最強のバグ持ちでした ~ 召喚された王国に見捨てられたので、自由に生きてたら世界の勢力図が変わってた~  作者: 天音天成
第7章 第二召喚計画

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第56話 世界の外から来たもの

 施設の最奥で見つけたものは、俺たちの予想を少しだけ超えていた。


 それは水晶槽でも、術式板でもなかった。


 黒く歪んだ、小さな亀裂。


 空間そのものが裂けたみたいに、何もないはずの場所に暗い線が走っている。


「……何これ」

 玲奈が息を潜める。


 近づくだけで、肌が粟立つ。


 王都で召喚された瞬間の、あの白い光とは違う。もっと冷たくて、もっと不安定だ。


 フィリアの解析で見た用語が、頭をよぎる。


 界外接続痕


「世界の外、か」

 俺は小さく呟いた。


 その裂け目の周囲には術式が組まれており、どう見ても“何かを呼び込む”ための装置だった。だが召喚陣とは少し違う。対象を選ぶというより、向こう側へ無理やり穴を開けている感じがある。


「コーイチ、近い」

 ルナが袖を掴む。

「嫌な感じ、強い」


「分かってる」


 だが見ないわけにはいかなかった。


 俺は慎重に近づき、周囲の術式板を確認する。


 異界接続補助。


 魂座標固定。


 外界流入安定化。


 どれも危険な単語ばかりだ。


「第二召喚って、人を呼ぶだけじゃないのかもしれない」

 美咲さんが低く言う。


 俺も同意だった。


 もし王国が“世界の外”そのものへ手を突っ込んでいるなら、召喚の対象は俺たちみたいな異世界人だけじゃ済まない。


 その時、頭の奥がちり、と痛んだ。


 空位の器が反応している。


「……っ」

「コーイチ?」

 玲奈の声。


 俺は片手でこめかみを押さえた。


 裂け目から、何かの“感覚”が伝わってくる。職業じゃない。人の技能でもない。ただひたすらに異質な、言葉にならない圧みたいなもの。


 触れてはいけない。


 直感がそう告げていた。


「これ、まずい」

 俺は低く言う。

「人間の召喚術の範囲を超えてる」


「証拠だけ取って下がるべきね」

 美咲さんも即断する。


 その時、背後で金属音が鳴った。


「侵入者だ!」


 まずい。見つかった。


 だが振り返った瞬間、俺はそこで立ち止まった。


 現れた兵の装備は、王国の騎士とも特殊隊とも違っていた。もっと重く、もっと儀式的だ。


 そして中央にいた術者が叫ぶ。


「界門の保護を最優先! 例外個体を近づけるな!」


 例外個体。


 やはり、俺のことだ。


 王国はこの裂け目と俺の間に、何か関係があると知っている。


 そう思った瞬間、背筋を冷たいものが走った。

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