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職業なしの俺、実は“触れるだけで全職業を奪える”最強のバグ持ちでした ~ 召喚された王国に見捨てられたので、自由に生きてたら世界の勢力図が変わってた~  作者: 天音天成
第7章 第二召喚計画

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第53話 賢王参謀の策

 同じ頃、王都では神崎恒一郎が静かに盤面を整えていた。


 執務室の机には、アストラ周辺の地図、交易路の報告、召喚関連施設の損失一覧、そして相沢恒一に関する追跡記録が並んでいる。


「旧神殿の件、証拠の流出量は」

 神崎が問う。


「不明です」

 部下の文官が答える。

「ただし、記録媒体と一部資料が持ち去られたのは確実かと」


「最悪ですね」

「はい」


 だが神崎の表情は変わらない。


 想定より早かっただけだ。盤面そのものはまだ崩れていない。むしろ、ここから切り替えるだけだった。


「相沢は証拠を持っている」

 神崎は淡々と言う。

「ならば次は、“証拠を出す前に信用を潰す”」


 机上の書類を一枚抜く。


 それは各国商会と中立都市向けに送る文案だった。相沢恒一、およびそれに与する者たちは禁術を盗用した反王国組織であり、魔人勢力とも通じる危険分子である――と。


「さらに、交易線を不安定化させる」

「アストラ方面ですか」

「ええ。無職の旗が商路を押さえ始めているなら、そこを叩く」


 部下が一瞬だけためらう。


「ですが、それでは中立都市との関係が」

「表に出さなければ問題ありません」


 神崎はきっぱりと言った。


 王国は今、全面衝突を望んでいない。だが裏では既に始まっている。見えない戦争は、先に相手の信用と足場を削った方が勝つ。


「桐生殿の起用は?」

「まだ前線には出さない」

 神崎は即答する。

「彼は揺れている。今無理に使えば、むしろ不確定要素になる」


 そこまで見抜いているのが、いかにも神崎らしかった。


「では、誰を」

「特殊隊と外縁協力者を使います。王国の手と分からぬ形で」


 彼は窓の外、王都の空を見た。


 相沢恒一は脅威だ。職業不明、成長速度不明、協力者あり。しかも、王国の不都合を抱えたまま自由都市で根を張り始めている。


 ならば今のうちに摘む。


 合理的に、確実に、静かに。


「相沢」

 神崎は誰にも聞こえない声で呟く。

「君はあの時、切るべきだった」


 その言葉に迷いはなかった。

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