第55話 禁術施設へ
第二召喚計画を止めるには、旧神殿の証拠だけでは足りない。
フィリアの見立てでは、王国は既に別の施設を動かしている可能性が高かった。
「古代術系の大規模運用には、必ず中継施設がいるわ」
学術区の作業机で彼女が言う。
「媒体の保管、術式の補正、魔力供給。王都本体とは別に、外縁拠点があるはず」
「心当たりは?」
俺が問う。
「一つだけ」
フィリアは地図に印をつけた。
「アストラ北東の廃鉱区。表向きは閉鎖済みだけど、最近そこへ王国系の搬入があった」
サニアもすぐに乗る。
「商会筋でも噂はあるよ。夜だけ荷が動くってね」
行くしかなかった。
今回の目的は明確だ。壊滅ではなく、確認と奪取。第二召喚計画の中核へ繋がる証拠を取る。
「危険だ」
美咲さんが真っ先に言った。
「旧神殿より厳重なはずよ」
「分かってる」
俺も頷く。
「だから全員で行く」
夜、廃鉱区へ向かう。
入口は崩れていたが、内部には新しい足跡があった。しかも魔術灯の痕跡まで残っている。
「当たり」
ルナが小さく言う。
俺たちは鉱道の側道から入り、奥へ進む。途中で見張りを二人、玲奈とルナの連携で無力化した。
さらに進むと、開けた空間へ出る。
そこには、鉱山の採掘場を無理やり改造したような施設があった。金属の支柱、運搬台、巨大な陣式板、そして複数の水晶槽。
「……うわ」
玲奈が息を呑む。
見ただけで分かる。まともな施設じゃない。
壁面には召喚陣の一部を転用したような式が刻まれ、中央には空の台座が置かれている。人を立たせるための場所だ。
「適合試験場……」
フィリアがいればそう言っただろう。
俺は奥歯を噛みしめた。
「入るぞ」
「うん」
「はい」
今度こそ、王国の中枢へ繋がる手掛かりを掴むために。




